皆さま、おはようございます!FX編集部の田中です。
10月最終日となった昨日は、日銀の政策据え置き決定を受けて為替市場が大きく動いた一日となりました。ドル円は154円台まで円安が進み、約8カ月ぶりの水準を記録しています。一方、日経平均株価は史上初の52,000円台を突破し、10月の月間上昇率は17%と34年ぶりの大幅高となりました。
本日も、昨日発表された重要ニュースを分かりやすくお届けいたします。週末のマーケット分析にぜひお役立てください。
日銀が6会合連続で政策金利据え置き、円安加速へ ★★★
日本銀行は10月30日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%に据え置くことを決定いたしました。これは今年1月に0.5%へ利上げして以来、6会合連続の据え置きとなります。
今回の決定で特に注目されたのが、植田和男総裁の記者会見での発言です。植田総裁は12月会合での利上げを明確に示唆せず、米国の関税政策が日本経済に与える影響を「引き続き点検する」との慎重な姿勢を示しました。
主なポイント:
- 政策金利は0.5%で据え置き(9人中2人が0.75%への利上げを提案するも否決)
- 2025年度の実質GDP成長率見通しは0.7%(前回から0.1ポイント上方修正)
- 生鮮食品を除く消費者物価上昇率は2.7%の見通しを維持
- 2%の物価目標達成時期は2026年度後半から2027年度との見方を継続
この発表を受けて、外国為替市場ではドル円が一気に154円台半ばまで上昇(円安方向)し、2月以来約8カ月ぶりの円安水準となりました。市場では「日銀の早期利上げ観測が大きく後退した」との受け止めが広がっています。
市場関係者の間では、12月18-19日開催予定の次回会合での利上げ確率が現時点で60%程度と見られていますが、今後発表される経済指標次第で変動する可能性があります。輸出関連企業にとっては追い風となる一方、輸入コストの増加も懸念材料となっています。
日経平均が史上初の52,000円突破、AI関連株が大幅高 ★★★
10月31日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比1,085円73銭高(2.1%高)の52,411円34銭で取引を終了し、初めて52,000円の大台を突破いたしました。東証株価指数(TOPIX)も3,331.83と最高値を更新し、市場全体に活況が広がりました。
上昇を支えた主な要因:
- 米大型テック企業の好決算:アップル、アマゾン・ドット・コムが市場予想を上回る業績を発表
- 国内企業の好調な決算:日立製作所、村田製作所などが良好な業績を報告
- AI関連株の急騰:ソシオネクスト、アドバンテスト、ソフトバンクグループが大幅高
- 円安進行:154円台への円安が輸出関連企業の収益改善期待を高める
特に注目されたのが、10月の月間上昇率です。17%という上昇率は1990年10月以来、実に34年ぶりの大きさとなりました。高市政権への期待感や人工知能(AI)ブームが相場を大きく後押しした形です。
ただし、市場関係者からは「企業決算の発表が一巡し、11月の衆院予算委員会が始まれば、期待で買われた部分は多少剥げる可能性がある」との慎重な見方も出ています。高値圏での推移が続くだけに、調整局面にも注意が必要です。
東京都区部の消費者物価が予想上回る、前年比2.8%上昇 ★★☆
10月31日午前に発表された東京都区部の消費者物価指数(10月分)は、生鮮食品を除くコアCPIが前年比2.8%の上昇となりました。市場予想の2.6%、前月の2.5%を上回る結果で、物価上昇圧力が継続していることが確認されました。
物価上昇の主な要因:
- 東京都が実施していた水道料金無償化措置の終了
- エネルギー価格の上昇継続
- 食品価格の高止まり
この指標は全国の消費者物価に先行する傾向があることから、日銀の金融政策を判断する上で重要な材料となります。発表直後、為替市場ではドル円が一時153円台後半まで円高に振れる場面もありましたが、その後は再び154円台に戻しています。
同時に発表された9月の雇用統計では、完全失業率が2.6%、有効求人倍率が1.20倍と、労働市場の引き締まった状態が続いていることも示されました。賃金上昇圧力も維持されており、日銀が利上げを検討する環境は整いつつあると言えます。
今後は、11月下旬に発表予定の全国ベースの10月消費者物価指数と、12月の日銀会合前に発表される11月の賃金統計(毎月勤労統計)が注目されます。
来週のドル円は155円突破を試す展開へ、米経済指標に注目 ★★☆
ロイター通信の市場分析によりますと、来週(11月第1週)のドル円相場は155円突破を試す展開となる見通しです。予想レンジは153-156円とされており、円安トレンドが継続する可能性が高まっています。
来週注目される主な米経済指標:
- 11月3日(月):ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)
