おはようございます!FX編集部の田中です。
昨日29日の市場は大きな動きが目白押しでした。日経平均が史上初の51,000円台に到達する一方、ベッセント米財務長官の発言でドル円が急落するなど、株式と為替で明暗が分かれる展開となりました。本日30日は日米の金融政策決定と米中首脳会談という3大イベントが控えており、市場は緊張感に包まれています。
それでは、昨日の主要ニュースを重要度順にお伝えします。
日経平均が史上最高値を更新!初の51,000円台へ
29日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比1,088円47銭(2.17%)高の51,307円65銭で取引を終了し、史上初の51,000円台に到達しました。
上昇の最大の要因は、半導体検査装置大手のアドバンテストにあります。同社は28日の取引終了後、2026年3月期の営業利益見通しを従来の3,000億円から3,740億円へ大幅に上方修正すると発表しました。AI向け半導体需要の好調が背景にあります。
29日のアドバンテスト株はストップ高水準まで急騰し、この1銘柄だけで日経平均を約1,000円押し上げる計算となりました。ソフトバンクグループやレーザーテックなど、他の半導体関連株も軒並み上昇しています。
また、前日28日の米株式市場でダウ平均が161.78ドル高と続伸し、米中貿易摩擦緩和への期待が高まったことも追い風となりました。東証プライムの売買代金は7兆921億円に達し、活発な取引が見られました。
ただし、市場では「短期的な過熱感は否めない」との指摘も出ています。東証株価指数(TOPIX)は小幅続落となっており、日経平均の上昇が一部の大型株に集中していることがわかります。
投資家の皆様へ: 半導体セクターの勢いは素晴らしいですが、本日の日銀会合の結果次第では調整局面に入る可能性もありますので、慎重な判断が求められます。
ベッセント米財務長官が日銀に利上げ促す、ドル円151円台へ急落
29日の東京市場で、為替市場に大きな波紋が広がりました。ベッセント米財務長官が朝方、自身のX(旧Twitter)アカウントに「日本政府が日本銀行に政策余地を与える姿勢は、インフレ期待を安定させ、過度な為替変動を回避する上で鍵となる」と投稿したためです。
この発言は、29-30日に開催される日銀の金融政策決定会合を前に、暗に利上げを促す意図があると市場で解釈されました。発言を受けてドル円は一時151円54銭まで下落し、その後も151円80円台で推移しました。ユーロ円も177円台前半と7営業日ぶりの円高水準となりました。
木原官房長官は記者会見で「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるべきだ」とコメントし、米政権の介入姿勢に一定の距離を置く姿勢を示しました。
債券市場でも反応が見られ、日銀のタカ派化(利上げ方向への転換)を警戒した売りが出て、国債先物は反落しています。新発10年国債利回り(長期金利)は1.650%と1.0ベーシスポイント上昇しました。
トランプ政権は過去にも日本の金融政策に言及しており、「ベッセント・シーリング」と呼ばれる円安への警戒水準が市場で意識されています。
投資家の皆様へ: 本日30日の日銀会合で利上げが実施されるかどうかが最大の焦点となります。利上げがあれば円高が加速する可能性が高いでしょう。
OMC、0.25%利下げ実施見込みもガイダンスは不透明
米連邦準備制度理事会(FRB)が28-29日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25ポイント(25bp)の利下げ実施がほぼ確実視されています。FF金利先物市場では織り込み度が99.9%に達しており、政策金利は4.25-4.50%から4.00-4.25%へ引き下げられる見込みです。
結果発表は日本時間30日午前3時、パウエルFRB議長の記者会見は午前3時半から予定されています。
注目されるのは、利下げそのものよりも、今後の政策方針に関するガイダンスです。FOMC内では労働市場悪化を懸念する声とインフレ警戒を訴える声が分かれており、明確な将来指針を示すことが困難な状況にあります。
9月の消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回る伸びとなりましたが、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比3%上昇と、FRBの目標である2%を1ポイント上回っています。
また、量的引き締め(QT)の停止時期も注目点となっています。パウエル議長は14日の講演で「数カ月以内にバランスシート縮小を停止する可能性がある」と示唆しており、今回の会合で決定される可能性も指摘されています。
