おはようございます!FX編集部の田中です。
本日も朝からしっかりと市場をチェックしていきましょう。昨日12月3日の海外市場は、米国の雇用指標が予想外に弱い内容となったことで大きく動きました。利下げ期待の高まりから米株式市場は全面高、一方でドル円は155円台前半まで下落するなど、為替市場ではドル安が進行しています。
それでは、昨夜から今朝にかけての重要ニュースを見ていきましょう。
本日の主要ニュース
日銀12月利上げ、政府が容認姿勢を表明
昨日午後、ロイター通信が政府関係者複数への取材として、日本銀行が12月18-19日の金融政策決定会合で政策金利を現行の0.5%から0.75%へ引き上げる公算が大きく、高市早苗政権もこの判断を容認する見通しであると報じました。
植田和男日銀総裁は12月1日の講演で、12月会合で利上げの是非を「適切に判断したい」と明言しており、市場ではすでに利上げ観測が高まっていました。今回の報道は、政府側の容認姿勢が確認されたという点で大きな意味を持っています。
高市首相は就任当初から「マクロ経済政策運営の最終的な責任は政府が持つ」と述べ、日銀の独立性に一定の配慮を求める姿勢を示していましたが、急速な円安進行を受けて政権内部でも利上げ容認の声が強まっていたようです。片山さつき財務相も2日に「政府と日銀で齟齬はない」と発言しており、政府と日銀の連携が確認された形です。
【市場への影響】
このニュースを受けて、東京時間の午後から円買いが加速し、ドル円は一時154.88円まで下落しました。日本株は逆に好感し、日経平均株価は前日比1,163円高の51,028円と大幅続伸で取引を終えています。
利上げが実施されれば2025年1月以来11カ月ぶりとなります。トレーダーの皆さんは、12月18-19日の日銀会合までポジション管理に十分ご注意ください。
米ADP雇用統計が予想外のマイナス、利下げ期待が急拡大
米国時間3日朝に発表された11月ADP全国雇用者数は、市場予想の1.0万人増に対して3.2万人減という予想外の結果となりました。これは2023年3月以来、約1年8カ月ぶりの減少です。
内訳を見ますと、製造業、情報サービス、専門・企業向けサービスの雇用減少幅が前月よりも拡大しており、特に情報サービス業については、AI(人工知能)による労働代替や生産性向上の影響も指摘されています。前回10月分は4.2万人増から4.7万人増へ上方修正されましたが、11月の大幅な減少がそれを打ち消す形となりました。
この弱い雇用データを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月9-10日のFOMC(連邦公開市場委員会)で25ベーシスポイント(0.25%)の利下げを実施する確率は約90%にまで上昇しています。
【市場への影響】
利下げ期待の高まりから、米国株式市場は全面高となりました。NYダウは前日比408ドル高(+0.86%)の47,882ドル、S&P500は20ポイント高(+0.30%)の6,849ポイントで取引を終了しています。セクター別ではエネルギー株が1.8%高とトップ、金融株も1.3%高となりました。
為替市場ではドル全面安となり、ドル円は一時155.01円まで下落しました。金融政策の方向性が見えてきた今、ポジションの整理が進んでいる印象です。
【今週末の米雇用統計に注目】
本番は12月6日(金)に発表される11月の米雇用統計です。ADP統計で示された労働市場の軟化が政府統計でも確認されるかどうかが、今後の金融政策を占う上で極めて重要になります。
原油価格が4日ぶり反発、和平交渉の難航で供給懸念
ニューヨーク商品市場では、WTI原油先物1月限が1バレル=58.95ドル(前日比+0.31ドル、+0.53%)で取引を終え、4営業日ぶりの反発となりました。
ウクライナとロシアの和平交渉に進展が見られず、当初一部で期待されていた対ロシア制裁の早期解除観測が後退したことが価格を押し上げました。ロシアからの原油供給に対する不確実性が高まり、市場では供給リスクを意識した買いが入った形です。
また、米国での利下げ期待の高まりによるドル安も、ドル建てで取引される原油価格にとっては追い風となっています。
【市場への影響】
原油価格の上昇は、エネルギー関連株の買い材料となっており、米国株式市場ではエネルギーセクターが最も高い上昇率を記録しました。資源国通貨であるカナダドルやノルウェークローネにも支援材料となっています。
ただし、原油価格の上昇が続けばインフレ再燃のリスクもあり、FRBの金融政策判断にも影響を与える可能性がある点には注意が必要です。
日経平均1,163円高、米株高を好感も午後は円高で伸び悩み
