【2025年12月11日】最新海外FX投資ニュース

目次

おはようございます!FX編集部の田中です

昨日の海外市場は、年内最後のFOMCを無事に通過しました。FRBは市場予想通り0.25%の利下げを決定しましたが、パウエル議長の会見内容が注目を集め、ドル円は激しく上下する展開となりました。

NYダウは497ドル高と大きく反発し、投資家のリスク選好姿勢が戻ってきた印象です。一方で、日本市場では利益確定売りが優勢となり、日経平均は453円安と続落しました。

それでは、昨晩から今朝にかけての重要なニュースを見ていきましょう。


重要ニュース

FRB、利下げ決定も2026年は慎重姿勢に転換

FRBが0.25%利下げを決定したものの、来年の追加利下げは1回のみとの見通しを示し、市場予想とのギャップが意識されています。

米連邦準備制度理事会(FRB)は日本時間11日午前4時、連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を公表し、政策金利を3.75-4.00%から3.50-3.75%へ0.25%引き下げることを決定いたしました。これで3会合連続の利下げとなります。

今回の採決では9人が賛成した一方、3人が反対票を投じるという異例の展開となりました。ミラン理事は0.50%の大幅利下げを主張し、シュミッド総裁とグールズビー総裁は金利据え置きを主張しており、FRB内部の意見対立の深まりが浮き彫りになっています。

パウエル議長は会見で「政策金利は中立金利のレンジ内にあり、良い態勢(well positioned)が整った」と述べ、今後の利下げペースについて慎重な姿勢を示しました。特に注目されたのが、2026年の利下げ見通しが1回(0.25%)のみとされた点です。市場は2回以上の利下げを織り込んでいたため、このギャップが今後の相場の焦点となりそうです。

声明文でも「追加調整を検討するに当たり」という表現が「追加調整の程度と時期を検討するに当たり」に修正され、利下げの一時停止を示唆する内容となりました。

市場の反応は複雑でした。ドル円は発表直後に156.68円まで上昇しましたが、パウエル議長の会見中に155.79円まで急落し、最終的には156円台前半で落ち着いています。NYダウは497ドル高(+1.04%)の4万8057ドルと大幅反発し、米長期金利は低下しました。

投資家の皆様にとって重要なのは、FRBが「利下げ局面の停止」に向かっているという点です。これは今後のドル相場の下支え要因となる可能性があります。


日銀12月利上げ、確率90%超に上昇

植田日銀総裁が「利上げの是非について適切に判断したい」と発言し、12月18-19日の会合での利上げが濃厚となっています。

日本銀行の植田和男総裁は12月1日の講演で、今月18-19日に開催される金融政策決定会合について「利上げの是非について、適切に判断したい」と明言いたしました。

この発言を受けて、市場が織り込む12月会合での利上げ確率は約90%まで上昇しています。実現すれば、政策金利は現行の0.50%から0.75%へ引き上げられる見通しです。

植田総裁は英フィナンシャル・タイムズ紙とのインタビューでも「持続的な2%インフレ目標の達成が近づいている」との認識を示し、さらに「再び利上げを実施してもそれが最終ではない」と述べるなど、追加利上げの可能性も示唆しています。

注目すべきは、高市早苗政権も日銀の利上げ判断を容認する姿勢を示している点です。ロイター通信によれば、政府関係筋は「12月の利上げは既定路線」との見方を示しており、政治的な障害は少ないと見られています。

為替市場への影響も見逃せません。FRBが利下げペースを鈍化させる一方、日銀が利上げを進めることで、日米の金利差が縮小に向かう可能性があります。これは円高要因となり得るため、輸出関連企業や外貨建て資産をお持ちの投資家の方は注視が必要です。

ただし、みずほ銀行のレポートでは「FRBが想定ほど利下げできず、日銀も政治的圧力で想定ほど利上げできない場合、結局日米金利差は放置され、円安も修正されない」との指摘もあり、来年以降の政策運営には不透明感が残ります。


日経平均453円安、FOMC通過後も利益確定売り優勢

米FOMCを無事通過したものの、オラクル株の急落や利益確定売りで日経平均は5万0148円まで下落しました。

11日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比453円98銭安(-0.90%)の5万0148円で取引を終えました

