おはようございます!FX編集部の田中です。
昨日(10月30日)の海外市場は、まさに「歴史が動いた日」と言えるような重要なイベントが目白押しでした。米中首脳会談での関税引き下げ合意、FRBと日銀の金融政策決定と、市場を動かす大きなニュースが相次ぎました。
ドル円は一時153円台まで上昇し、日経平均株価は2日連続で史上最高値を更新するなど、投資家の皆さまにとっても見逃せない1日だったのではないでしょうか。
それでは、昨日の重要ニュースを詳しく見ていきましょう。
本日の重要ニュース
【最重要】米中首脳会談で関税10%引き下げ合意!6年ぶりの直接対話で緊張緩和へ
昨日午前、韓国・釜山の金海空軍基地で、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が約6年ぶりとなる直接会談を行いました。会談時間は当初の予定を大きく上回る1時間40分に及び、両首脳とも会談を「大成功」と評価しています。
最も注目すべき合意内容は以下の通りです。
主な合意事項:
- 対中追加関税を直ちに10%引き下げ
- レアアース(希土類)の輸出障壁が解消
- 中国による米国産大豆の大量購入
- フェンタニル対策での協力強化
トランプ大統領は会談後、「レアアースの問題はすべて解決した。中国からの障壁はもうなくなった」と述べ、長年の懸案事項が解決に向かったことを強調しました。習主席側も「主要な貿易問題の解決に向けて合意に達した」と発表しています。
さらに注目すべきは、トランプ大統領が来年4月に中国を訪問する意向を示し、習主席もその後米国を訪問する可能性を示唆したことです。両国関係の長期的な改善に向けた道筋が見えてきたと言えるでしょう。
市場への影響: この合意を受けて、リスクオンのムードが市場全体に広がりました。日経平均株価は終値で51,325円61銭と史上最高値を更新し、ドル円は153円台まで円安が進行しました。貿易摩擦の緩和期待から、特に半導体関連株に買いが集中した形です。
今回の合意は市場予想の範囲内という見方もありますが、6年ぶりの直接対話が実現したこと自体が、今後の両国関係改善への期待感を高めています。
【重要】FRBが2会合連続利下げも、12月は「既定路線ではない」とパウエル議長
米連邦準備制度理事会(FRB)は10月28-29日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、政策金利を0.25%引き下げ、3.75~4.00%とすることを決定しました。これで2会合連続の利下げとなります。
声明文では「ここ数カ月で雇用の下振れリスクが高まった」と指摘し、労働市場への配慮姿勢を示しました。現在、連邦政府の一部閉鎖により多くの経済統計の公表が停止されている中、雇用悪化リスクへの予防的措置という位置づけです。
パウエル議長の会見がサプライズに: しかし、会見でパウエル議長が示した姿勢は市場予想よりもタカ派的でした。「12月会合での利下げは決して既定路線ではない」と明言し、「政策委員の意見が大きく分かれている」と述べたのです。
市場では12月の追加利下げを8割程度の確率で織り込んでいましたが、この発言を受けて確率は大幅に低下しました。FRBの慎重姿勢が鮮明になった形です。
また、量的引き締め(QT)については12月1日で終了することも発表されました。
市場への影響: NYダウは74.37ドル安と5日ぶりに反落しました。利下げ期待の後退で、特に不動産・金融株に売りが出ています。一方で、ナスダックはAI関連企業の好決算を背景に130.98ポイント高の23,958.47と史上最高値を更新し、明暗が分かれました。
為替市場ではドル高が進行し、ドル円は153円台まで上昇。米国債市場では長期金利が上昇する展開となっています。
投資家の皆さまにとっては、12月の追加利下げが実現するかどうかが、年末に向けた重要な焦点となりそうです。11月に発表される経済指標、特に雇用統計とインフレ指標が判断材料になるでしょう。
