おはようございます!FX編集部の田中です。
週末はゆっくり過ごせましたでしょうか。土日の間に大きな動きはありませんでしたが、先週金曜日(12月6日)の市場は日銀利上げ観測とFOMC利下げ期待という2つの大きな材料に揺れる展開となりました。
特に注目を集めたのは、ブルームバーグが報じた「日銀が12月18-19日の会合で利上げを実施し、その後も利上げ継続姿勢を維持する」という内容です。この報道を受けて、ドル円は一時154円台半ばまで円高が進みましたが、週末にかけては155円台半ばまで戻す場面もありました。
今週は米FOMC(12月9-10日)と日銀会合(12月18-19日)という2つの超重要イベントが控えています。相場が大きく動く可能性がありますので、ポジション管理には十分ご注意ください。
それでは、先週末までの重要ニュースを詳しく見ていきましょう。
重要ニュース
【最重要】日銀12月利上げがほぼ確実に、ブルームバーグが報道
12月5日午後、金融市場に大きな波紋を広げる報道がありました。ブルームバーグが複数の関係者への取材に基づき、日銀が今月の金融政策決定会合で利上げを実施する公算が大きいと伝えたのです。
報道の主な内容:
- 12月18-19日の会合で政策金利を0.50%→0.75%へ0.25%引き上げ
- 「内外の経済・物価や市場に大きな変化がない限り」実施する方向
- 利上げ後も継続的な金融引き締め姿勢を維持する見通し
- 高市早苗政権も日銀の利上げ判断を容認する構えを示している
この報道を受けて、市場の利上げ織り込み度は一気に上昇。現在、12月利上げ確率は9割を超える水準となっています。
市場の反応:
為替市場では、報道直後にドル円が155円台半ばから154円台半ばへ約1円の急落。日米金利差の縮小見通しが円買い材料となりました。ただし、週末にかけては米金利上昇を背景に155円台半ばまで戻す場面もあり、方向感の定まらない展開となっています。
債券市場では、日本の長期金利(新発10年債利回り)が1.95%まで上昇。2年債利回りに至っては17年半ぶりに1%台を突破する歴史的な水準に達しました。利上げ観測の高まりを反映した動きです。
株式市場では、金利上昇と円高進行が重なり、日本株の主要指数が1%超の下落。特に輸出関連株には売り圧力が強まりました。一方で、金利上昇メリットを享受する銀行株などには買いが入る場面もありました。
植田和男日銀総裁は12月1日の講演で「12月会合で利上げの是非について適切に判断したい」と明言しており、今回のブルームバーグ報道はその「地ならし」が着実に進んでいることを示す内容と言えます。
来週18-19日の会合では、実際の政策判断とともに、2026年の追加利上げスケジュールや春闘の賃上げ動向評価にも注目が集まります。
米FOMC、12月9-10日会合で3会合連続利下げが確実視
今週最初のビッグイベントとなるのが、12月9-10日(日本時間10-11日)に開催される米FOMC会合です。
市場予想:
- 政策金利を0.25%引き下げ(3.75-4.00% → 3.50-3.75%)
- 利下げ確率:約93%(前日91%から上昇)
- これが実現すれば3会合連続の利下げとなります
利下げの背景には、労働市場の減速傾向があります。ただし、興味深いのはインフレが依然として高止まりしている点です。通常、インフレ高止まりは利下げを阻む要因になりますが、FRBは労働市場の動向を優先する姿勢を示しています。
注目すべき点:
今回の会合では、利下げそのものよりも、パウエル議長が記者会見で示す2025年の利下げ見通しが最大の焦点となります。具体的には:
- ドットチャート(政策金利予測):2025年に何回の利下げを想定しているのか
- SEP(経済見通し)の修正:成長率、失業率、インフレ率の予測値
- トランプ次期政権の関税政策への言及:インフレへの影響をどう見ているか
