昨日の海外市場は、米中貿易摩擦の激化と米政府閉鎖の長期化を背景に、明確なリスク回避の動きが見られました。金価格は史上最高値を更新し続け、ドル円も150円台前半まで下落するなど、市場は不安定な状況が続いています。本日も注目のニュースが目白押しですので、しっかりチェックしていきましょう。
本日の重要ニュース
【最重要】金価格が史上最高値4,240ドル突破!安全資産需要が急拡大
NY金先物は昨日早朝、スポット価格で1オンス=4,242ドルの史上最高値を記録しました。これは前日比で約1.5%の上昇となります。東京市場でも金価格は前日比257円高の2万990円/グラム(2026年8月物)に上昇し、初めて2万1,000円に迫る展開となりました。
今回の金価格急騰の背景には、米中間の貿易摩擦激化があります。中国がレアアース(希土類)の輸出制限を強化したことに対し、トランプ大統領が報復関税を警告するなど、対立が深刻化しています。また、米政府閉鎖が2週間を超えて長期化しており、重要な経済指標の発表が軒並み延期される事態となっていることも、市場の不確実性を高めています。
金は2025年に入ってから約57%も上昇しており、まさに「有事の金」としての本領を発揮している状況です。投資家の皆様におかれましては、リスク分散の観点から金への配分を見直す良いタイミングかもしれません。
市場への影響: 株式市場ではリスク回避により米株が上げ幅を縮小し、為替市場では安全資産である円が買われる展開となりました。銀も連動して大幅上昇し、産金株指数は2.2%高となっています。
今後の注目点: 米中貿易交渉の進展状況、特にレアアース問題の行方に注目が集まります。また、金が4,300ドル、東京金が2万1,500円を突破できるかどうかが、次の焦点となるでしょう。
ドル円150円台前半まで急落、日米財務相発言が円高圧力に
昨日の為替市場では、ドル円が大きく下落する展開となりました。15日のNY時間には米中対立懸念の高まりを受けて米株が急速に上げ幅を縮小し、円買いが進行しました。ドル円は151.734円から151.039円まで下落し、日中変動幅は約70銭に達しています。
16日のアジア時間には、加藤財務相が「円安方向で急激な動きがみられる」と発言し、円安を牽制する姿勢を示しました。これを受けてドル円はさらに下落し、一時150.51円まで下げる場面がありました。その後は151円台前半まで戻していますが、上値の重い展開が続いています。
一方、ベッセント米財務長官は「円相場の水準についてはコメントしない」としながらも、「日銀が適切に金融政策を運営し続ければ、円相場も適正な水準に落ち着くだろう」と発言しています。また、田村直樹日銀審議委員は「中立金利にまだ距離がある」とし、「利上げを判断するべき局面にきている」との見解を示しましたが、市場の反応は限定的でした。
150円という心理的な節目が目前に迫っており、今後の動向には細心の注意が必要です。
市場への影響: 円高進行により輸出関連株には売り圧力がかかりました。ユーロ円も176円台前半まで下落し、全般的に円高の流れとなっています。
今後の注目点: 米中貿易交渉の行方、日米財務相会談での為替協議の内容、そして10月29-30日の日銀金融政策決定会合での利上げ判断が焦点となります。150円の節目を下抜けるかどうかにも注目です。
豪州失業率4.5%に上昇、11月利下げ観測で豪株は最高値更新
オーストラリア統計局が昨日発表した9月の雇用統計は、市場に大きな衝撃を与える内容となりました。失業率は4.5%に上昇し、市場予想の4.3%を大きく上回りました。これは2021年以来、約4年ぶりの高水準です。就業者数の増加も+14,900人にとどまり、市場予想の+20,000人を下回る結果となりました。
この結果を受けて、RBAが11月4日の理事会で25bpの利下げに踏み切るとの観測が急速に高まりました。市場では11月利下げの織り込み度が50%程度から80%超へと急上昇しています。
興味深いことに、豪ドルは発表直後に急落した一方で、オーストラリアの株式市場は史上最高値を更新しました。S&P/ASX200指数は9,109.70まで上昇し、初めて9,100の大台を突破しています。利下げ期待が株式市場にはプラスに働いた形です。
市場への影響: 豪ドル/米ドルは0.6500付近から急落し、約0.3%下落しました。一方、豪株は最高値を更新し、金融株指数は1%超上昇、不動産株指数は2.8%高となっています。
今後の注目点: 10月末に発表される四半期インフレ統計がRBAの政策判断に重要な影響を与えます。11月4日の金融政策決定会合での判断と、2026年2月の追加利下げ可能性に注目が集まります。