本日の東京株式市場は、前日の米国株式市場の全面高を好感して買いが先行し、日経平均株価は前日比1,163円30銭高(+2.33%)の51,028円14銭で取引を終えました。TOPIX(東証株価指数)も3週間ぶりに最高値を更新しています。
朝方は米国株高とドル円155円台での推移を受けて、幅広い銘柄に買いが入りました。特に金融株や輸出関連株が堅調でした。
しかし、午後にロイター通信が「日銀12月利上げを政府が容認」と報じたことで状況が変化します。円高が進行(ドル円154円台)したことで、輸出関連株を中心に利益確定売りも出ました。それでも米国株高の勢いが強く、最終的には大幅高での引けとなっています。
【投資家の皆さんへ】
日米の金融政策が逆方向に動く「政策乖離」が鮮明になってきました。米国は利下げ、日本は利上げという構図です。この政策の方向性の違いが、今後の為替相場や株式市場にどのような影響を与えるのか、慎重に見極める必要がありそうです。
金価格は底堅い推移、FOMC待ちで様子見ムード
金スポット価格は1オンス=約2,600ドル台で推移しています。前日は小幅に反落しましたが、米ADP雇用統計の弱さを受けたドル安と実質金利の低下が金価格を下支えしており、底堅い動きとなっています。
金価格は通常、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いたもの)と逆相関の関係にあります。現在の市場環境は、利下げ期待→実質金利低下→金価格上昇という教科書的な展開が期待される局面です。
ただし、12月9-10日のFOMCを控えて、投資家の様子見ムードも強く、大きな方向性は出にくい状況が続いています。
【今後の見通し】
市場関係者の間では、FOMC後に金価格が本格的な上昇トレンドに入るとの見方が出ています。特に、FRBが2026年の利下げペースについてハト派的(金融緩和に積極的)な見通しを示した場合、金価格は4,200-4,300ドルへの上昇も期待されるとの分析もあります。
今後の注目ポイント
今後1週間は、金融政策に関する重要イベントが目白押しです。投資判断の際は以下の日程を必ずチェックしてください。
【最重要イベント】
- 12月6日(金):米11月雇用統計
非農業部門雇用者数、失業率、平均時給の発表。ADP統計で示された労働市場の軟化が確認されるかが焦点です。 - 12月9-10日(火・水):米FOMC(連邦公開市場委員会)
政策金利の決定、経済見通し(SEP)とドットチャート(金利見通し)の発表。現時点で0.25%の利下げがほぼ織り込まれています。 - 12月18-19日(木・金):日銀金融政策決定会合
0.25%の利上げ(0.5%→0.75%)が実施されるかが最大の焦点です。
【その他の注目指標】
- 12月4日(本日):米新規失業保険申請件数、チャレンジャー人員削減数
- 12月5日(金):ユーロ圏失業率、製造業PMI
為替市場では、ドル円が150円の大台を割り込むかどうかも重要なテクニカルポイントとなります。
編集部からのコメント
今週の市場は、まさに「金融政策ウィーク」と呼べる展開になっています。
昨日のADP雇用統計の予想外の弱さは、米国の労働市場に変調の兆しがあることを示唆しています。FRBのパウエル議長は、雇用市場の健全性を政策判断の重要な柱としてきましたので、今週末の雇用統計が政策の方向性を決める上で極めて重要になるでしょう。
一方、日本では利上げ観測が高まっており、日米の金融政策が明確に逆方向に動き始めています。この「政策乖離」は為替相場に大きな影響を与えますが、同時に株式市場や債券市場にも複雑な影響をもたらします。
米国は利下げでドル安要因、日本は利上げで円高要因という構図ですが、実際の為替相場はそう単純には動きません。市場参加者の思惑、リスクセンチメント、地政学リスクなど、様々な要因が絡み合います。
特に、トランプ次期政権の政策(関税政策、減税政策など)が2025年1月以降どのように展開されるかも、中長期的な市場の方向性を決める重要な要素です。
投資家の皆さんへのアドバイス
こういった不確実性の高い局面では、レバレッジを抑え、リスク管理を徹底することが何より大切です。特にFOMC前後は値動きが荒くなる可能性がありますので、ポジションサイズには十分ご注意ください。
締めの挨拶
本日の海外FX・投資関連ニュースは以上です。
今週は本当に重要なイベントが続きますので、情報収集をしっかりと行い、冷静な判断を心がけていきましょう。市場は常に動いていますが、焦らず、自分の投資スタイルを貫くことが長期的な成功の鍵です。
また明日の朝10時に、最新の市場情報をお届けします。
それでは、本日も良い取引を!
FX編集部 田中
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