おはようございます!FX編集部の田中です。
昨日(11月13日)の海外市場は、FRB高官の相次ぐタカ派発言を受けて波乱の展開となりました。利下げ観測の後退により米国債利回りが上昇し、ハイテク株を中心に米国株が大幅下落。その影響は本日の東京市場にも波及し、日経平均は一時1000円超の下げとなりました。為替市場では円安が進行し、ユーロ円が史上最高値を更新するなど、投資家の皆様には目の離せない一日となっています。
それでは、昨日の重要ニュースを詳しく見ていきましょう。
重要ニュース
FRB高官のタカ派発言相次ぎ、12月利下げ観測が大幅後退
昨日は米連邦準備制度理事会(FRB)の複数の高官から、追加利下げに慎重な姿勢を示す発言が相次ぎました。
クリーブランド連銀のハマック総裁は「インフレ率を目標に向かって引き下げる圧力を維持するため、いくぶん景気抑制的な姿勢を続ける必要がある」と述べ、金利を現行水準付近に維持する必要性を強調しています。また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、セントルイス連銀のムサレム総裁も同様に、追加利下げに慎重な考えを表明しました。
さらに、ボストン連銀のコリンズ総裁は「追加利下げの壁は高い」と明言し、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も「12月FOMCでの利下げ判断は時期尚早」と指摘しています。
この一連の発言を受けて、金利先物市場が織り込む12月17-18日のFOMC会合での利下げ確率は約45-50%まで低下しました。つい先月までは100%近く織り込まれていた利下げ期待が、わずか1カ月で大きく後退した形です。
市場への影響: 米10年債利回りは4.119%まで上昇(前日比+0.050ポイント)し、米2年債利回りも3.593%(+0.025ポイント)となりました。株式市場ではNYダウが797ドル安、ナスダック総合指数が約2%下落する大幅安となり、リスク回避の動きが強まりました。
皆様の投資判断にも大きく影響する重要な転換点となる可能性がありますので、今後の経済指標とFRB高官の発言には引き続き注目が必要です。
日経平均が905円安で大幅反落、AI関連株に売り殺到
本日の東京株式市場は、前日の米国株式市場でハイテク株が大幅に下落した流れを引き継ぎ、3日ぶりに大幅反落しました。特にAI・半導体関連株に売りが集中し、アドバンテスト、ソフトバンクグループ、東京エレクトロンの主要3銘柄だけで日経平均を約800円押し下げる展開となっています。
前日の米株式市場では、FRB高官のタカ派発言を受けてナスダック総合株価指数が約2%下落し、特にAI関連銘柄に売りが目立ちました。日経平均は前日までの上昇で10月末につけた最高値(5万2411円)に接近していたこともあり、利益確定目的の売りが膨らみました。
市場関係者の間では「来週19日に控える米エヌビディアの決算発表を前に、いったんポジションを整理する動きが強まった」との見方が広がっています。
市場への影響: 東証プライム市場の売買代金は6兆6805億円と活発で、値下がり銘柄数は939に対し、値上がりは617銘柄でした。リスク回避の円買いも進み、ドル円は一時154円台前半まで下落しています。
ただし、節目の5万円付近では個人投資家による押し目買いも入っており、「中長期目線の投資家の日本株買い意欲はまだ強い」(国内証券トレーダー)との声も聞かれます。
ユーロ円が史上最高値を2営業日連続更新、179円台後半へ
本日の東京外国為替市場では、円が対ユーロで大きく売られる展開となりました。午前9時すぎには一時1ユーロ=179円94銭近辺まで上昇し、1999年の単一通貨ユーロ誕生以降での最安値を更新しています。
円安が進行している主な要因は、高市政権下で日本銀行の利上げが遅れる可能性が意識されていることです。高市政権は金融緩和を重視する姿勢を示しており、市場では「日銀の次回利上げは当初想定よりも後ずれする」との見方が強まっています。
一方、ドル円も154円74銭まで上昇するなど円売り・外貨買いの流れが優勢で、豪ドル円も101円台に乗せて2024年10月末以来の高値を付けました。クロス円全体が軒並み高値を更新する展開となっています。
市場への影響: 円安進行により輸入物価の上昇懸念が再燃しており、消費者物価への影響が注目されます。野村證券は「ユーロ円は180円を試す可能性を視野に入れる必要がある」との見方を示しています。
為替市場は引き続き変動が大きい状況が続いていますので、皆様もポジション管理には十分ご注意ください。
日本の長期金利が1.705%へ上昇、17年半ぶりの高水準
