昨日(10月23日)の海外市場は、米中対立の再燃とハイテク株の大幅下落に揺れる展開となりました。トランプ政権による対中ソフトウェア輸出規制の報道を受けて、投資家心理が一気に悪化。NYダウは334ドル安、ナスダックも大きく下落し、リスクオフの流れが鮮明になりました。
一方、為替市場ではドル円が152円台半ばまで上昇。高市政権の財政拡張姿勢と日銀の利上げ見送り観測が円安を後押しする形となっています。本日21時30分には注目の米9月CPI(消費者物価指数)が発表予定ですので、この後の市場動向には特に注意が必要です。
それでは、昨日の主要ニュースを見ていきましょう!
重要ニュース
【最重要】米中対立が再燃、トランプ政権が対中ソフトウェア輸出規制を検討
ロイター通信が22日に報じたところによりますと、トランプ米政権はノートパソコンからジェットエンジンまで、米国製ソフトウェアを使用した幅広い製品の中国への輸出を制限する措置を検討しています。これは中国によるレアアース(希土類)輸出規制への報復措置として位置づけられており、実施されれば世界のサプライチェーンに大きな影響を及ぼす可能性があります。
ベセント米財務長官は「あらゆる選択肢が検討されている」と述べ、G7各国との協調の下で実施される可能性が高いことを示唆しました。トランプ大統領はすでに11月1日付で中国からの輸入品に100%の追加関税を課すと警告しており、米中対立は新たな局面を迎えています。
この報道を受けて、前日の米国株式市場ではエヌビディアなど主要半導体株が大きく下落。NYダウは334.33ドル安(-0.71%)の46,590.41ドルで取引を終えました。東京市場でも23日、アドバンテストや東京エレクトロンなど半導体関連株に売りが波及し、日経平均は前日比666円18銭(1.35%)安の48,641円61銭と大幅続落となりました。
市場への影響: 半導体・ハイテクセクターへの影響が特に深刻で、グローバルサプライチェーンの分断懸念が高まっています。投資家の皆さまは、関連銘柄のポジション管理に十分ご注意ください。
ドル円152円台半ば、日銀10月利上げ見送り観測が9割に
23日の東京外為市場では、ドル円が152.45円まで上昇し、10月14日以来約1週間半ぶりの高値を更新しました。背景には、高市早苗新政権の財政政策スタンスと日銀の金融政策への影響が市場で強く意識されていることがあります。
高市首相は21日の就任会見で「日銀と連携を密にし、意思疎通を図っていくことが何より大事」と述べ、利上げの是非については直接言及を避けました。また、片山さつき財務相は「責任ある積極財政」を推進する姿勢を明確にし、「目的を達するために十分な規模が必要」と発言。城内実経済財政政策担当相も「政府と日銀が足並みをそろえて緊密な協調を図ることが重要」と金融政策への関与を示唆しています。
Bloombergが実施したエコノミスト調査では、10月29-30日に開催される日銀金融政策決定会合で政策金利を0.5%に据え置くとの予想が9割に達しました。一方、12月の利上げ予想は5割に拡大しており、物価高対策のため政権が容認する可能性も指摘されています。
市場への影響: 日米金利差の拡大観測が円売りを促進する構図が続いています。ただし、行き過ぎた円安は政府・日銀の介入リスクもありますので、152円後半から153円にかけては警戒が必要でしょう。
本日21:30 米9月CPI発表、市場は固唾を飲んで待機
本日最大の注目イベントは、日本時間21時30分に発表される米国の9月消費者物価指数(CPI)です。当初10月15日に発表予定でしたが、米政府機関閉鎖(現在22日目)の影響で10月24日に延期されていました。
市場予想は前年比+3.1%(前回+2.9%)となっており、再びインフレ率が上昇に転じる可能性が示唆されています。ベセント米財務長官は22日、「エネルギー価格や住宅価格の下落を踏まえ、CPIが来月もしくは再来月にも低下し始める可能性がある」と楽観的な見方を示しましたが、市場では予想を上回った場合の米金利上昇・ドル高を警戒する声も出ています。
SBI FXトレードのアナリストは「CPIが鈍化せず、先々の米利下れ期待が後退する警戒感が出ている」と指摘。また、政府閉鎖の影響で価格調査に支障が出ており、10月分CPIの精度低下も懸念されています。
市場への影響: CPI結果次第でドル円の方向性が大きく変わる可能性があります。予想を上回ればドル高・円安、下回れば利下げ期待でドル安という展開が想定されます。本日はこの発表を待って大きく動く可能性が高いため、ポジション管理には十分お気をつけください。
日経平均666円安、半導体株の大幅下落が指数を圧迫
