おはようございます!FX編集部の田中です。
昨夜の海外市場は、本日深夜に控えるFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表を前に、様子見ムードが強い一日となりました。ドル円は156円台後半で推移し、NYダウは179ドル安と続落しています。市場参加者の視線は、今晩のパウエルFRB議長の会見と金利見通しに集中している状況です。
それでは、昨夜から本日朝にかけての重要ニュースをお届けいたします。
本日の主要ニュース
【FOMC】本日深夜に金利決定発表、2026年の利下げペース見通しが最大の焦点に
米連邦公開市場委員会(FOMC)が12月9-10日に開催されており、日本時間11日午前4時に政策金利の発表が予定されています。市場では約88%の確率で0.25%の利下げ(政策金利4.25-4.50%へ引き下げ)が織り込まれている状況です。
今回の最大の焦点は、同時に発表される経済見通し(SEP)に含まれる「ドットチャート」と呼ばれる金利予測分布図です。前回9月時点では、2026年末の政策金利見通しの中央値が3.25-3.50%(来年1回の利下げを示唆)でしたが、今回どこまで下方修正されるかが注目されています。
金利市場は現在、来年2回の利下げ(3.00-3.25%)を織り込んでおり、これ以下の見通しが示された場合はドル売り材料となる可能性があります。
また、FOMC内部で意見の対立が深まっているとの報道もあり、複数の反対票が出る可能性も指摘されています。パウエル議長は前回10月の会見で、12月利下げは「決して既定路線ではない」と述べていただけに、今回の会見での発言が重要な意味を持つことになりそうです。
市場への影響:
- ドル円は現在156円台後半で推移しており、タカ派的な内容なら157円突破、ハト派なら155円割れの可能性
- NYダウは前日比179ドル安の47,560ドルと様子見の売りが優勢
- 米10年債利回りは上昇傾向が続いています
今晩の結果次第で、年末に向けた為替・株式市場のトレンドが大きく変わる可能性がありますので、十分にご注意ください。
【日銀】植田総裁が長期金利の急上昇に警戒感、12月利上げの可能性高まる
12月9日の衆院予算委員会で、植田和男日銀総裁は最近の長期金利について「やや速いスピードで上昇している」と述べ、市場動向への警戒感を示しました。その上で「通常の市場の動きと異なる形で長期金利が急激に上昇するといった例外的な状況では、機動的に国債買い入れ増額などを実施する」と発言しています。
一方で、「日銀の経済・物価見通しが実現すれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と改めて利上げ継続の姿勢を明確にしました。また、「為替レートが物価に与える影響を注視している」とも述べており、円安進行への牽制とも受け取れる発言をしています。
市場では12月18-19日の金融政策決定会合で0.25%の追加利上げ(政策金利0.50%→0.75%程度へ)がほぼ確実視されています。これが実現すれば、年間利上げ幅0.5%は1990年以来35年ぶりの「歴史的利上げ」となります。
市場への影響:
- 12月利上げは既に市場に織り込まれていますが、実施のタイミングや今後の利上げペースが焦点に
- 日本の長期金利(10年国債)は上昇圧力が続いており、日銀の対応が注目されます
- 米国がタカ派的な金融政策を継続する場合、日米金利差の動向が為替相場を左右する可能性
日本の金融政策が正常化に向かう中、FOMCとの方向性の違いが為替市場にどのような影響を与えるか、引き続き注視が必要です。
【米雇用指標】JOLTS求人件数が予想大幅上回る、雇用市場の底堅さ確認でドル買い進む
12月9日深夜(日本時間10日午前0時)に発表された米10月雇用動態調査(JOLTS)で、求人件数が767.0万件と市場予想の711.7万件を大幅に上回る結果となりました。
さらに、政府閉鎖の影響で遅れていた9月分も同時に発表され、765.8万件と予想の719.8万件を上回っています。2カ月連続で雇用市場の底堅さが確認されたことで、FRBの利下げペースが予想より緩やかになるとの見方が強まりました。
これを受けて米長期金利が上昇し、ドル買い・円売りが優勢となりました。ドル円は156.95円まで上昇し、約2週間ぶりの高値を付けています。ただし、10月の解雇率が1.2%と昨年9月以来の高水準に上昇するなど、雇用市場の一部には厳しさも見られる点には注意が必要です。