投資家の皆様へ: 利下げは織り込み済みですが、パウエル議長の会見内容次第でドル相場や株式市場が大きく動く可能性があります。深夜の発表となりますが、重要なイベントです。
米中首脳会談で関税引き下げ期待、人民元が1年ぶり高値
トランプ米大統領と習近平中国国家主席の首脳会談が本日30日、韓国・釜山で開催されます。25-26日にマレーシアで行われた閣僚級協議では「実質的な枠組み」で合意しており、首脳会談での正式合意が期待されています。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によれば、米国は中国製品に課している20%の関税を最大10%引き下げる可能性があるとのことです。条件として、中国が合成麻薬フェンタニルの密輸対策で協力することが求められています。
また、米国による対中100%の追加関税発動の回避や、中国によるレアアース輸出規制の1年延期でも合意する見通しと報じられています。
この期待感を受けて、上海外国為替市場では人民元が1年ぶりの高値を記録しました。前日28日の米株式市場では、ダウ平均など主要3指数が揃って史上最高値を更新しており、グローバル市場全体でリスク選好の動きが強まっています。
日本株の急騰も、この米中貿易摩擦緩和への期待が大きな支援材料となりました。
投資家の皆様へ: 首脳会談の結果次第では、グローバル株式市場にさらなる上昇余地が生まれる可能性があります。ただし、期待外れの内容であれば失望売りのリスクもありますので、注意が必要です。
原油価格が続落、需給緩和懸念でWTI60ドル台に
29日のニューヨーク商品取引所で、WTI原油先物12月限は前日比1.16ドル(1.89%)安の1バレル60.15ドルで取引を終えました。3日続落となります。
下落の背景には、ロシアの石油大手2社に対する米国の制裁措置が世界的な供給量に与える影響を市場が見極めようとしていることがあります。また、産油国グループOPECプラスが増産を決定する見通しとの報道も、価格の下押し要因となりました。
一方で、米原油在庫の減少が一時的な買い支え要因となり、午前中は堅調に推移する場面も見られました。
商品市場全体では、米中貿易摩擦緩和への期待からリスク回避需要が後退し、金価格も下落して3,953ドル付近で推移しています。
投資家の皆様へ: 原油価格の下落は、日本の輸入企業にとってはコスト削減のプラス材料となります。一方、資源国通貨やエネルギー関連株には下押し圧力となる点に留意が必要です。
本日の注目ポイント
本日30日は、以下の3大イベントが控えており、市場は非常に重要な局面を迎えます。
1. FOMC結果発表(日本時間午前3時)
- 0.25%利下げは織り込み済み
- パウエル議長会見(午前3時半~)での今後の政策方針に注目
- QT(量的引き締め)終了の判断があるか
2. 日銀金融政策決定会合(30日15:30結果発表予定)
- 6会合連続で利上げ見送りとなるか、それとも利上げ実施か
- 植田総裁の記者会見での今後の政策スタンスに注目
- ベッセント財務長官の発言を受けた対応
3. 米中首脳会談(韓国・釜山)
- 追加関税引き下げ幅の具体的内容
- レアアース輸出規制延期の正式合意
- 合成麻薬フェンタニル問題での協力内容
これら3つのイベントの結果次第で、為替相場、株式市場、債券市場のすべてが大きく動く可能性があります。特に日銀会合で利上げが実施された場合、円高が一気に進行するシナリオも考えられます。
編集部からのコメント
昨日は日経平均が史上最高値を更新する一方、為替市場では円高圧力が強まるという、株高・円高という珍しい組み合わせの展開となりました。
通常、日本株が上昇する際は円安傾向になることが多いのですが、今回は米財務長官の日銀政策への言及という特殊要因が働いた形です。これは、トランプ政権が日本の金融政策に積極的に関与しようとする姿勢を示すものとして、市場関係者の間で議論を呼んでいます。
本日は文字通り「3大イベントデー」となります。FOMCと日銀会合という主要2中央銀行の政策決定に加え、米中首脳会談という地政学イベントが重なる日は極めて稀です。
特に注目すべきは、これらのイベントが相互に影響し合う可能性がある点です。例えば、日銀が利上げを実施すれば円高が進み、米国株や日本株にも影響が及びます。逆に米中首脳会談でポジティブな合意があれば、リスク選好が強まり、円安方向に振れる可能性もあります。
投資家の皆様におかれましては、本日は特に慎重なポジション管理を心がけていただきたいと思います。レバレッジの高いポジションは控えめにし、急激な相場変動にも対応できる余裕を持っておくことをお勧めします。
本日も一日、安全な取引をお願いいたします。最新情報は随時更新してまいりますので、定期的にチェックしていただければ幸いです。
それでは、良い一日をお過ごしください!
FX編集部 田中
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