皆様、おはようございます。FX編集部の田中です。
金曜日の海外市場は、米国政府機関閉鎖の長期化による経済データ不足が引き続き市場の重荷となりました。ドル円は153円台で推移し、NYダウは小幅続伸で週を終えています。一方、今週の日経平均は大きく調整し、5万円の節目を一時割り込む場面もありました。本日は週末ということで、今週の主要な動きを振り返りながら、来週の注目ポイントをお伝えしていきます。
それでは、前日までの重要ニュースをご紹介いたします。
本日の重要ニュース
【最重要】米国政府機関閉鎖が史上最長に、経済指標発表が軒並み延期
詳細
米国連邦政府機関の一部閉鎖が史上最長記録を更新し、金融市場に大きな影響を与えています。9月雇用統計、消費者物価指数(CPI)、小売売上高、卸売物価指数(PPI)など、投資判断に不可欠な経済指標の発表が次々と延期される事態となっています。
特に深刻なのは、主要空港で管制官不足により減便命令が発令されている点です。感謝祭(11月)の繁忙期を控えており、経済活動への影響が懸念されます。
パウエルFRB議長は10月28-29日のFOMCで0.25%の利下げを決定しましたが、12月の追加利下げについては「メンバー間で大きな見解の相違がある」と発言しています。CMEのFedWatchツールによれば、12月FOMCでの利下げ確率は約67%まで低下しました(FOMC前は9割でした)。
市場への影響
経済データ不足により投資家心理が不安定化し、ドル円相場は154.40円と153円のレンジで方向感を欠く展開となっています。政府機関閉鎖の解除時期次第では、ドル買いの材料となる可能性がある一方、長期化すれば景気後退懸念からドル売りも想定されます。
データがない中での金融政策決定は前例がなく、市場のボラティリティが高まる可能性があります。投資家の皆様は、ポジション管理に十分ご注意ください。
【重要】日経平均が5万円割れ、AI・半導体関連株の急落で投資家心理悪化
詳細
今週の東京株式市場では、日経平均株価が大きく調整しました。特に11月5日(火)は終値で5万0212円(前日比-1284円、-2.5%)となり、下げ幅は一時2400円を超えて49,073円まで下落する場面もありました。
この急落の背景には、AI・半導体関連株への過熱警戒感があります。米メタ・プラットフォームズが社債発行を決定したことで、巨額のAI投資の持続可能性に疑問符が付き始めました。また、米国では民間雇用統計(ADP)が市場予想を下回り、景気減速懸念がリスクオフの動きを誘発しました。
米ナスダック指数も週間で3%安と7カ月ぶりの下落率を記録し、グローバルなハイテク株売りの流れが日本市場にも波及した形です。
市場への影響
東京市場全体に売りが波及し、投資家心理が急速に悪化しています。これまで相場をけん引してきたAI関連の高バリュエーション銘柄からの資金流出が顕著となり、相場のけん引役不在の状況となっています。
一部の市場関係者からは「短期的に46,000円まで調整する可能性もある」との声も聞かれます。ただし、大局的には上昇トレンドが継続しているとの見方も根強く、押し目買いのチャンスと捉える向きもあります。
来週11月11日にはソフトバンクグループの決算発表が予定されており、AI投資の今後を占う上で重要なイベントとなりそうです。
ドル円相場は154円台で膠着、日米金融政策の方向性を巡り様子見ムード
詳細
ドル円相場は現在、153円(下値支持)から154.40円(上値抵抗)のレンジで推移しています。154.40円を明確に突破すれば155円台が視野に入る一方、153円を終値ベースで割り込むと151円台への調整も想定されます。
米国側の要因として、FRB要人からタカ派発言が相次いでいます。ダラス連銀総裁は「12月に再び利下げするのは難しい」と述べ、クリーブランド連銀総裁は「FOMC時に利下げ停止を望んでいた」と明かしています。
一方、日本側では、実質賃金が9か月連続マイナスとなっているものの、名目賃金は1.9%増で45か月連続プラスを記録しています。植田日銀総裁は「もう少しデータを見たい」との慎重姿勢を示しており、12月利上げの確率は5分5分(50%程度)との見方が優勢です。
市場への影響
為替市場は方向感を欠き、短期的なレンジ取引が中心となっています。大局的には円安トレンドが継続しているとの見方が優勢ですが、日米の金融政策次第では急変動のリスクもあります。
来週は日銀の「主な意見」の公表や中川審議委員の講演が予定されており、12月の金融政策決定会合に向けたヒントが得られる可能性があります。レンジブレイクのタイミングを見極めることが重要ですね。
金価格は4000ドル攻防、史上最高値から調整も押し目買い優勢
