おはようございます!FX編集部の田中です。
週明けの市場は大きく動きましたね。12月最初の取引日となった昨日(12月1日)は、日銀の植田総裁が12月利上げを強く示唆したことで市場が大きく反応しました。円高・金利高・株安の「トリプル安」が一時進行し、さらにビットコインの急落も重なって、投資家のリスク回避姿勢が強まる展開となりました。
本日も引き続き、日米の金融政策の方向性の違いが市場の焦点となりそうです。それでは、昨日の主要ニュースを詳しく見ていきましょう。
本日の主要ニュース
【最重要】植田日銀総裁が12月利上げを明言、市場は83%を織り込む
12月1日、日銀の植田和男総裁が名古屋市での金融経済懇談会で、これまでになく踏み込んだ発言をされました。「実質金利がきわめて低い水準にある」として利上げの必要性を強調され、「次回の決定会合で、利上げの是非について、適切に判断したい」と明言されました。
午後の記者会見では、「米国経済の不確実性が数カ月前よりかなり低下した」との認識も示されており、慎重な発言が多かった植田総裁としては異例の踏み込んだ内容でした。
市場の反応は素早く、そして大きなものでした。
- 為替市場:ドル円は一時154.67円まで円高が進行。その後、米長期金利の上昇を背景に155円台後半まで回復しています
- 債券市場:日本の10年国債利回りは1.880%まで上昇し、2008年6月以来17年半ぶりの高水準を更新しました
- 金利先物市場:12月18-19日の会合での利上げ確率は83-85%に急上昇(1週間前は20%程度でした)
今回の発言は、高市政権との政策調整が進んだことを踏まえ、市場に12月利上げを織り込ませる意図があったと見られています。投資家の皆さまは、12月中旬の金融政策決定会合に向けて、ポジション調整をお考えになる良いタイミングかもしれません。
NYダウ427ドル安で反落、ビットコイン急落が市場心理を悪化
12月1日の米国株式市場は、5営業日ぶりに大きく調整しました。
- NYダウ:427.09ドル安(-0.89%)の47,289.33ドル
- ナスダック:89.76ポイント安(-0.38%)の23,275.92
前週末までの5営業日でダウは約2,000ドル近く上昇していたため、利益確定売りの動きは自然な流れとも言えます。しかし、それだけではありませんでした。
市場の大きな注目を集めたのが、ビットコインの急落です。 一時8万3,800ドル台まで売り込まれ、前週末の約9万1,000ドルから約7%も下落しました。これは3月以来の1日としての大幅な下げとなります。
リスク資産の代表格であるビットコインの急落により、投資家のリスク選好姿勢が後退。株式市場全体に売り圧力が広がる形となりました。加えて、米長期金利(10年債)が4.09%まで上昇したことも、株価の重荷となっています。
個別銘柄では、メルク、アムジェン、マクドナルドなどが下落。一方、ウォルト・ディズニーやナイキ、エヌビディアは上昇しており、銘柄による明暗が分かれました。
米ISM製造業景況指数48.2、予想下回り9カ月連続の低迷
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した11月の製造業景況感指数は、やや厳しい内容でした。
- 結果:48.2(市場予想49.0、前月48.7)
- 活動の拡大・縮小の節目となる50.0を9カ月連続で下回っています
構成項目を見ると、新規受注が大きく落ち込んだ一方で、仕入れ価格は上昇しています。つまり「需要は弱いのに、コストは上昇している」という、企業にとっては厳しい状況が続いているということですね。
生産指数は若干上昇したものの、雇用指数は低下しており、製造業全体としては力強さに欠ける内容となりました。
この結果は、12月17-18日に開催される米FOMCでの利下げを正当化する材料となります。現在、市場では87%の確率で12月の0.25%利下げが織り込まれています。ただし、弱い経済指標にもかかわらず金利が上昇したことは、市場が他の要因(日銀の利上げ観測や財政懸念など)をより重視していることを示しているかもしれません。
ビットコイン8万4,000ドル台に急落、円キャリー巻き戻し警戒も
暗号資産市場に激震が走りました。
ビットコイン価格は12月1日に一時8万3,800ドル台まで急落。前週末の約9万1,000ドルから約7%も下落し、12月に入ってからの累計では18%の下落となっています。11月に記録した史上最高値圏(9万7,000ドル付近)からは、すでに大きく調整が進んでいることになります。