23日の東京株式市場では、前日の米株安を受けて日経平均が大幅続落しました。終値は前日比666円18銭(1.35%)安の48,641円61銭。取引時間中には一時900円を超える下落となり、投資家心理の悪化が鮮明になりました。
特に目立ったのは半導体関連株の下落です。前日の米国市場でエヌビディアをはじめとする主要半導体株が軒並み下落したことを受け、東京市場でもアドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなど値がさ株に売りが集中しました。米中対立の激化により、サプライチェーンへの影響を懸念する動きが広がったためです。
一方、TOPIXは前日比12.65ポイント(0.39%)安の3,253.78と、日経平均ほどの下落率にはなりませんでした。不動産や食品など内需関連株には出遅れ感や値ごろ感からの買いが入り、防衛関連などテーマ性に着目した物色も続いたことが下値を支えました。
市場への影響: 短期目線での調整色が強まっていますが、海外短期筋とみられる押し目買いも入っており、日本株の先高観は根強く残っています。来週以降、国内企業の決算発表が本格化しますので、そちらにも注目していきたいところです。
原油は4日続伸、金は利益確定売りで続落
商品市場では明暗が分かれる展開となりました。
原油市場: NY原油先物WTI 12月限は前日比+2.20%の58.50ドルで4日続伸となりました。インドがロシア産原油の輸入を抑えるとの報道で原油市場の需給が引き締まる可能性が意識されたほか、米原油在庫の減少も支援材料となりました。東京時間の時間外取引では一時60ドルを超える場面もあり、心理的節目を回復する勢いを見せています。
金市場: 一方、NY金先物は前日比-1.06%安で続落。21日に5%急落し、過去5年間で最大の下落を記録した流れを引き継ぐ形となりました。市場の状態を示す指数は「買われ過ぎ」から「正常」へと7週間ぶりに変化しており、FOMO(取り残されることへの恐怖)買いへの警戒感が高まっています。国内金先物も続落しましたが、円安が一定の下支え要因となっています。
市場への影響: 原油価格の回復は産油国経済にはポジティブですが、インフレ懸念も再燃させる可能性があります。金は調整局面に入っており、投資家のリスク選好姿勢の変化を示唆しています。
今後の注目ポイント
【超重要】本日21:30 米9月CPI発表
市場予想は前年比+3.1%。結果次第で為替相場が大きく動く可能性があります。ドル円は151円台から153円台のレンジを想定し、発表前後のボラティリティ上昇に備えましょう。
【来週】10月29-30日 日銀金融政策決定会合
政策金利は0.5%据え置きとの見方が9割ですが、植田総裁の記者会見で今後の利上げ時期についてどのようなメッセージが出されるかが焦点です。
【11月1日】トランプ大統領の対中追加関税発動予定
中国からの輸入品に100%の追加関税を課すと警告していますが、実際に発動されるのか、交渉の余地はあるのか、引き続き注視が必要です。
【来週以降】国内企業決算の本格化
為替の円安進行を受けて、輸出関連企業の業績上方修正期待が高まっています。個別銘柄の動きにも注目していきましょう。
編集部からのコメント
昨日は米中対立の再燃という大きなニュースが市場を揺るがしました。トランプ政権による対中ソフトウェア輸出規制の検討は、単なる関税引き上げを超えて、グローバルなサプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があり、今後の展開が非常に気になるところです。
一方、国内では高市新政権の財政拡張姿勢と日銀への金融緩和要請により、円安が加速しています。ドル円152円台半ばという水準は、輸出企業にとっては追い風ですが、輸入物価の上昇を通じて家計にも影響が出てきます。政府・日銀がどこまで円安を容認するのか、為替介入の可能性も含めて注意深く見守る必要があるでしょう。
そして本日最大の注目は、やはり米9月CPIです。政府閉鎖の影響で発表が延期されていただけに、市場の期待と不安が入り混じっています。予想を上回る結果が出た場合、米金利上昇とドル高が進み、世界の株式市場にも影響を及ぼす可能性があります。逆に予想を下回れば、利下げ期待が再燃し、リスクオンの流れが強まるかもしれません。
いずれにしても、本日は大きく動く可能性が高い一日となりますので、ポジション管理には十分お気をつけください。無理なトレードは避け、リスクを適切にコントロールしながら臨むことをお勧めいたします。
それでは、本日も良いトレードを! 何かご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
FX編集部 田中
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