FX編集部の田中です。連休明けの月曜日、海外市場では米中貿易摩擦を巡る動きが市場を大きく揺さぶる展開となりました。トランプ大統領の発言が二転三転する中、投資家の皆さまは神経質な相場展開を強いられたのではないでしょうか。
本日は前日(10月13日)の海外市場で起きた重要なニュースをお届けいたします。
前日の市場概況
NY株式市場:大幅反発(S&P500:+1.6%)
ドル円:152円台前半で推移
NY金:史上最高値を更新(4133.00ドル)
WTI原油:59.49ドル(+1.00%)
重要ニュース
ニュース1:米中貿易摩擦への懸念が一転緩和、米株は5月以来の大幅上昇
10日にトランプ大統領が中国のレアアース輸出規制に反発し、11月1日から100%の対中追加関税を課すと警告したことで、市場には緊張が走りました。しかし、その後わずか数日で大統領は姿勢を軟化させ、中国との「ディール(取引)」に前向きな発言を行いました。
バンス副大統領も12日に「結果は中国の対応次第」と述べ、協議継続の可能性を示唆しています。この発言を受けて、13日の米株式市場は大幅反発。ダウ工業株30種も大きく上昇し、投資家心理が改善しました。
ベッセント米財務長官は13日、週末に米中間で「実質的なコミュニケーション」があったことを明らかにし、今週中にスタッフレベルの協議が行われるとの見通しを示しました。さらに、今月韓国で予定されている米中首脳会談についても「引き続き実施されるとみている」と発言しています。
ただし、楽観は禁物です。ベッセント財務長官は同時に、中国が打開に向けて行動を起こさない場合には「力ずくの対抗措置」を取ると警告しており、状況は依然として流動的と言えます。
市場インパクト:リスクオンの動きが加速し、株式市場全般に買いが入りました。為替市場でもリスク通貨が買われる展開となっています。
ニュース2:NY金が史上最高値を更新、米中摩擦と世界経済の不透明感で
13日のNY金先物市場では、大幅続伸となりました。米中貿易摩擦への根強い懸念と、世界経済の先行き不透明感が安全資産である金への需要を押し上げています。
興味深いのは、米株式市場が大幅に上昇する一方で、金も最高値を更新したことです。これは市場参加者の間で、短期的な楽観と中長期的な不安が混在していることを示唆しています。投資家の皆さまの中には、リスク資産と安全資産の両方に分散投資している方も多いのではないでしょうか。
金価格の上昇を支える要因として、以下の点が挙げられます:
- 米中貿易摩擦の先行き不透明感
- 地政学リスクの高まり
- 世界的な中央銀行による金購入の継続
- ドル安圧力
金融アナリストの間では、今後も金価格は高値圏で推移するとの見方が優勢です。
市場インパクト:金関連銘柄や金ETFに資金が流入。為替市場では円が買われやすい地合いとなりました。
ニュース3:原油価格が反発、米中対立緩和で需要懸念が後退
アジア時間から始まった原油先物の上昇は、NY市場でも継続しました。米中貿易摩擦が激化すれば世界経済が減速し、原油需要が落ち込むとの懸念が市場を支配していましたが、13日は両国の対話継続姿勢が明確になったことで、この懸念が後退しました。
ただし、原油価格は依然として60ドルを下回る水準にあり、需要の先行きには慎重な見方も残っています。OPECは最新の月次報告書で、2026年には原油供給が需要とほぼ一致するとの予想を示しましたが、世界経済の成長ペースが鈍化すれば、この見通しも修正される可能性があります。
原油価格の動向は、インフレ率や各国の金融政策にも影響を与える重要な指標です。引き続き注視が必要でしょう。
市場インパクト:エネルギー関連株が上昇。資源国通貨(カナダドル、豪ドルなど)にも買いが入りました。
ニュース4:豪中銀、即時利下げ必要なしと判断-11月会合はデータ注視
14日に公表された9月30日の理事会議事要旨によると、RBAはサービス業のインフレがやや根強く、雇用が安定していることから、同会合で直ちに利下げする必要はないと判断しました。
議事要旨では「キャッシュレート目標を直ちに引き下げる必要はない」と結論付けており、「今後については、理事会が引き続き慎重に、データに基づいて決定を下すのが適切」との認識が示されています。
11月4日の次回会合では、第3四半期のインフレ・消費に関する指標に焦点を当てる方針です。理事会は住宅価格の上昇と住宅ローンの増加について、これまでの利下げが一定の効果をもたらしていることを示唆していると評価しています。
豪ドル保有者の方々にとっては、利下げ時期の見極めが重要なポイントとなりそうです。
市場インパクト:豪ドルは底堅い動き。ただし、11月会合での利下げ観測は完全には消えておらず、今後の経済指標次第で変動する可能性があります。
ニュース5:ゴールドマン、トランプ関税コストの55%を米消費者が負担と試算
ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、トランプ米大統領による関税措置のコストの55%を、米国民が負担することになるとの試算を発表しました。
これは関税が輸入価格の上昇を通じて最終的に消費者物価に転嫁されるためです。仮に100%の追加関税が実施されれば、対象品目の価格は大幅に上昇し、米国のインフレ率を押し上げる可能性があります。
このような状況下では、FRBが利下げペースを鈍化させる可能性も出てきます。投資家の皆さまは、インフレ動向と金融政策の関係性を注視する必要がありそうです。
トランプ大統領は「関税は中国に損害を与えるためではなく、公平な貿易のため」と主張していますが、実際には米国の消費者や企業にも大きな影響が及ぶことが、この試算からも明らかになっています。
市場インパクト:米国のインフレ見通しに影響。長期的にはFRBの金融政策スタンスにも関係する可能性があります。
本日の注目ポイント
- パウエルFRB議長の講演(日本時間15日午前1時20分) 全米企業エコノミスト協会(NABE)年次総会で「経済見通しと金融政策」をテーマに講演予定。今後の利下げペースに関する示唆に注目が集まります。
- 米中貿易協議の進展 今週予定されているスタッフレベルの協議で、どのような進展があるか注目です。
- 日本の政局動向 自公連立解消を受けた新政権の枠組み作りが、アジア市場に影響を与える可能性があります。
- 経済指標発表 本日は主要な経済指標の発表予定はありませんが、パウエル議長の講演が事実上の指標となりそうです。
編集部からのコメント
前日の市場は「トランプ大統領の一言」で大きく動く展開となりました。投資家の皆さまの中には、発言の変化についていくのが大変だったという方も多いのではないでしょうか。
現在の市場は短期的な材料に敏感に反応する傾向が強まっています。こうした環境下では、感情的な判断を避け、冷静にポジション管理を行うことが重要です。
特に本日夜のパウエルFRB議長の講演は、今後の金融政策の方向性を占う上で重要なイベントとなります。タカ派的な発言が出れば市場は動揺する可能性がありますので、リスク管理を徹底することをお勧めいたします。
また、米中関係については「二転三転」が常態化しつつあります。楽観と悲観を繰り返す展開が続く可能性が高いため、ニュースに一喜一憂せず、中長期的な視点を持つことが大切だと感じています。
本日も良いトレードを!
以上、本日の海外FX・投資関連ニュースをお届けしました。
市場は依然として不透明な要素が多く、予断を許さない状況が続いています。皆さまにおかれましては、無理なポジション取りを避け、リスク管理を第一に考えた取引を心がけていただければと思います。
本日も安全で収益性の高いトレードができますよう、心よりお祈り申し上げます。
何かご質問やご要望がございましたら、お気軽に編集部までお寄せください。
それでは、良い一日をお過ごしください!
FX編集部 田中
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