- 2026年4月(議長任期最後)までの政策金利水準:市場予想は3.413%
市場では当初、FRBが今年9月から始めた利下げサイクルが2025年も続くと見込んでいましたが、インフレの粘着性や次期政権の政策不透明感から、利下げペースの鈍化も意識されつつあります。
為替への影響:利下げ観測そのものはドル売り材料ですが、週末の市場ではむしろ米長期金利の上昇が目立ち、ドルを下支えする展開となりました。これは、財政赤字拡大懸念やインフレリスクが意識されているためと考えられます。
ドル円155円台で神経質な展開、日米中銀会合控え様子見
先週末6日(金)のニューヨーク外国為替市場では、ドル円が一時155円49銭まで上昇する場面がありました。
週末の値動き:
- 東京朝:155円台前半でスタート
- ロンドン~NY市場:米債利回り上昇でドル買い優勢
- 高値:155円49銭(日中高値を上回る水準)
- NY午後:週末要因で落ち着いた動き
週間の推移を振り返ると:
週初12月1日、ドル円は155.91円でスタートしました。植田日銀総裁の利上げ示唆発言を受けて155円台半ばへ下落し、さらにブルームバーグの利上げ報道(5日午後)で154円台半ばまで円高が進行。しかし、週末にかけては155円台半ばまで戻すなど、154円台半ば~155円台半ばのレンジ内での推移が続いています。
市場のコンセンサス:
- 日銀12月利上げ確率:9割超
- FOMC12月利下げ確率:93%
- 両方がほぼ織り込まれた状態
このため、現在の相場は上値156円手前、下値154円が意識されるレンジ相場となっています。テクニカル面では、153円の20日移動平均線を明確に割り込むかどうかが、今後の方向性を占う重要なポイントとなりそうです。
為替アナリストの見方:
外為どっとコムのアナリストは、「ドル円は153円に向けて下落する可能性に注目している。上昇トレンドは継続中だが、20日線割れで上値の重さが際立つ展開となる可能性がある」と指摘しています。
一方で、米金利上昇がドルを下支えする構図も健在です。週末に発表された米ミシガン大学消費者信頼感指数が予想を上回る強さを示したことも、ドル買い材料となりました。
今週のFOMCと来週の日銀会合を経て、日米金利差が実際にどの程度縮小するのかが、今後のドル円相場の方向性を決める鍵となります。
米株は小幅高、FOMC前に様子見も利下げ期待が下支え
12月5日(木)の終値:
- NYダウ:47,954.99ドル(+104.05ドル、+0.22%)
- S&P500:6,849.09(+36.48、+0.53%)
- ナスダック:史上最高値圏での推移を維持
前日(4日)に大きく下落した反動もあり、5日の米株式市場は小幅に反発しました。FRBが来週の会合で利下げを決定するとの期待が引き続き市場を支えています。
市場環境:
現在の市場は少し複雑な状況にあります。政府機関の一部閉鎖により、本来であれば発表されるはずの経済指標がいくつか未発表となっており、投資家が十分な判断材料を得られない状態が続いています。
そんな中でも、12月6日に発表された雇用統計や、ミシガン大学消費者信頼感指数は予想を上回る強さを示し、米国経済の底堅さを示唆しました。
セクター動向:ハイテク株が比較的堅調で、特にエヌビディアなど主要銘柄に復調の兆しが見られます。一方、景気敏感株は慎重な動きが続いています。
日本株への影響:
米株高は本来、日本株にとって好材料です。しかし、現在は円高進行がその好影響を相殺する形となっており、日本株は上値が重い展開となっています。
年末相場に向けて:
例年、12月は「サンタクロースラリー」と呼ばれる株高傾向がありますが、今年は日米中央銀行の政策イベントが重なることもあり、年末ラリーの可否は今週~来週の展開次第といったところです。
株価のバリュエーション(PER水準)は依然として高止まりしており、上値追いには慎重姿勢が続きそうです。
今週の注目ポイント
