おはようございます!FX編集部の田中です。
前日12月2日の海外市場は、米国株が反発し、FRB(米連邦準備理事会)の12月利下げ期待が高まる展開となりました。ダウ平均は185ドル高の47,474ドル、ナスダックも137ポイント高と堅調でした。一方、植田日銀総裁の12月利上げ示唆を受けて、ドル円は155円台後半での推移となっています。本日は年末の金融政策会合を前に、日米の金利動向が市場の焦点となりそうです。
それでは、前日の重要なニュースを見ていきましょう。
本日の主要ニュース
【最重要】植田日銀総裁が12月利上げを明言、市場は83%織り込み
12月1日、植田和男日銀総裁が名古屋での講演で重要な発言を行いました。「12月18日、19日に予定される次回の決定会合において、利上げの是非について、適切に判断したい」と明確に述べ、12月会合が政策変更の可能性がある「ライブ会合」となることを示唆しました。
この発言は、今年1月の利上げ前に氷見野副総裁が行った発言と非常に似た内容であり、市場では12月利上げへの明確な地ならしと受け止められています。
植田総裁は講演の中で、利上げを正当化する根拠として以下のポイントを強調しました:
- 関税政策の影響はさほど顕在化していない
- 2025年7-9月期のマイナス成長は一時的なもの
- 為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている
- 春闘を控えて全体として人手不足感が強い状況
- 賃上げの原資となる企業収益は高水準を維持
- 政府が中小企業を含めた賃上げの環境整備に取り組むことを表明
特に注目すべきは、「緩和の度合いを適切に調整することは日本経済を息の長い成長軌道に乗せるために必要」と述べ、高市政権との間でも利上げに向けた調整が進展した可能性を示唆した点です。
市場の反応
この発言を受けて、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場が織り込む12月利上げ確率は83%超に上昇しました。野村證券のエコノミストも次回利上げ予想を従来の2026年1月から12月会合へと前倒ししています。
為替市場ではドル円が156円台から155円台半ばへ円高に振れ、債券市場では2年国債利回りが17年半ぶりに1%を突破するなど、金利上昇が顕著となりました。
今後のポイント
12月会合までの主要イベントとして、12月7日の英フィナンシャル・タイムズでの植田総裁発言、9-10日の米FOMC、15日の日銀短観が挙げられます。これらのイベントで目立った混乱がなければ、日銀は利上げに踏み切る公算が大きいと見られています。
【重要】米12月FOMCでの利下げ確率89%、日米金利差縮小へ
FRBの12月利下げ観測が急速に高まっています。CMEグループのフェドウォッチによると、12月FOMCでの0.25%ポイント利下げ確率は89%(12月2日時点)に上昇しました。
この背景には、11月下旬のFRB高官による相次ぐハト派発言があります。特にウォラー理事が11月24日に「米労働市場の軟化を背景に12月利下げを支持する」と明言したことが大きな影響を与えました。また、バンク・オブ・アメリカ(BofA)も見通しを変更し、従来の「据え置き予想」から「利下げ予想」へとスタンスを転換しています。
米国株式市場の反応
前日12月2日の米国株式市場では、FRB利下げ期待を背景にハイテク株を中心に買いが入りました。主要3指数の終値は以下の通りです:
- ダウ平均:47,474.46ドル(+185.13ドル、+0.39%)
- ナスダック:23,413.68(+137.76ポイント、+0.59%)
- S&P500:6,047.15(+14.77ポイント、+0.24%)
この米株高が本日の東京市場にも波及し、日経平均の上昇を後押ししています。
本日の注目指標
本日は米国の重要経済指標が相次いで発表されます。日本時間22時15分に11月ADP雇用統計、24時に11月ISM非製造業景況指数の発表が予定されています。通常週末に発表される雇用統計が政府機関の一部閉鎖により延期される可能性があるため、ADP雇用統計への注目度が高まっています。
