おはようございます!FX編集部の田中です。
昨日の海外市場は、まさに「波乱万丈」という言葉がぴったりの展開となりました。世界最大の先物取引所でシステム障害が発生し、約10時間も取引が停止するという異例の事態に。一方で、米国では利下げ期待が高まり株価は堅調、日本では大型補正予算の決定が円相場に影響を与えています。
それでは、昨日の重要ニュースを順番に見ていきましょう。
本日のヘッドライン
【最重要】CMEグループでシステム障害発生、世界市場が10時間麻痺
昨日午前11時41分(日本時間)、米国CMEグループのデータセンターで冷却システムが故障し、施設内の温度が摂氏38度を超える異常事態となりました。この影響で、先物・オプション取引が約10時間にわたって停止する事態に発展しています。
影響を受けたのは非常に広範囲で、S&P500株価指数先物、米国債先物、外国為替取引システム(EBS)、金や原油などのコモディティ先物など、ほぼすべての主要市場が麻痺状態となりました。東京、ロンドン、ニューヨークと世界中の市場参加者が取引できない状況に陥り、トレーダーからは「悪夢のようだった」との声も聞かれています。
日本時間28日午後10時35分までに主要取引は復旧しましたが、CMEダイレクトという取引プラットフォームはほぼ終日オフラインのままでした。2019年のCME障害を超える規模となり、世界市場が少数の大手取引所に依存している構造的なリスクが改めて浮き彫りになっています。
市場への影響
金価格は乱高下してスプレッドが拡大、為替市場は流動性が急激に低下しました。日経平均先物など海外市場での日本株取引にも影響が出ており、集中リスクへの警戒感が一気に高まっています。
【円相場】日本政府が18.3兆円の大型補正予算を決定、財政悪化懸念で円安圧力
昨日、高市政権下で初となる補正予算案が閣議決定されました。その規模は18兆3034億円とコロナ禍後最大で、歳入の6割超にあたる11兆6960億円を新規国債の追加発行で賄うことになります。
昨年度の国債追加発行額6兆6900億円を大幅に上回る規模で、公債依存度は再び3割を超えました。一般会計の総額(本予算と補正の合計)は120兆円規模に達し、積極財政の色彩が非常に鮮明になっています。
市場では日本の財政規律への信認低下が懸念されており、ドル円は156円台で推移しています。この財政悪化懸念が円の上値を抑える要因となっており、介入警戒ラインとされる156円台後半から157円台に近づいている状況です。
市場への影響
長期金利には上昇圧力がかかっており、11月20日には1.835%と17年半ぶりの水準を記録しました。海外投資家の日本資産への警戒感が強まる可能性があり、来週12月1日の植田日銀総裁の記者会見での発言が注目されます。
【米国金利】FRBの12月利下げ確率87%に上昇、ドルは週間で大幅安
11月21日にニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が「近々利下げされる」と発言したことで、市場の利下げ織り込みが劇的に変化しました。それまで30%未満だった確率が一転して急上昇し、28日時点でCMEフェドウォッチによる12月FOMC(9-10日開催)での0.25%利下げ確率は87%に達しています。
この利下げ期待の高まりを受けて、ドル指数は週間で0.61%安と7月21日以来最悪の下落率を記録しました。ドル円は前営業日比25銭円高の156円15-25銭で取引を終えており、日米金利差縮小観測から円買い・ドル売りの動きが見られています。
興味深いのは、利下げ期待にもかかわらず米10年債利回りは4.015%と約2bp上昇している点です。これは日本の財政悪化懸念による債券売りの影響も考えられます。
市場への影響
米株式市場は利下げ期待から5営業日続伸し、S&P500とダウ平均がともに上昇しました。金先物も利下げ観測を受けて続伸し、COMEX金2月限は4254.90ドルと1.25%高で引けています。
【米国株】ブラックフライデーで小売株上昇、米国株5営業日続伸
昨日の米国株式市場は、感謝祭翌日の「ブラックフライデー」セールを受けて小売株が上昇し、相場を牽引しました。ダウ工業株30種平均は前日比321.79ドル高の47,748.91ドル、ナスダック総合指数も90ポイント高と、ともに5営業日続伸となっています。
全米小売業協会(NRF)は11-12月の年末商戦期間中の売上高が前年比3.7-4.2%増加すると予測しており、消費の底堅さが確認されています。個別銘柄では、インテルが10.2%高と大きく上昇しました。アップルの最下位モデルMシリーズチップを2027年に出荷開始するとの報道が材料となりました。
短縮取引で薄商いではありましたが、利下げ期待が市場心理を支え、S&P500の主要11セクター中ヘルスケアを除く全てのセクターが上昇する広範な買いとなりました。
市場への影響
日経平均も連動して週間で1628円(3.35%)高の50,253円と2週ぶりの反発となり、再び5万円台を回復しています。年末商戦への期待感が投資家心理を改善させています。
【商品市場】金価格が続伸、月間で6.47%の大幅上昇を記録
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物2月限は前営業日比52.60ドル(1.25%)高の4254.90ドルで引けました。取引中には13日以来の高値となる4263.1ドルまで上昇する場面もありました。
米長期金利が冴えない動きとなる中、金利の付かない資産である金の投資妙味が相対的に高まっています。週間では4.30%上昇、月間では6.47%上昇と大幅な上昇を記録しており、安全資産としての金の存在感が増しています。
CMEシステム障害の影響で一時取引が停止し価格が乱高下する場面もありましたが、復旧後は利下げ期待を背景に堅調に推移しました。銀価格も過去最高値に迫る動きを見せており、貴金属市場全体が活況を呈しています。
市場への影響
中央銀行の金購入が継続的に下支えとなっており、インフレヘッジとしての金需要も根強く残っています。4300ドルの心理的節目突破が視野に入ってきました。
今後の注目ポイント
来週以降、以下のイベントに特に注目が必要です:
- 12月1日(月) – 植田日銀総裁の記者会見
日銀の12月利上げの可能性について言及があるか要注目です - 12月6日(金) – 米国11月雇用統計発表
利下げ判断に直結する重要データとなります - 12月9-10日 – 米国FOMC開催
0.25%利下げの可能性87%という高い確率が現実となるか - 12月18-19日 – 日銀金融政策決定会合
追加利上げの有無が円相場を大きく左右します - 年末商戦の実売上データ
ブラックフライデー、サイバーマンデーの結果が順次発表されます
編集部からのコメント
昨日のCMEシステム障害は、私たちに重要な教訓を与えてくれました。グローバル化が進んだ現代の金融市場は、一箇所の障害が世界中に波及する構造になっています。取引所の集中リスク、バックアップ体制の重要性を改めて認識させられる出来事でした。
また、日本の大型補正予算と米国の利下げ期待という、相反する金融政策の方向性が市場に複雑な影響を与えています。日本は財政拡大で円安圧力、米国は金融緩和でドル安圧力という綱引きの中で、ドル円相場は156円台で膠着状態です。
来週は日銀総裁会見とFOMCという二大イベントが控えており、年末に向けて相場の方向性が定まってくる重要な週となりそうです。ポジション管理には十分ご注意ください。
本日の海外FX・投資関連ニュースは以上となります。
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FX編集部 田中