- 11月5日(水):ISM非製造業総合指数、ADP全米雇用報告
- 11月7日(金):ミシガン大学消費者信頼感指数
米政府機関の閉鎖が続いているため、通常であれば第1金曜日に発表される11月の雇用統計は、今回も発表見送りとなる公算が大きいとのことです。そのため、上記の代替指標を通じて、現在70%超の確率で織り込まれている12月のFRB利下げの可能性を見極めることになります。
シティグループ証券の分析では、顧客の間で円売りポジションが積み上がっており、「円キャリー取引が再燃している」と指摘されています。米株高などを背景とするリスクオン環境が続く限り、円安圧力は継続するとの見方が優勢です。
ただし、片山さつき財務相からは既に円安を「緊張感を持って注視」との発言が出ており、155円を大きく超える展開となれば、政府による為替介入の可能性も視野に入ってきます。
中国製造業PMIが予想下回る49.0、景気減速懸念が浮上 ★☆☆
10月31日に発表された中国の10月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0となり、市場予想の49.6、前月の49.8を下回りました。景気の拡大・縮小を判断する基準となる50を3カ月連続で下回る結果となり、中国経済の減速が続いていることが示されました。
この背景には、米国による対中関税引き上げ措置の影響があります。ただし、中国の習近平国家主席は同日、「手放すのではなく手をつなぐ原則を堅持する」と述べ、多国間貿易体制の維持を訴えるなど、米国との対話姿勢も示しています。
実際、米中両国は10月下旬に一部関税緩和で合意しており(中国が合成麻薬フェンタニル対策を講じる代わりに米国が対中関税を10%引き下げ)、関係改善の兆しも見られます。
中国経済の動向は、日本の輸出関連企業の業績に大きな影響を与えます。特に自動車、電子部品、機械などのセクターは中国市場への依存度が高いため、今後の動向を注視する必要があります。11月の中国PMI(12月初旬発表予定)と、中国政府による追加景気刺激策の有無が次の焦点となります。
今後の注目ポイント
来週以降、以下のイベントと経済指標に特にご注目ください:
【短期的な注目点(今後1-2週間)】
- 11月3日(月):米ISM製造業PMI
- 11月4日(火):日本の衆院本会議(高市首相の代表質問)
- 11月5日(水):米ISM非製造業総合指数、ADP雇用報告、日銀金融政策決定会合議事要旨(9月分)
- 11月6日(木):日本の毎月勤労統計(9月分)
- ドル円が155円を突破するか(為替介入の可能性)
【中期的な注目点(今後1カ月)】
- 12月18-19日:日銀金融政策決定会合(利上げの有無)
- 12月17-18日:FOMC(米連邦公開市場委員会、利下げの有無)
- 米政府機関閉鎖の解除時期と経済統計の一斉発表
- 国内企業決算の続報(特にトヨタ自動車の業績)
- 高市政権の経済政策の具体化
【長期的な注目点(今後3カ月)】
- 日米金利差の動向(日銀の利上げペースとFRBの利下げペース)
- トランプ前大統領の関税政策が2026年にどう展開するか
- 中国経済の回復度合いと日本企業への影響
編集部からのコメント
昨日の市場を振り返りますと、日銀の政策据え置き決定が市場に与えた影響の大きさを改めて実感いたしました。ドル円が154円台まで円安が進んだことで、輸出関連企業の株価は上昇しましたが、一方で輸入コストの増加による家計への影響も懸念されます。
個人的に注目しているのは、日経平均が52,000円台を突破したことです。確かに企業決算は好調ですが、高値圏での推移が続いているだけに、「買われすぎ」の調整局面が来る可能性も視野に入れておく必要があります。
FX取引をされている皆さまにとっては、来週の155円突破の攻防が大きな転換点となりそうです。テクニカル的にも重要な節目ですし、政府の為替介入の可能性も考慮すると、ポジション管理は慎重に行うことをお勧めいたします。
また、米政府機関の閉鎖により経済統計の発表が遅れている点も、市場の不透明感を高めています。閉鎖が解除されれば、溜まっていた統計が一斉に発表される可能性があり、その際には相場が大きく動くことも予想されます。
週末はゆっくりとポートフォリオを見直し、来週の戦略を練る時間に充てていただければと思います。リスク管理を徹底しながら、冷静な判断を心がけましょう。
締めの挨拶
本日の海外FX・投資関連ニュースは以上となります。
10月は日経平均が34年ぶりの月間上昇率を記録し、ドル円も円安方向に大きく動いた激動の一カ月となりました。11月も中央銀行の政策動向や経済指標の発表が相次ぎますので、引き続き最新情報をお届けしてまいります。
週末は市場もお休みですので、皆さまもゆっくりとお過ごしください。来週も皆さまの投資活動をサポートできるよう、有益な情報をお届けしてまいります。
それでは、良い週末をお過ごしくださいませ!
FX編集部 田中
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