市場予想では、ADP雇用統計は前月から伸び悩む内容が予想されており、弱い結果となれば利下げ期待がさらに強まり、ドル安圧力が増す可能性があります。
日銀の利上げ観測と米FRBの利下げ観測が同時に進行する中、日米金利差の縮小を見越した動きが為替市場のテーマとなっています。
日経平均が一時5万円突破、半導体関連株が牽引
本日の東京株式市場は、米国株高を受けて堅調なスタートとなりました。日経平均株価は続伸し、終値は前日比561円23銭(1.14%)高の49,864円68銭となりました。注目すべきは、取引時間中に一時5万円の大台に乗せる場面があったことです。
上昇を牽引した銘柄
AI・半導体関連株が相場をリードしました。主な上昇銘柄は以下の通りです:
- アドバンテスト(半導体検査装置)
- ソフトバンクグループ(通信・投資)
- 東京エレクトロン(半導体製造装置)
- レーザーテック(半導体検査装置)
- リクルート(人材サービス)
特にソフトバンクグループの大幅高が市場心理を改善させ、後場にかけて株価指数先物主導で上げ幅を800円超まで拡大しました。
上値を抑えた要因
ただし、長期金利が再び上昇したことで、大引けにかけて上げ幅を縮小する展開となりました。東証株価指数(TOPIX)は逆に反落し、前日比6.74ポイント(0.20%)安の3,334.32で終了しています。
値上がり銘柄数432に対し、値下がり銘柄数は1,120と、ハイテク株への選別買いが目立ちました。小売り株(イオンなど)や銀行株は利益確定売りで軟調、自動車株(トヨタなど)も下落しました。
長期金利上昇の影響
日銀の12月利上げ観測による長期金利上昇が、金融コストに敏感なセクターの重荷となっています。今後、5万円台を定着させられるかどうかは、日米の金融政策決定会合の結果次第と言えるでしょう。
豪GDPが予想下回る+0.4%成長、豪ドル下落も利上げ観測は継続
本日午前9時30分、オーストラリア統計局が発表した2025年第3四半期(7-9月)の実質GDP成長率は前期比+0.4%となり、市場予想の+0.7%を下回りました。
成長鈍化の主な要因
成長率が予想を下回った主因は、在庫の大幅減少による0.5%ポイントの押し下げ効果でした。しかし、基調的な経済の強さを示す指標は堅調です:
- 国内最終需要:1.1%ポイントの押し上げ効果
- 前年比成長率:+2.1%(2023年半ば以来の高水準)
- 家計貯蓄率:6.0%→6.4%に上昇
- 民間投資:0.5%ポイントの押し上げ効果
前年比の伸び率2.1%は、オーストラリア準備銀行(豪中銀)の成長予測2%を上回っており、経済の底堅さを示しています。
インフレ圧力の持続
国内需要デフレーターは第3四半期に1.3%上昇と堅調で、インフレ圧力の持続を示唆しています。このため、豪中銀による早期利下げの可能性は低下しており、むしろ利上げの可能性すら指摘されています。
市場の反応
発表後、豪ドルは0.2%上昇し0.6579米ドルとなりました。豪3年債先物は6ティック安の95.99ドルと、1月以来の安値を記録しています。
スワップ市場では、豪中銀が来年終盤まで政策金利(現在3.60%)を据え置き、年末までに利上げを実施する可能性を完全に織り込んでいます。12月9日の豪中銀理事会では政策金利の据え置きが確実視されていますが、声明文の文言には注目が集まりそうです。
豪ドル円については、日銀の利上げと豪中銀の金融引き締め長期化の両方の影響を受けるため、今後の動向を注視する必要があります。
原油価格が3日続落、ウクライナ・ロシア停戦期待で供給懸念後退
本日の商品市場では、原油価格が3日続落する展開となりました。ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のWTI原油先物1月限は58.64~58.65ドル付近で推移しています。
下落の背景
原油価格が下落している主な理由は、ロシアとウクライナの和平交渉が進展するとの期待です。停戦が実現すれば、ロシアに対する制裁が緩和され、ロシア産原油の供給が市場に戻る可能性があります。