本日の国内債券市場では、米国の長期金利上昇を受けて日本国債にも売りが波及しました。指標となる新発10年物国債利回りは前日比0.5bp(ベーシスポイント)上昇し、一時1.705%を記録しています。これは2008年7月以来の高水準です。
米国では前日、FRB高官のタカ派発言を受けて10年債利回りが4.12%台まで上昇しました。この動きが日本の債券市場にも波及し、日米金利差の拡大が円安を後押しする構図となっています。
市場への影響: 長期金利の上昇は、住宅ローン金利や企業の資金調達コストの上昇につながる可能性があります。また、日銀の金融政策運営にも影響を与える重要な指標として注目されています。
市場では「1.75%の節目を突破する可能性も出てきた」(債券ストラテジスト)との声も聞かれ、今後の動向が注目されます。
米政府機関閉鎖が43日で終了、経済損失は約1.7兆円
米議会下院は11月12日、2026年1月30日までのつなぎ予算案を賛成多数で可決し、トランプ大統領が署名しました。これにより、10月1日から続いていた政府機関の一部閉鎖が43日目で解除されることが確定しました。
米議会予算局(CBO)の試算によると、政府機関閉鎖により2025年第4四半期の実質GDP(国内総生産)が年率換算で1.5ポイント押し下げられる見込みです。また、恒久的な経済損失は約110億ドル(GDP比0.04%)に達するとされています。
閉鎖期間中は約65万人の連邦職員が強制休業となり、経済統計の発表も中止・延期されました。特に10月の雇用統計やCPI(消費者物価指数)のデータ収集に影響が出ており、労働統計局は「発表日程の決定に時間がかかる可能性がある」としています。
市場への影響: 閉鎖解除決定時には材料出尽くし感から株価が一時的に上昇しましたが、その後は反落しました。遅延している経済指標の発表により、FRBの政策判断に必要な情報が欠落する懸念も出ています。
なお、今回のつなぎ予算は2026年1月30日までの暫定的なものであり、来年早々に再び予算協議が必要となる点には注意が必要です。
今後の注目ポイント
11月19日:エヌビディア決算発表
来週火曜日の米国市場終了後に発表される半導体大手エヌビディアの2025年8-10月期決算が最大の注目材料です。市場予想は売上高547億ドル(前期比17%増)、1株当たり利益(EPS)も50%超の増加が見込まれています。特に今期(11月-1月)の業績見通しに市場の関心が集中しそうです。AI相場の行方を占う重要な決算となるでしょう。
12月17-18日:FOMC会合
現在、12月FOMCでの追加利下げ確率は約50%まで低下していますが、今後発表される経済指標次第では見通しが大きく変わる可能性があります。特に遅延している10月の雇用統計やCPIの内容が重要な判断材料となります。
12月:日銀金融政策決定会合
日銀の次回利上げ時期について、市場では2026年1月説と4月説に分かれています。高市政権の経済政策や春闘の賃上げ動向が判断材料となるため、今後の政治・経済情勢を注視する必要があります。
為替:180円の節目
ユーロ円が史上最高値圏で推移する中、心理的節目となる180円を突破するかが注目されています。また、ドル円も155円の攻防が続いており、日米金利差の動向と併せて見守る必要があります。
編集部からのコメント
昨日から本日にかけての市場は、まさに「金融政策の転換点」を意識させる動きとなりました。
特に印象的だったのは、FRB高官の発言が市場に与えた影響の大きさです。わずか1カ月前まで「12月の利下げはほぼ確実」と見られていたのが、今では「五分五分」の状況まで変化しています。これは、米国経済の底堅さとインフレの粘着性を示しているとも言えるでしょう。
日本市場では、本日の日経平均の急落に驚かれた方も多いかと思います。ただし、下げ幅こそ大きかったものの、これは利益確定売りが主体であり、5万円の節目では押し目買いも入っています。来週のエヌビディア決算を前にしたポジション調整と捉えることもできますね。
一方、為替市場でのユーロ円の史上最高値更新は、日銀の利上げ遅延観測を反映したものです。円安進行は輸入物価の上昇を通じて家計にも影響を与えますので、今後の動向には注意が必要です。
来週にかけては、エヌビディアの決算発表という大きなイベントが控えています。AI相場の持続性を占う上で極めて重要な材料となりますので、しっかりとフォローしていきたいと思います。
市場のボラティリティ(変動性)が高まっている時こそ、冷静な判断と適切なリスク管理が重要です。皆様も無理のない範囲での投資を心がけてください。
それでは、本日も良い一日をお過ごしください! 引き続き、最新の市場情報をお届けしてまいります。
FX編集部 田中
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