皆さま、おはようございます!FX編集部の田中です。
週明けの海外市場は、日本の政治情勢が大きく動いたことで、為替・株式市場ともに活発な動きとなりました。前週末のNY市場では主要3指数が揃って上昇し、リスクオン(投資家のリスク選好)の流れが継続しています。
本日は、自民党と日本維新の会の連立合意が市場に与えた影響を中心に、日銀の金融政策や米中貿易交渉など、トレーダーの皆さまに押さえていただきたい重要ニュースをお届けします。
それでは、前日(10月20日)の主要ニュースを見ていきましょう。
ニュース1:自民・維新が連立合意、高市政権誕生へ ★★★
10月20日夕方、自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表が国会内で会談し、連立政権樹立の合意書に署名しました。本日21日に召集される臨時国会の首相指名選挙で、維新は1回目の投票から高市氏に票を投じる方針です。
合意された主要政策は以下の通りです:
- ガソリン税の暫定税率廃止法案を臨時国会で成立させる
- 飲食料品について2年間限定で消費税の対象外とすることを視野に法制化を検討
- 衆議院議員定数の1割削減を議員立法案として提出
- インフレ対応型の経済政策へ移行
- 現金給付は行わない方針を確認
この政治情勢の安定化を受けて、東京株式市場では日経平均株価が前日比1,603円高の48,277.97円と史上最高値を更新しました。33業種すべてが上昇する全面高の展開となっています。
為替市場では「高市トレード」として、財政政策への期待から円安が進行し、ドル円は150円台で推移しました。
【市場への影響】
政治の不透明感が一掃されたことで、外国人投資家の買い戻しが加速しています。高市政権の経済政策、特に消費税減税やガソリン税廃止といった家計支援策が実現すれば、個人消費の押し上げが期待されます。一方で、財政拡張への懸念から債券市場では売り圧力も見られました。
トレーダーの皆さまにとっては、今後の円相場が高市政権の経済政策と日銀の金融政策のバランスによって大きく左右される点に注意が必要です。
ニュース2:日経平均が史上最高値48,277円を達成 ★★★
前週末の米国株高(NYダウ+238.37ドル、ナスダック+117.44ポイント)を好感した流れが継続し、東京市場は大幅反発となりました。
上昇を支えた主な要因は次の通りです:
- 自民・維新連立合意による政治の安定化
- 前週末の米国株式市場の堅調な推移
- ドル円が150円台で推移する円安環境
- トランプ米大統領の対中姿勢軟化による米中対立緩和期待
ソフトバンクグループが上場来高値を更新するなど、主力株が軒並み買われる展開となりました。
【市場への影響】
48,000円台の大台突破は投資家心理を大きく改善させました。今後は50,000円という次の節目が意識される展開となりそうです。ただし、短期的には利益確定売りが出やすい水準でもありますので、押し目買いのタイミングを見極めることが重要になります。
為替トレーダーの視点では、株高が続く場合は円安圧力となりますが、日銀の利上げ観測との綱引きにも注意が必要です。
ニュース3:日銀・高田審議委員「利上げの機が熟した」発言で債券急落 ★★☆
日本銀行の高田創審議委員が広島市で行った講演で、物価安定目標は「おおむね達成した局面」との認識を示し、追加利上げの必要性を改めて主張しました。
高田委員の主要な発言内容:
- 「物価安定の目標実現が既におおむね達成した局面にある」
- 「2%を超えるヘッドラインの物価水準にも注目した対応が重要」
- 「米経済や為替変動のリスクも利上げの制約にはならない」
- 9月の金融政策決定会合で0.75%への利上げを提案した理由を説明
この発言を受けて、債券市場では国債が売られ(金利は上昇)、**新発10年債利回り(長期金利)は1.670%**まで上昇しました。日本5年債利回りも1.24%まで上昇しています。
【市場への影響】
10月29-30日に開催される次回の日銀金融政策決定会合で、利上げが実施される可能性が改めて意識される展開となりました。高田氏と田村直樹審議委員は9月会合で利上げを提案した2名の委員です。
為替市場では、利上げ観測の高まりは通常「円高要因」となりますが、昨日は政治安定化による円安圧力のほうが強く、ドル円は一時150円台半ばまで円高に振れたものの、すぐに反発しました。
今後、日銀が実際に利上げに踏み切るかどうかは、高市新政権の財政政策の方向性も見極める必要があり、複雑な判断になりそうです。トレーダーの皆さまは、日銀関係者の発言に引き続き注目していただきたいと思います。
