The Real Music Station

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アーティストが語るラジオの魔法
tofubeats × RADIO
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Interview & Text by Joe Yokomizo

神戸在住のトラックメイカー、tofubeats。インターネットで200曲以上の膨大な量の楽曲を公開し続けるかたわら、YUKI、FPM、佐々木希、ももいろクローバーZなど、様々なアーティストのリミックスも手がけており、その手腕はジャンルや世代、メジャーインディー問わず高い評価を得ている。今年4月に発売された待望の1stアルバム『lost decade』はiTunes でアルバム総合チャート1位を獲得。そんな新進気鋭のトラックメイカー、tofubeatsに、ラジオ、音楽について語ってもらった。

― 神戸にお住まいなんですよね?

そうですね。今日も朝、神戸から新幹線で来ました。僕らって納品までパソコンなので特に東京に住む必要もないんです。別にリミックスでアーティストさんに会うこともないですし。それに今やったら5万円くらいで広い家に住めてるんで。まぁ楽しいですよ、地方。

― ところで、〝tofubeats″というこの不思議な名前の由来は?

特別な由来がなくてですね、結論から言いますと、検索で被らない、キャッチー、ワンワードっていう、この3つのところから攻めまして、で〝tofubeats″って名前になったんですよね。

― 海外を意識しての?

よく言われるんですけど、そう言われたら「はい」って言うようにしてるんです(笑)。でも別にそんなんでもなく、ヒップホップによくある〝〇〇ビーツ″って名前で行こう!というところから始まり、〇〇の部分の単語を普通に書き出していって、周りの意見の多数決で豆腐に。

― 多数決で(笑)!

覚えやすい名前は、やっぱり人に決めてもらおうということで。

― その感じが世代を象徴してるなぁ。確か90年代のお生まれですよね?

22歳です。

― 音楽を始めたきっかけは?

日本語ラップを友達に聴かせてもらって、インターネットで調べたら日本語ラップって、ひとりで曲を作れるということがわかって。それが中学校2年生の時で、まずは親を説き伏せて2万円くらいのサンプラーを買ってもらって、そこからは、作ってはインターネットにアップしてっていう感じですね。高校に入ってから徐々に「お前、外でDJやってみろ」とか「リミックスやってみろ」とか言われるようになって今に至っています。

― なるほど。因みに、ラジオはが家になかった…そんな世代でしょ?

それが、僕の家にはずっとラジオがあって、中学校の時とか結構聴いてたんですよ。しかも僕の部屋AMが入らなくて、FMをずっと聴いてました。中学生の時ってやっぱりお金がないし、いわゆるセレンディピティっていう、自分が知らない音楽にぶつかりたいという衝動が強くてラジオを聴いてましたね。ラジオって知らない音楽がポンと流れてくるじゃないですか?それがすごくいいなって。

― それは確かにラジオの魅力ですよね。インターネットから手にするものって無意識のうちにフィルタリングがかかっていて、衝動的に何かに出会う要素は希薄ですからね。

ただ、ラジオはラジオで別のフィルターではあるので、それぞれがフィルタリングされたものだとは思うんですよ。だからいろんな媒体から情報を得ないと自分の知らない世界に当たらない。だって、ラジオはラジオで制約はいっぱいあるはずで。でも、その制約の中だからこそ出てくるものがあるんだとも思うし。

― それって何だと思います?

インターネットって、結局自分が好きなものが集められるものなんですけど、ラジオって人が好きなものとか大衆の好きなものが、テレビとは違ったかたちできっちり選ばれてるイメージがあって。もちろんメジャーなものしかかからないんですけど。でも、そういうみんなが選んだ音楽を聴くのは結構おもしろくて。自分の好みじゃないのもかかるけど、いい曲しかかからないし。

― なるほど。テレビって一方通行だし情報にお金のニオイがする。ネットはその逆で、インタラクティブでお金のニオイは薄いけど責任の所在がハッキリしない。ラジオは作り手とリスナーとが一定の時間・地域の中であるルールに基づいて作りあげている感じがしますよね。

そうなんですよね。なんか、テレビほどでもなく、ネットほどでもない、ラジオにしかない選択というのがあって、それがすごい好きです。

tofubeats  × RADIO

― 言葉は悪いですけど、中間メディアって感じですかね?

そういうのは、すごい思いますね。

― そんなラジオの持ってる可能性ってどんなことだと思いますか?

だから逆に言うと、いわゆるマスっぽいことも出来るし、やろうと思えばリスナーの意見もガンガン吸い上げたりも出来るっていう、そこがおもしろいんじゃないですかね。どっちの役割も持ってるじゃないですか、ラジオって。それこそ大手のテレビがやるようなマスの部分もあれば、リスナーの意見を直接ファックスとか電話から上げていくみたいなところもあって。

― ゲリラっぽいところ(笑)?

はい(笑)。そういうフットワークの軽さみたいなところは、めちゃくちゃいいなと思います。

― その辺をうまくバランスをとりながらやるのがいい?

そうですね。そのかわり、どっちもやってたほうがおもしろいとは思いますけど。

― 確かに。両方持ってるのがラジオの特性だと?

そうですね。交通情報みたいなパブリックな情報も流せるし、でもファンからのしょうもないファックスとかも読んでくれるっていう感じは、ラジオにしかないと思うので。

- 確かに。

それと、最近はちょっとマニアックなラジオの使い方もしています。

- と言うと?