市場への影響:
- ドル円が155円台から156円台後半へ上昇
- クロス円も全面高となり、ユーロ円は史上最高値を更新
- 米10年債利回りが上昇し、日米金利差拡大観測がドル買い圧力に
次回の重要指標は12月13日発表予定の11月米雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)となります。こちらも併せてチェックしておきたいところです。
【株式市場】日経平均は5万1000円の壁を前に様子見、FOMC待ちで小幅反落
10日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比52円30銭(0.10%)安の50,602円80銭で取引を終えました。朝方は米雇用指標の堅調さを好感して223円高まで上昇する場面もありましたが、午後は一転してマイナス圏に沈んでいます。
本日深夜のFOMC結果発表を控えて様子見姿勢が強まり、積極的な売買は手控えられました。市場では心理的節目の5万1000円が強く意識されており、この水準を突破するには明確な上昇材料が必要との見方が広がっています。
前日のNYダウが179ドル安と続落したことも重石となりました。セクター別では半導体関連が堅調を維持した一方、金融株は軟調な展開となっています。
市場への影響:
- 日経平均は50,000-51,000円のレンジでの推移が続く見込み
- FOMC結果次第で、年末に向けた方向感が明確になる可能性
- 日本株安が円買い材料となる場面も見られました
FOMC後の米株市場の反応と、それが日本株にどのように波及するかが注目されます。
【商品市場】金価格が上昇、原油は供給過剰懸念で58ドル台に軟調
12月10日の商品市場では、NY金先物が前日比19.5ドル高の4,079.5ドル/トロイオンスと上昇しています。FOMC前の不確実性から、安全資産としての金に買いが集まった形です。また日本の国内金先物も、財政拡張策への懸念と円安進行を背景に反発しています。
一方、WTI原油先物は前日比0.94ドル安の58.06ドル/バレルと続落しました。11月以降は54-60ドルの狭いレンジでの推移が続いていますが、原油供給が需要を上回る可能性が指摘されており、価格を押し下げる要因となっています。
市場への影響:
- 金は上昇トレンドを維持していますが、FOMCでタカ派的な内容が出た場合は調整の可能性
- 原油安はインフレ鎮静化要因として注目されます
- 資源国通貨(加ドル、豪ドルなど)への影響にも注意が必要です
今後の注目ポイント
短期(本日~今週)
- 12月11日午前4時:FOMC金利決定発表
- 0.25%利下げの実施と2026年の利下げ見通し(ドットチャート)が焦点
- パウエル議長の記者会見での今後の金融政策スタンスに注目
- 12月13日:米11月雇用統計
- 非農業部門雇用者数と失業率が発表されます
- 雇用市場の動向がFRBの今後の政策判断に影響
中期(今月~来月)
- 12月18-19日:日銀金融政策決定会合
- 0.25%の追加利上げがほぼ確実視されています
- 植田総裁会見での「中立金利」に関する言及内容に注目
- 年末に向けた相場動向
- 日米金融政策の方向性の違いが為替相場を左右
- 機関投資家のポートフォリオ調整による変動に注意
編集部からのコメント
本日の市場は、まさに「嵐の前の静けさ」といった様相を呈しています。今晩のFOMCは、年末から来年にかけての市場の方向性を決める重要なイベントとなりそうです。
特に注目したいのは、FRBが2026年に何回利下げするかという見通しです。市場は2回の利下げを織り込んでいますが、ドットチャートがこれより少ない回数を示した場合、ドル高・円安が一段と進む可能性があります。
一方で、日銀は利上げ方向に舵を切っており、日米の金融政策の方向性が異なる「金融政策の逆行」が鮮明になってきました。この状況が為替相場にどのような影響を与えるか、中期的な視点での注視が必要です。
今晩は夜更かしになりそうですが、重要な局面ですので、リスク管理をしっかりと行いながら市場の動きを見守りたいと思います。
それでは、本日も良い取引を!
FX編集部 田中
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