今週は年内最大級の金融政策ウィークとなります。スケジュールと注目点を整理しておきましょう。
重要イベントスケジュール
12月9日(月)〜10日(火)
- 🇺🇸 FOMC(米連邦公開市場委員会)
- 0.25%利下げ(3会合連続)がほぼ確実
- 最重要:パウエル議長記者会見(日本時間11日未明)
- ドットチャート:2025年の利下げ回数予測
- SEP(経済見通し)の修正内容
- トランプ次期政権の政策への言及
12月18日(水)〜19日(木)
- 🇯🇵 日銀金融政策決定会合
- 0.25%利上げ(0.50%→0.75%)の公算大
- 最重要:植田総裁記者会見
- 2026年の利上げペース示唆
- 春闘賃上げ見通しへの評価
- 為替動向への言及
市場の焦点
1. 日米金利差の縮小ペース
- 米国:利下げ継続
- 日本:利上げ開始
- この「逆方向の動き」がドル円の方向性を決定
2. パウエル議長 vs 植田総裁の発言ニュアンス
- タカ派的(金融引き締め寄り)かハト派的(緩和寄り)か
- 2025年の政策運営方針の違い
3. 155円の攻防
- 上抜ければ156-157円方向へ
- 下抜ければ153-150円方向へ
- レンジブレイクのタイミングに注意
4. 株式市場の動向
- 日本株:円高と金利上昇のダブルパンチ
- 米株:利下げ期待 vs バリュエーション高
- 年末ラリーは実現するか
リスク要因
- 突発的な要人発言:市場の想定を超える内容があれば急変動も
- 地政学リスク:中東情勢など
- トランプ次期政権の政策発表:関税・減税など
- 年末特有のボラティリティ:取引量減少で値が飛びやすい
編集部からのコメント
今週は本当に大切な一週間になります。
先週のブルームバーグ報道で、日銀の12月利上げはほぼ既定路線となりました。一方、米国の利下げも確実視されています。つまり、日米の金融政策が完全に逆方向へ動くという、極めて珍しい局面を迎えるわけです。
これは、2024年を通じて続いてきた「円安・ドル高」のトレンドが、大きな転換点を迎える可能性を意味しています。
ただし、注意が必要なのは、市場はすでにこれらをかなり織り込んでいるという点です。日銀利上げ確率9割、FOMC利下げ確率93%――これだけ高い確率で織り込まれている以上、実際の発表時には「材料出尽くし」で逆方向に動く可能性もあります。
むしろ重要なのは、両中銀のトップが示す「その先」のシナリオです。
- パウエル議長:2025年はあと何回利下げするのか?
- 植田総裁:2026年も利上げを継続するのか?
この点に関する発言のニュアンスが、今後数カ月の相場を左右することになるでしょう。
個人的な見解としては、ドル円は当面153-157円のレンジで推移する可能性が高いと考えています。日米金利差の縮小は円高材料ですが、米国の長期金利が思ったほど下がらない(むしろ上昇している)点が、ドルの下支え要因となっています。
また、年末年始にかけては取引量が細り、突発的な値動きが起こりやすい時期です。特に今年は、重要イベントが年末に集中していることもあり、通常以上にボラティリティが高まる可能性があります。
ポジション管理には十分ご注意ください。特に、レバレッジを高めている方は、損切りラインをしっかり設定しておくことをお勧めします。
そして何より、睡眠時間を削ってまでリアルタイムで追う必要はありません。大きな動きがあれば、翌朝には必ず整理された情報が出てきます。健康第一で、無理のないトレードを心がけてくださいね。
締めのご挨拶
今週は金融政策ウィークということで、いつも以上に緊張感のある相場展開が予想されます。
明日の朝も、最新情報を整理してお届けしますので、ぜひチェックしてくださいね。
それでは、今週も良い一週間をお過ごしください。相場で良い結果が出ますように!
FX編集部 田中
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