市場全体では6億3,700万ドル以上のロングポジション(買い持ち)が強制清算され、アルトコインにも売り圧力が波及しました。ビットコインを保有する関連企業の株価も大幅下落し、マイクロストラテジー社など暗号資産トレジャリー企業が株式市場の下落を主導する形となっています。
注目すべきは、円キャリートレードの巻き戻し再来への警戒感です。日銀の利上げ観測と米国の利下げ観測により日米金利差が縮小する中、円を借りて高利回り資産(ビットコインなど)に投資する「円キャリートレード」のポジション解消が進んでいる可能性が指摘されています。
8月に発生した「円キャリー巻き戻し」では、市場が大きく混乱しました。今回も同様の動きが始まっているのか、慎重に見極める必要がありそうです。
原油・金市場:原油は小幅反発も供給過剰懸念、金は米金利上昇で調整
原油市場の動き
WTI原油先物1月物は前週末比0.77ドル(1.3%)高の1バレル59.32ドルで取引を終えました。中東の地政学リスクへの警戒感が買い材料となりましたが、OPEC+の増産計画や世界経済の減速懸念から、供給過剰への警戒が上値を抑えています。
中国経済の減速や米国製造業の低迷が需要減退の懸念材料となっており、原油市場は方向感の定まらない展開が続いています。
金市場の動き
金スポット価格は4,238.85ドルと高値圏で推移していましたが、米国債利回りの上昇(実質金利の上昇)により調整売りが入りました。12月のFOMCで利下げが予想される一方、長期的な利下げペースの鈍化観測が金価格の上値を抑える要因となっています。
商品市場は全体として方向感に欠ける展開ですが、これは投資家が次の材料待ちの状態にあることを示しているのかもしれません。
今週の注目ポイント
今週は重要な経済指標とイベントが目白押しです。投資判断の参考になさってください。
📅 12月2日(月)
- 19:00 ユーロ圏HICP(消費者物価指数)11月分
- 欧州のインフレ動向を確認する重要指標です
📅 12月3日(火)
- 22:15 米ADP雇用統計11月分
- 週末の米雇用統計の先行指標として注目されます
- 24:00 米ISM非製造業景況指数11月分
- 製造業は弱かったですが、サービス業はどうでしょうか
📅 12月4日(水)
- 22:30 米貿易収支10月分
- 深夜 パウエルFRB議長発言
- 今後の金融政策を占う上で重要です
📅 12月6日(金)
- 22:30 米雇用統計11月分(非農業部門雇用者数、失業率、平均時給)
- 今週最大の注目イベントです! 雇用統計の結果次第で、12月FOMCでの利下げ判断に影響が出る可能性があります
📅 12月中旬の超重要イベント
- 12月17-18日 米FOMC
- 12月18-19日 日銀金融政策決定会合
- 日米の金融政策の方向性が明確になる重要な週です
編集部からのコメント
昨日の市場を一言で表すなら、「政策転換期の緊張感」でしょうか。
日銀の利上げ観測と米国の利下げ観測という、真逆の金融政策の動きが同時進行しています。これは為替市場にとっては大きな転換点となる可能性があります。特に、円キャリートレードのポジションを持たれている方は、リスク管理の見直しをお考えになる時期かもしれません。
また、ビットコインの急落は、リスク資産全体への警告サインとも受け取れます。11月の力強い上昇相場から一転、12月は調整局面入りの可能性も視野に入れておく必要がありそうです。
今週末の米雇用統計は特に重要です。 強い数字が出れば「利下げペース鈍化」観測が強まり、弱い数字が出れば「利下げ継続」観測が強まります。どちらに転んでも市場は大きく動く可能性がありますので、ポジションサイズの調整やストップロスの設定など、リスク管理を万全になさってください。
日銀とFRBの政策会合が同じ週に開催される12月中旬は、今年最大のボラティリティが予想されます。チャンスでもありますが、リスクでもあります。慎重に、しかし果敢に取引なさってくださいね。
締めの挨拶
本日の海外FX・投資関連ニュースは以上です。
12月相場のスタートは、予想以上に波乱含みとなりました。「師走相場」という言葉通り、市場参加者が慌ただしく動く季節に入ってきましたね。年末に向けてポジション調整の動きも活発になりますので、思わぬ値動きにも対応できるよう、心の準備と資金管理を整えておきましょう。
明日も朝10時に最新ニュースをお届けします。本日も良いトレードを!
FX編集部 田中
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