【重要】日銀は6会合連続で金利据え置き、ただし2名が利上げ提案
日本銀行は昨日開催した金融政策決定会合で、政策金利を0.5%で据え置くことを決定しました。1月に0.5%へ利上げして以降、6会合連続での据え置きとなります。高市早苗政権発足後、初めての決定会合でした。
注目は委員の反対票: 興味深いのは、9人の政策委員のうち2名が利上げを提案し、反対票を投じた点です。高田創審議委員と田村直樹審議委員が0.75%への利上げを主張しました。
- 高田委員:「物価安定の目標の実現がおおむね達成された」
- 田村委員:「物価上振れリスクが膨らんでいる」
2名の委員が連続して反対票を投じるのは異例のことで、日銀内部でも利上げに向けた機運が高まっていることを示唆しています。
据え置きの理由: 日銀が慎重姿勢を維持している最大の理由は、米政府の関税政策が日本経済に与える影響の不透明性です。特に現在は米政府機関の閉鎖により経済統計の公表が止まっており、実態把握が困難な状況です。
展望リポートでは、2025年度の実質GDP成長率を0.7%(0.1ポイント上方修正)、生鮮食品を除く消費者物価上昇率を2.7%と予測。2%の物価安定目標達成時期は2026年度後半から2027年度までの間との見通しを維持しました。
市場への影響: 決定発表後、外国為替市場では円相場が一時1ドル=153円台まで下落しました。日銀の慎重姿勢が円安要因となった形です。
一方、円安進行を好感して日経平均株価は急伸し、一時前日比350円高の51,600円台半ばまで上昇。最終的には17円96銭高の51,325円61銭で引け、2日連続で史上最高値を更新しました。
東短リサーチによると、市場が織り込む利上げ確率は12月会合が60%、2026年1月が22%、3月が14%となっています。植田総裁の記者会見での発言次第では、この確率が大きく変動する可能性もありますね。
【注目】日経平均が2日連続で史上最高値更新、売買代金も過去最高
昨日の東京株式市場は、投資家の熱気に包まれた1日となりました。日経平均株価は前日比17円96銭(0.04%)高の51,325円61銭で取引を終え、2日連続で史上最高値を更新しています。
上昇の背景: 株価上昇の要因は複数あります。
- 米ハイテク株高の影響:前日の米市場でナスダックが最高値を更新。メタプラットフォームズやアルファベットがAI関連の設備投資拡大方針を示したことで、国内の半導体関連株にも買いが波及しました。
- 円安進行:日銀の金利据え置きで円相場が153円台まで下落し、輸出関連企業にとって追い風となりました。
- 米中関係改善:首脳会談での合意により、貿易摩擦緩和への期待が高まりました。
個別銘柄の動き: 東京エレクトロン、レーザーテック、フジクラなど半導体関連株が上昇を牽引しました。特にNECは業績上方修正と米社買収を好感され、株価が一時18%高となる急騰を見せています。
一方、ソフトバンクグループやファーストリテイリングなど一部の値がさ株は利益確定売りで下落しました。
取引の活況ぶり: 東証プライムの売買代金は概算で10兆300億円と、同市場として過去最高を記録しました。売買高も37億4,142万株に達し、市場全体の活況ぶりが数字に表れています。
東証株価指数(TOPIX)も3日ぶりに反発し、終値は22.55ポイント(0.69%)高の3,300.79となりました。
ただし、アナリストの間では「日経平均の上昇が一部の半導体関連株に集中しており、市場の歪みが拡大している」との指摘もあります。高値圏での買いには慎重さも必要かもしれませんね。
【参考】商品市場は金が上昇、原油は60ドル台で推移
商品市場では、金と原油がそれぞれ異なる要因で動きました。
金市場: 国内商品先物市場で金が上昇しました。日銀の政策金利据え置きによる円安進行で、円建て金価格に割安感が生まれたためです。NY金先物(COMEX)も29日に4営業日ぶりに反発し、安値拾いの買いが入っています。