ちょっと異端なんですけど、オンエアリストってその局や番組のWebサイトにありますよね?それだけ見るっていう。時間がある時は番組を聴くんですけど、そうじゃない時は情報源としてオンエアリストだけを見る。そうすると、「あ、これ売れてるのか」とか「これヘビーローテンションなのか」って分かる。で、「この曲聴いたことないな」ってものは調べたり、iTunseで買ったりしてます。

- そっか、誰からのリクエストが反映されて曲が流れているっていうことは、政治で言う民意を反映しているみたいなことだと?

そうなんですよ。みんなどんな音楽が今好きなのか?そんなの独自で調査するのなんかムリですよ。でもラジオにはその答えがある。しかもラジオ局的にカッコいい曲しかかない、そういう独特のチョイスで繰り出される選曲の数々を楽しませてもらってるって感じですね。

- そうやって音楽を収集することがtofubeatsさんの創作活動の根源なんですか?

そうです。僕は聴かないと音楽が作れないタイプなんです。よく言ってるんですけど、自分の出すものって、自分の覚えてるものでしかないので、オリジナルなものはないっていう。インプットがないと出てこない。やっぱり音楽をめちゃめちゃ聴かないとダメなんです。

― ちなみに、どれくらいの量を普段聴かれるんですか?

最近だとダウンロードが多くなっちゃって、1日100曲くらい落としてる時もあります。

- そうしたソースの収集からスタートし、PCで音楽を作る場合、音楽のオリジナリティってどこになってくるんですか?

さっきも言った通り、僕は自分から出てくるものは、何かの経験でしかないって思っていて、元ネタも全然言うし、別にそうであることにまったく後ろめたさがないんです。だから僕自体にオリジナリティがあるのかないのかと言ったら、ないんじゃないかって思います。ただ、自分がすべてのものを完璧に再現できるわけじゃないから、そこら辺のズレがオリジナリティになって出てきてるだけであって。例えば、僕が中田ヤスタカみたいな曲を作りたいと思ってめっちゃがんばっても、絶対そうはならない。その差異がオリジナリティじゃないかと。だから別に自分でどうこうってもんでもないと思ってます。

- なるほど。

ただそうなると、余計に自分がやりたい音楽をいっぱい集めることが大事ってことなんです。自分の好きな音楽をいっぱい聴くことが、自分のオリジナリティを作る。その代わり、カッコいい音楽ばっかり聴くのが大事になる。だからいっぱい聴くんです。

- それはそれで潔いなぁ。

だって、ドレミファソラシドを使ってる時点でもう完全なオリジナルじゃないわけで。だから僕的にはそこは気負ってなくて。こんなこと言ったらアーティストっぽいんですけど(笑)、自分がやったら自分っぽくなる。でもそれは誰でもそうで。だから、あんまり気にしなくてもいいんじゃないって思います。逆に、人みたいになれないっていう辛さはありますけど。例えば僕がいきなりポール・ウィリアムズみたいな曲を作りたいって言ってもどうがんばっても作れない。自分なりに知恵を絞ってどうにかするしかないっていう。だからコンピューター・ミュージックにおけるオリジナリティっていうのは、ないとかあるとかいう感じよりは、そういうふうに考えてますね。まぁインターネットとかですごい情報を浴びて育ってるからかもしれませんけどね。

- ちなみに、音楽って誰のものだと思います?

みんなのものじゃないですか。データとして編集できる状態になった瞬間から、もうみんなのものですよ。そして自由に編集されるべきだと思います。

- コンポーザーというのは…?

作った人は偉いんですけど…。

- 決して所有者ではない?

所有はしてます、その段階のものは。ただ、それが少しずつカタチを変えて広まっていくものなんで。そうなったら、作った人たちのものかと言えるかっていったら、そうじゃないっていう風に思ってます。ちょっとラジカルすぎるかもしれないんですけど、僕は基本的には全部開け放つっていうのがいいなって思ってますから。

- なるほど。では最後の質問です。InterFMは4月からThe Real Music Station(本物の音楽放送局)というスローガンを掲げているんですけど、tofubeatsさんにとってREAL MUSICとは?

全部REAL MUSICです。

- 全部!?

はい。だって全部リアルじゃないですか(笑)?

- まぁ確かに(笑)

リアルじゃないものなんて、ないですよ。いくらクソみたいな曲でも、クソだなって思うことはREAL MUSICですよ(笑)。

- 人の感情を揺さぶっているわけですからね。

そうです。人間、無関心ではいられないですよ、音がかかっていたら。

MAGIC song

オレンジペコーの「やわらかな夜」

- ラジオで出会った忘れられない曲を1曲挙げるとすると?

ラジオを聴き始めた時にヘビーローテーションでオンエアされていたのが、オレンジペコーの「やわらかな夜」っていう曲で。ワルツというか3拍子の曲で、当時日本語ラップばかり聴いてた自分が聴くはずもないような曲調だったんですけど、ラジオでパンッと当たってからは、ずっと好きで。今でもたまに聴いてるくらいです。いまだにラジオっていうと、その曲を思い出すんですよね。

- 何が心の琴線に触れたんですかね?

いろんな音楽聴いてくると、好きなものはどこにでも転がってるなってわかるんですけど、その当時はそんなことは思ってもなくて(笑)。日本語ラップ以外の音楽を買うってことがあんまりなかった時に、おしゃれなボッサとかワルツみたいな曲なのにポンと入ってきて「いいな」って思わせてくれた。それ自体の経験がすごく新鮮だったんですよね。

- tofubeatsさんの音楽の新しい扉を開いてくれた?

はい。なんてことないJ-POPなんですけど。そして「ああ、ラジオっていい曲が流れてくるんだ」って教えてくれた曲でもあります。

tofubeats オフィシャルWebサイト

http://www.tofubeats.com/

tofubeats メジャーデビュー作 『Don't Stop The Music』 11.13 On Sale

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