自民・維新の連立協議開始で日本株続伸、政局不透明感が後退
自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表が15日に会談し、連立政権樹立を視野に16日から政策協議を開始することで一致しました。これを受けて、昨日の日本株式市場は続伸となり、日経平均株価は605.07円高(+1.27%)の48,277.74円で引けました。
政治の不透明感がやや後退したことで、投資家心理が改善した形です。半導体株や金融株を中心に買いが入り、幅広い銘柄が上昇しました。ただし、いわゆる「高市トレード」の巻き戻しは継続しており、為替市場では円高圧力が残存している状況です。
維新側は消費税廃止、企業献金廃止など12項目を自民側に提示しており、今後の協議の行方が注目されます。債券市場では長期金利が一時1.660%に上昇する場面もありましたが、その後1.650%で横ばいとなっています。
市場への影響: 日経平均は605円上昇し、防衛関連、建設、金融株に買いが入りました。ただし為替市場では「高市トレード」巻き戻し継続で円高基調は変わっていません。
今後の注目点: 17日以降の政策協議の進展状況、維新の12項目要求に対する自民の対応、そして連立政権樹立の可否と時期が焦点となります。
米政府閉鎖2週間超、経済指標発表延期でFRBも判断困難に
米国の政府閉鎖は昨日時点で2週間を超え、出口が見えない状況が続いています。この影響で、9月の消費者物価指数(CPI)の発表は当初予定の10月15日から10月24日へと延期されました。小売売上高、生産者物価指数(PPI)など、他の主要経済指標の発表も軒並み延期されています。
労働省、商務省などの統計部門が機能停止しているため、FRBは「物価の安定」と「雇用の最大化」という2つの責務を判断するために必要なデータを得られない状況です。このため、市場参加者は民間のADP雇用統計などの代替データに依存せざるを得ない状況となっています。
10月29-30日に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)では、こうしたデータ不足の中で金融政策を判断しなければならない可能性があり、市場の不確実性が高まっています。昨日は6名のFRB当局者が講演を行い、その発言内容に注目が集まりました。
市場への影響: データ不足により市場のボラティリティが上昇し、FRBの利下げ観測が優勢となっています。株式市場は方向感が定まらず神経質な展開が続いています。
今後の注目点: 米政府閉鎖の解決時期、延期された経済指標の発表スケジュール、そして10月末のFOMCでの政策判断が最大の焦点です。
今後の注目ポイント
今週後半から来週にかけて、以下のポイントに注目が必要です:
- 米中貿易交渉の進展: レアアース問題を巡る両国の対立がさらに激化するのか、それとも対話の糸口が見えるのか
- 米政府閉鎖の解決: 経済指標発表の再開時期とFOMCへの影響
- 日銀の政策スタンス: 10月29-30日の金融政策決定会合での利上げ判断
- 豪RBAの利下げ: 11月4日の理事会での政策決定
- 金価格の動向: 4,300ドル突破の可能性と、リスク回避の動きがどこまで続くか
特に、米中関係と米政府閉鎖という2つの大きな不確実性要因が市場を支配している状況ですので、突発的なニュースには十分ご注意ください。
編集部からのコメント
昨日の市場は、まさに「有事」を象徴するような動きとなりました。金価格の史上最高値更新、ドル円の急落、そして米政府閉鎖の長期化と、不安定要因が重なっています。
こうした局面では、無理にポジションを持つよりも、様子見の姿勢も重要です。特に、米中貿易問題と米政府閉鎖という2つの大きなイベントが同時進行している現在は、予測困難な展開も十分考えられます。
一方で、金のような安全資産への配分見直しや、豪ドルのような利下げ期待がある通貨の動向など、トレンドが明確な部分もあります。リスク管理を徹底しながら、チャンスを見極めていく姿勢が求められる相場環境だと言えるでしょう。
本日も複数のFRB当局者の発言が予定されていますので、ヘッドラインには注意が必要です。また、欧州時間にはECBのラガルド総裁の発言も予定されています。
それでは、本日も良い取引を!市場の動きには十分お気をつけください。
FX編集部 田中
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