ニュース4:NY金先物が史上最高値4,201ドル、その後は調整局面へ ★★☆
NY金先物12月限は10月16日終値で4,201.60ドルと、3日連続で史上最高値を更新しました。しかし、その後は調整局面に入り、現在は4,250ドル台で推移しています。
金価格が史上最高値を更新した要因:
- 米中貿易摩擦による世界的な不確実性の高まり
- トランプ大統領が中国への100%追加関税を示唆
- FRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測
- 「安全資産」としての需要増加
一方、その後の下落要因は:
- トランプ大統領が対中100%関税は「持続不可能」と発言
- 米中貿易交渉への期待が高まる
- リスクオン環境への転換で利益確定売りが優勢に
【市場への影響】
金価格の動きは「市場のリスク温度計」とも言える存在です。今回の高値更新後の調整は、投資家が過度なリスク回避姿勢から脱却しつつあることを示唆しています。
専門家の間では、HSBCが2026年に金価格が5,000ドルに到達する可能性を予測するなど、中長期的な上昇トレンドは継続するとの見方が多いようです。短期的には4,300ドル、4,400ドルといった節目が意識される展開となりそうです。
ニュース5:トランプ大統領、対中関税で姿勢軟化 ★☆☆
トランプ米大統領は、中国との通商交渉再開を前に、対中姿勢を軟化させる発言を行いました。
主要な発言内容:
- 対中100%追加関税案は「持続不可能」との認識を表明
- 習近平主席との会談実施を確認
- 米中貿易交渉で重視する3つの問題を明示:
- レアアース(希土類)の供給確保
- 合成麻薬フェンタニルの取り締まり
- 大豆の対中輸出
背景として、10月10日に中国がレアアースの輸出規制を強化したことに反発し、トランプ大統領は11月1日から100%追加関税を課すと警告していました。しかし、その後は交渉による解決を模索する姿勢に転換しています。
【市場への影響】
米中対立の沈静化期待は、世界的なリスクオン環境を醸成しました。株式市場では特にハイテク株が恩恵を受け、為替市場ではドル高が進行。リスク回避の円買いが後退したことも、ドル円の上昇を支えました。
ただし、11月1日という期限が設定されているため、それまでに具体的な進展が見られなければ、再び市場が不安定化する可能性もあります。今後の米中首脳会談の動向に注目が集まります。
今後の注目ポイント
短期(今週~来週)
- 本日10月21日:臨時国会召集、首相指名選挙での高市政権誕生
- 10月29-30日:日銀金融政策決定会合(利上げ判断が焦点)
- 11月1日期限:米中貿易交渉の進展状況、対中100%関税発動の有無
中期(11月)
- 11月FOMC:FRBの追加利下げ判断
- 高市新政権の組閣人事と経済政策の詳細発表
- 米国企業決算シーズンの動向
注目すべき経済指標
- 日本の消費者物価指数(CPI)
- 米国の雇用統計
- 中国の経済指標(GDP、小売売上高など)
編集部からのコメント
田中です。
昨日の市場は、日本の政治が大きく動いたことで、久しぶりに「日本発のニュース」が世界の投資家に注目される一日となりました。日経平均の史上最高値更新は素直に喜ばしいニュースですが、高値圏での取引となるため、ポジション管理には十分ご注意ください。
個人的に注目しているのは、日銀の利上げタイミングです。高田審議委員の発言は非常にタカ派(金融引き締め支持)的な内容でしたが、高市新政権が財政拡張路線を取る場合、日銀としては利上げを慎重に進める必要も出てきます。このバランスが今後の円相場を大きく左右するでしょう。
また、米中貿易交渉の行方も引き続き重要です。トランプ大統領の発言は日々変わることもありますので、ヘッドラインに振り回されないよう、冷静な判断を心がけていただければと思います。
為替市場では、ドル円が150円台で推移していますが、日銀の利上げ観測が高まれば円高に振れる可能性もあります。リスク管理を徹底しながら、チャンスを見極めていきましょう!
締めの挨拶
本日の海外FX・投資関連ニュースは以上です。
高市新政権の誕生という歴史的な節目を迎える一日となります。市場は政策の詳細を見極める展開が続きそうですので、ニュースや要人発言には引き続きご注目ください。
それでは、本日も良いトレードを!
また明日の朝10時にお会いしましょう。
FX編集部 田中