詳細
金相場は11月5日に上昇し、3980.115ドル(前日比+48.015ドル、+1.22%)となりました。10月21日に頂点をつけて以降、下落トレンドが続いていましたが、この日は4営業日ぶりの上昇となり、押し目買いが優勢でした。
テクニカル分析では、3900ドルから4000ドルの水準で値動きが停滞しており、目先は4000ドルの心理的節目を突破できるかが焦点となっています。日足チャートでは陰線と陽線が交互に出現し、平均足は陰連で売り優勢を示唆していますが、大きな調整にはなっていません。
調整の要因としては、FOMCでのパウエル議長の利下れ慎重姿勢や、9月以降の急騰に対する利益確定売りが挙げられます。
市場への影響
金市場は4000ドルの心理的節目を巡る攻防が継続しています。米国政府機関閉鎖による不透明感は、安全資産としての金需要を下支えする要因となっています。
一方で、割高感からの調整圧力も根強く、短期的には方向感を欠く展開が続きそうです。地政学リスクやFRBの金融政策の方向性が、今後の金価格を左右する重要なファクターとなります。
長期投資家の方は、この調整局面を押し目買いのチャンスと捉える見方もありますね。
中国10月物価統計、CPIが4か月ぶりプラスもデフレ圧力は残存
詳細
中国国家統計局が本日発表した10月の物価統計によれば、消費者物価指数(CPI)は前年同月比+0.2%となりました(9月は-0.3%)。市場予想は横ばいでしたので、わずかに上回る結果です。
一方、生産者物価指数(PPI)は前年同月比-2.1%(9月は-2.3%)となり、37か月連続の下落となっています。コアCPI(食品・エネルギー除く)は+1.2%と堅調ですが、全体としてはデフレ圧力が完全には払拭されていません。
CPI上昇の主な要因は、国慶節連休(10月1-7日)による旅行需要と食品需要の一時的な押し上げ効果です。連休効果が剥落する11月以降の動向が注目されます。
市場への影響
中国経済のデフレ懸念が完全には払拭されず、人民元相場は限定的な反応にとどまっています。商品市況への影響も軽微で、市場は中国政府の追加経済対策により注目しています。
日本や世界の株式市場への直接的な影響は限定的ですが、中国関連銘柄には若干のポジティブ材料となりました。今後は「独身の日」(11月11日)の商戦動向や、追加の財政出動の有無がポイントになりそうです。
来週の注目ポイント
来週は以下のイベントに注目が集まります。
日本関連
- 11月11日(月): ソフトバンクグループ決算発表
- 11月中旬: 日銀「主な意見」公表(10月29-30日会合分)
- 日銀・中川審議委員の講演: 12月利上げに関するヒント
米国関連
- 政府機関閉鎖の解除時期: 経済指標発表再開のタイミングが焦点
- FRBメンバーの追加発言: 12月利下げを巡る見解
- 10月卸売物価指数(PPI): 発表予定(延期の可能性あり)
- 10月小売売上高: 発表予定(延期の可能性あり)
その他
- 11月11日: 中国「独身の日」商戦の動向
- 英国中銀メンバーの発言: 先週の据え置き決定後の追加コメント
特に、米国政府機関閉鎖の解除時期と、延期されている経済指標の発表スケジュールが最大の注目材料です。データ不足の中での相場展開となりますので、リスク管理を徹底していきましょう。
編集部からのコメント
今週は米国政府機関閉鎖の長期化と、AI・半導体関連株の急落という2つの大きなテーマが市場を揺らしました。
特に気になるのは、経済データがない中でFRBがどのように金融政策を決定するのかという点です。これは前例のない状況であり、市場のボラティリティが高まる可能性があります。ドル円相場も方向感を欠いており、レンジブレイクのタイミングを見極めることが重要になりそうです。
また、日経平均の5万円割れは、AI関連株への過熱警戒感を示すシグナルとも言えます。これまで相場をけん引してきたテーマ株からの資金流出が続くのか、それとも押し目買いが入るのか、来週の動向に注目したいと思います。
中国の物価統計は若干の改善が見られましたが、デフレ圧力は依然として根強く、中国政府の追加対策が待たれます。
週末はゆっくり休んで、来週に備えていきましょう。
締めの挨拶
今週も一週間、お疲れさまでした。
市場の不透明感が増す中、冷静な判断と適切なリスク管理がますます重要になっています。週末は相場から少し離れて、リフレッシュする時間も大切にしてくださいね。
来週も皆様の投資判断に役立つ情報をお届けしてまいります。良い週末をお過ごしください!
FX編集部 田中
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