ただし、短期的には調整局面の可能性も指摘されており、チャート上では上ヒゲの長い陰線が形成されています。
原油市場: WTI原油先物12月限は、米国の原油在庫減少を材料に3日ぶりに反発し、60.48ドルとなりました。米中首脳会談での貿易緊張緩和も支援材料です。
しかし、世界経済の先行き不透明感から上値は限定的で、60ドル台前半での弱い保ち合いが続いています。ブレント原油も64ドル台で推移し、方向感が定まらない状況です。
原油価格は需給バランスが微妙な状態にあり、今後の経済指標や地政学リスクの動向が焦点となりそうです。
今後の注目ポイント
短期的な注目点(今週~来週)
- 植田日銀総裁の記者会見内容
- 12月利上げの可能性についてどのような発言が出るか
- 市場は60%の確率で12月利上げを織り込んでいます
- 東京エレクトロンの決算発表(31日予定)
- 半導体市場の先行きを占う重要な材料
- AI関連投資の持続性を確認できます
- 米政府機関閉鎖の動向
- 経済統計の公表再開時期
- 特に雇用統計の発表が待たれます
中期的な注目点(11月~12月)
- 12月のFOMC(17-18日予定)
- 追加利下げの有無が最大の焦点
- 11月の雇用統計とインフレ指標が判断材料に
- 12月の日銀決定会合
- 市場は60%の確率で利上げを予想
- 春闘に向けた賃上げ動向も重要な材料
- 米中貿易関係の実質的な進展
- 関税引き下げの具体的な実施スケジュール
- レアアース輸出規制の詳細内容
- トランプ大統領の中国訪問(来年4月予定)
- 両国関係の長期的な改善に向けた進捗
投資戦略上のポイント
- 為替: 日米金融政策の方向性の違いから、ドル高・円安トレンドが継続する可能性が高い
- 株式: 半導体関連株への集中投資には注意が必要。高値圏での利益確定も選択肢
- 債券: FRBの利下げ慎重姿勢から、米長期金利は上昇圧力が続く見込み
- 商品: 金は円安が支えとなるが、短期的な調整リスクにも注意
編集部からのコメント
昨日は本当に情報量の多い1日でしたね。米中首脳会談、FRBと日銀の政策決定と、市場を動かす重要イベントが重なりました。
個人的に最も注目したのは、やはり米中首脳会談です。6年ぶりの直接対話が実現し、関税引き下げという具体的な成果が出たことは、今後の世界経済にとって大きなプラス材料だと思います。ただし、台湾問題など未解決の懸案も多く、楽観視は禁物ですね。
FRBと日銀の姿勢の違いも興味深いです。FRBは利下げを実施しながらも次回は慎重、日銀は据え置きながらも内部では利上げ圧力が高まっている——この対照的な状況が、ドル円相場を153円台まで押し上げました。
12月に向けて、日米ともに金融政策の転換点を迎える可能性があります。投資家の皆さまには、経済指標の発表に今まで以上に注目していただきたいと思います。
特に米国では政府機関閉鎖の影響で経済統計が止まっており、正常化後に発表されるデータが市場を大きく動かす可能性があります。情報収集を怠らず、慎重かつ機動的な投資判断を心がけていきましょう。
締めの挨拶
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
昨日の市場は「歴史的な1日」と言っても過言ではない内容でしたね。米中関係の改善、中央銀行の政策転換の兆し、そして日本株の連日の最高値更新——2025年の年末に向けて、市場は新たな局面に入りつつあるのかもしれません。
本日(31日)は東京エレクトロンの決算発表が予定されており、半導体市場の先行きを占う重要な材料となります。また、週末には米国で10月の雇用統計が発表される予定(政府機関閉鎖の影響で延期の可能性あり)ですので、引き続き情報収集を続けていきましょう。
来週も皆さまの投資判断に役立つ情報をお届けできるよう、しっかりと市場をウォッチしてまいります。
良い週末をお過ごしください!
FX編集部 田中
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