おはようございます!FX編集部の田中です。
週明けの月曜日、いかがお過ごしでしょうか。先週末の米国市場は堅調な動きを見せ、今週は注目の金融政策イベントが目白押しとなっています。特に日米両国の中央銀行の動向が焦点となる一週間のスタートですね。
本日も投資判断の参考になる情報をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
日本GDP、予想以上の下方修正で年率-2.3%に
内閣府が本日発表した2025年7-9月期の国内総生産(GDP)改定値は、実質で前期比-0.6%、年率換算で-2.3%となりました。11月に発表された速報値の年率-1.8%から0.5ポイントも下方修正される結果となっています。
市場予想は年率-2.0%でしたので、予想を上回るマイナス幅となりました。下方修正の主な要因は企業の設備投資で、速報値では前期比+0.2%とプラスだったものが、改定値ではマイナス圏に転落しています。
一方で明るい材料もあります。個人消費と外需(純輸出)は速報値から上方修正されており、消費者の購買意欲は底堅さを維持していることが確認できました。
市場への影響: この発表を受けて、午前中のドル円相場は一時154.90円付近まで円高が進行しました。ただし、下げは限定的で、すぐに155円台を回復しています。株式市場では、高市政権の積極財政への期待感から内需関連株に買いが入り、日経平均株価は前週末比90円高の50,581円で取引を終えています。
今週18-19日に開催される日銀金融政策決定会合での利上げ判断への影響が注目されますが、現時点では日銀の政策スタンスに大きな変更はないと見られています。
[情報源:日本経済新聞、ロイター]
植田日銀総裁、12月利上げを強く示唆
12月1日に名古屋で開催された金融経済懇談会で、植田和男日銀総裁が注目の発言を行いました。12月18-19日の金融政策決定会合について「利上げの是非について適切に判断したい」と述べ、政策変更の可能性がある「ライブ会合」となることを明確にしました。
植田総裁が利上げを検討する背景として挙げたポイントは2つです。
①2026年春闘への手応え: 経団連や経済同友会の調査から、企業の賃上げ継続に対する「初動のモメンタム(勢い)」を感じているとのこと。多くの企業が2025年とほぼ同じか、それ以上の賃上げ率を予定しているとしています。
②為替変動による物価への影響: これまでも為替の変動が物価に影響を及ぼしやすいとの指摘はありましたが、今回は「予想物価上昇率や基調的な物価上昇率にまで影響が波及する可能性」にまで言及した点が重要です。
この発言を受けて、野村證券は次回利上げ予想を2026年1月から2025年12月に前倒ししました。市場でも12月利上げ確率が大幅に上昇しています。
市場への影響: 発言直後から円買いが進み、ドル円は一時154円台まで下落。長期金利(10年国債利回り)は2%に迫る水準まで上昇し、銀行株などの金融セクターに買いが集まりました。ただし、政府の容認姿勢が明らかになったことで、市場の混乱は限定的となっています。
利上げが実施されれば、政策金利は現在の0.5%から0.75%へ引き上げられることになります。
[情報源:野村證券、日本銀行、ロイター]
今週のFOMC、0.25%利下げ濃厚も2026年見通しが焦点
今週12月9-10日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の利下げが実施される見通しです。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedウォッチによると、市場の87%が利下げを予想しています。
しかし、今回のFOMCで投資家が本当に注目しているのは、利下げそのものではありません。会合後に行われるパウエルFRB議長の記者会見で示される「2026年の金融政策見通し」が最大の焦点となっています。
ここ数カ月、米国のインフレ指標は予想以上に粘着性を見せており、一部のFOMCメンバーからは利下げに対する慎重な意見も出始めています。そのため、今回の会合では複数の委員から反対票が出る可能性も指摘されています。
ブルームバーグが実施したエコノミスト調査によると、2026年の利下げペースは以下のように予想されています:
- 1月:据え置き
- 3月:0.25%利下げ
- 9月:0.25%利下げ
- 合計2回の利下げ
市場への影響: 利下げ自体は既に織り込み済みのため、為替市場への直接的な影響は限定的と見られます。むしろ、パウエル議長の発言内容次第でドル円相場は大きく変動する可能性があります。
タカ派的な発言(利下げペースの鈍化を示唆)が出れば、ドル買い・円売りが進み156円台回復も視野に入ります。逆にハト派的な発言となれば、日米金利差縮小の観測から円高圧力が強まる展開が予想されます。
今週は雇用統計の発表延期(政府機関閉鎖の影響で12月16日に延期)により、FRBは限られたデータに基づいて判断を下す必要があり、難しい舵取りを迫られています。
[情報源:ロイター、Bloomberg、三井住友DSアセットマネジメント]
東京株式市場は小幅反発、実質的には広範な買い
本日の東京株式市場で日経平均株価は前週末比90.07円(+0.18%)高の50,581.94円で取引を終えました。一見すると小幅な上昇に見えますが、実態は異なります。