12月上旬には米国の代表団がモスクワを訪問する予定であり、米国とウクライナの交渉進展も注目されています。前日12月2日のニューヨーク市場では、こうした和平への「脆弱な」期待と供給過剰の懸念から、原油価格は約1%下落しました。
金価格も連動して下落
金価格も原油に連動して下落しています。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月物は1オンス=4,205ドル付近で推移し、国内市場でも金は続落しました。
今後の注目点
今後は以下のポイントに注意が必要です:
- 12月上旬の米国代表団のモスクワ訪問結果
- 米国とウクライナの交渉進展度合い
- OPECプラスの2026年末までの減産措置の実効性
- 中国の原油需要回復ペース
原油価格の下落はインフレ圧力の緩和要因となり、各国中央銀行の金融政策判断にも影響を与える可能性があります。日本の輸入物価にもプラスに作用し、日銀の利上げ判断材料となる可能性があります。
一方で、停戦交渉が決裂すれば地政学リスクが再燃し、価格が急騰するリスクも残されています。引き続き、地政学動向には注意が必要です。
今後の注目ポイント
年末に向けて、以下のイベントに注目です:
【今週の重要イベント】
- 12月3日(本日)22:15 – 米11月ADP雇用統計
- 12月3日(本日)24:00 – 米11月ISM非製造業景況指数
- 12月6日 – 米11月雇用統計(延期の可能性あり)
- 12月7日 – 植田日銀総裁、英FT主催イベントで講演
【来週以降の重要イベント】
- 12月9-10日 – 米FOMC(利下げ確率89%)
- 12月9日 – オーストラリア準備銀行(RBA)理事会
- 12月15日 – 日銀短観(2025年12月調査)
- 12月18-19日 – 日銀金融政策決定会合(利上げ確率83%)
特に、日米の金融政策決定会合は年末の相場を大きく左右する可能性があります。植田総裁の講演や日銀短観での企業の賃上げスタンスにも注目が集まります。
編集部からのコメント
本日の市場は、日米の金融政策決定会合を前にした「政策期待相場」の様相を呈しています。
植田日銀総裁の12月利上げ示唆とFRBの12月利下げ観測が同時に高まる中、日米金利差の縮小を見越した円高圧力が強まっています。特に、OIS市場が織り込む利上げ確率83%という水準は、市場が相当程度12月利上げを織り込んでいることを示しています。
ただし、12月会合までにはまだ2週間以上あり、この間に発表される経済指標や要人発言次第では、市場の期待値が変化する可能性もあります。特に本日発表される米ADP雇用統計とISM非製造業景況指数は、米利下げ観測に影響を与える重要な指標となります。
日経平均が一時5万円を突破したことは明るい材料ですが、長期金利上昇による上値の重さも意識されています。年末のポートフォリオ調整や税金対策の売りなども控えており、短期的なボラティリティ上昇には注意が必要かもしれません。
また、豪GDPが予想を下回ったものの内需は堅調という結果や、原油価格の停戦期待による下落など、グローバルな経済指標も複雑な動きを見せています。こうした中で、投資家の皆さまには冷静な判断が求められる局面と言えるでしょう。
今週から来週にかけては、重要なイベントが目白押しです。市場のボラティリティが高まる可能性がありますので、リスク管理を徹底しながら、慎重に相場と向き合っていただければと思います。
締めの挨拶
いかがでしたでしょうか。本日は日米の金融政策期待が交錯する、非常に興味深い市場展開となりました。
今晩は米ADP雇用統計とISM非製造業景況指数の発表があります。結果次第では為替市場が大きく動く可能性がありますので、ポジションをお持ちの方は十分ご注意ください。
明日も最新の市場情報をお届けいたします。本日も良い一日をお過ごしください!
FX編集部 田中
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