注目すべきポイントは、ソフトバンクグループ1銘柄だけで日経平均を126円分押し下げていることです。つまり、この影響を除けば、実質的には200円以上の上昇力があったことになります。
実際、より市場全体の動きを反映するTOPIXは21.75ポイント(+0.65%)高の3,384.31と、日経平均よりも強い動きを見せました。東証プライム市場では、値上がり銘柄数が全体の約8割(1,267銘柄)を占めており、広範な買いが入ったことが分かります。
セクター別の動き:
- 上昇率上位: 非鉄金属、不動産業、建設業、卸売業、倉庫・運輸
- 下落: 小売業、銀行業、その他製品
高市政権の積極的な財政政策への期待感が内需関連株を押し上げました。一方で、国内長期金利が2%に迫る水準まで上昇したことが、金利上昇に敏感な一部セクターの重しとなっています。
個別銘柄では、キオクシアホールディングス、フジクラ、三菱重工業、サンリオなどが買われ、日経平均を押し上げました。
[情報源:株探ニュース、日本経済新聞]
ドル円、155円挟みのレンジ継続
本日の外国為替市場でドル円は、155円を挟んだレンジ相場が継続しています。午前中に日本のGDP下方修正を受けて一時154.90円付近まで円高が進行しましたが、下げは限定的で、すぐに155円台を回復する展開となりました。
テクニカル分析のポイント:
週足チャートを見ると、26週移動平均線が52週移動平均線を上抜く「ゴールデンクロス」が発生し、パーフェクトオーダー(すべての移動平均線が上昇トレンドを示す状態)を形成しています。これは中期的な上昇基調が維持されていることを示唆しています。
一方、日足チャートでは「上昇フラッグ」と呼ばれるパターンを形成中です。これは上昇トレンドの途中で現れる持ち合い相場で、上抜ければさらなる上昇、下抜ければ調整局面入りのシグナルとなります。
想定レンジ:
- 上値抵抗:158円(第一関門)→ 158.80円 → 162円
- 下値サポート:153円(フィボナッチ38.2%)→ 151円半ば(半値)
現在は12月10日のFOMCと12月18-19日の日銀会合という2つの大きなイベントを控えており、市場参加者は様子見姿勢を強めています。FRBはブラックアウト期間(金融政策に関する発言自粛、11日まで)に入っており、新たな材料が乏しいことも方向感の出にくさにつながっています。
155円を境に、上なら下値が堅い、下なら上値が重いという見方が市場では一般的です。
[情報源:外為どっとコム総合研究所、みんかぶFX]
今後の注目ポイント
今週の重要イベント:
【米国】
- 12月9日(月): JOLTS求人件数(10月分)
- 12月10日(火): FOMC政策金利発表、パウエルFRB議長記者会見、雇用コスト指数
- 12月12日(木): フィラデルフィア連銀総裁・ハマック連銀総裁の発言(両氏は2026年に投票権を持つため要注目)
【日本】
- 12月9日(月): 植田日銀総裁の海外講演
- 12月18日(水)-19日(木): 日銀金融政策決定会合
来週以降:
- 12月16日(月): 米11月雇用統計発表(当初11月20日予定が延期)
今週は日米両国の金融政策の方向性が明確になる重要な一週間です。特にFOMCでのパウエル議長の発言内容と、日銀の12月利上げの可能性が、年末に向けた相場の方向性を決定づける重要なポイントとなります。
ドル円相場は、米国がハト派(利下げ継続)、日本がタカ派(利上げ実施)となれば円高方向、逆の場合は円安方向へ動く可能性が高まります。どちらのシナリオにも対応できるよう、リスク管理を徹底することをお勧めします。
編集部からのコメント
今週は本当に目が離せない一週間になりそうですね。
日米の金融政策が逆方向に動く可能性が高まっており、いわゆる「金融政策の逆行現象」が注目されています。米国が利下げ、日本が利上げという構図は、為替相場にとって大きな変動要因となります。
個人的に注目しているのは、植田総裁が強調した「為替変動が基調的な物価上昇率に影響を及ぼす可能性」という表現です。これは従来よりも踏み込んだ内容で、円安が続けば日銀が為替対応として利上げに動く可能性を示唆しています。
一方で、本日発表されたGDPの下方修正は、日本経済の脆弱性も浮き彫りにしています。設備投資の低迷は企業の先行き不透明感の表れともいえ、利上げが経済に与える影響を慎重に見極める必要があります。
このような環境下では、短期的な値動きに一喜一憂せず、中長期的な視点でポジション管理を行うことが大切です。特に今週のFOMCと来週の日銀会合を通過するまでは、レバレッジを抑えめにするなど、慎重な姿勢をお勧めします。
年末に向けた相場の大きな流れが決まる重要な局面です。冷静に市場を見守りましょう。
締めの挨拶
本日の海外FX・投資関連ニュースは以上となります。
今週は金融政策イベントが目白押しで、市場のボラティリティ(変動率)が高まる可能性があります。重要な発表の前後は急激な値動きにも注意が必要ですので、損切りラインの設定など、リスク管理を怠らないようにしてください。
明日以降も最新の情報をお届けしてまいりますので、ぜひご活用ください。それでは、本日も良いトレードを!
FX編集部 田中
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