前日の米国市場ではNYダウが497ドル高と大幅反発していたため、東京市場も朝方は買いが先行しましたが、その後急速に失速する展開となりました。

下落の主な要因は以下の通りです:

  1. 米オラクルの決算失望:時間外取引でオラクル株が急落し、投資家心理を冷やしました
  2. 利益確定売りの圧力:5万円台での高値警戒感から、先物市場で売りが優勢となりました
  3. 年末を控えた調整:12月相場の上昇を受けて、利益を確定する動きが広がりました

日中の動きを見ますと、前場は293円安の5万0308円で取引を終え、後場にさらに売りが加速しました。一時は5万円の大台を割り込む場面もあり、心理的な節目を意識した動きとなっています。

ただし明るい材料もございます。12月第1週(1-5日)の海外投資家の売買動向では、3週ぶりに買い越しに転じたことが判明しました。11月に売られていたAI関連株に買い戻しが入っており、中長期的な投資姿勢は維持されている様子です。

個別では、アドバンテスト(6857)やキオクシアなどの半導体関連銘柄は堅調な値動きを見せており、セクター間での明暗が分かれました。

来週の日銀会合を控えて、金利上昇が株式市場にどのような影響を与えるかが焦点となりそうです。


中国11月CPI加速もPPIは38カ月連続マイナス

中国の消費者物価は改善したものの、生産者物価の低迷が続き、デフレ圧力の根深さが明らかになりました。

中国国家統計局が10日に発表した11月の物価統計では、消費者物価指数(CPI)が前年同月比**+0.7%**と、市場予想通りの結果となりました。前月の+0.2%から大きく加速し、21カ月ぶりの高い伸びを記録しています。

上昇の主因は食品価格の上昇で、特に豚肉などの価格が押し上げ要因となりました。食品とエネルギーを除いたコアCPIは+1.2%と安定した伸びを示しており、一定の消費回復が確認できます。

一方で、懸念材料となっているのが生産者物価指数(PPI)です。前年同月比で**-2.2%と、予想の-2.0%を下回り、前月の-2.1%からさらに下げ幅が拡大しました。これで38カ月連続のマイナス**となり、製造業のデフレ圧力が根強く残っていることが浮き彫りになっています。

PPIの低迷は、製造業の需要不足や過剰生産能力の問題を反映しており、中国経済の構造的な課題を示しています。特に不動産市場の低迷が長引く中、生産財の需要回復には時間がかかる見通しです。

投資家への影響としては、中国のデフレ圧力が世界的な商品価格の重石となる可能性があります。また、中国関連銘柄や中国向け輸出企業への投資判断においては、この厳しい物価環境を考慮に入れる必要がありそうです。

中国政府は追加の経済対策を打ち出していますが、その効果が物価に反映されるまでには、もう少し時間が必要かもしれません。


ドル円155-157円レンジ、日米金融政策の綱引き継続

FOMC通過後のドル円は155円台後半から156円台前半で推移し、日米の政策方向性の違いが意識される展開です。

為替市場では、ドル円が155.79円から156.68円の範囲で激しく変動した後、現在は156円台前半で落ち着いています

FOMC発表直後はドル買いが先行し156.68円まで上昇しましたが、パウエル議長の会見が「想定ほどタカ派ではなかった」と受け止められると、一転して155.79円まで急落する場面がありました。

外為どっとコム総研の分析によりますと、オーダーブック(注文状況)では155円付近に厚い買い注文が集まっており、この水準が当面の下値サポートとして機能しそうです。また、157円付近には厚い売り注文があり、上値の重さも意識されています。

市場の見方としては「大きく下押しする展開にはならない」(外為どっとコム)というのが大勢です。理由は以下の通りです:

  1. FRBの利下げペース鈍化がドルの下支え要因
  2. 日銀の利上げ観測が円高圧力として作用
  3. 日米金利差の縮小余地は限定的との見方

ただし、来週の日銀会合で実際に利上げが決定された場合、短期的には円高に振れる可能性もございます。特に155円を明確に割り込むようであれば、153円台半ばの厚い買い注文水準までの調整も視野に入ってきます。

輸出入企業の方や外貨建て投資をされている方は、このレンジ内での推移を前提に、リスク管理を行うことをお勧めいたします。


今後の注目ポイント

今週から来週にかけて、以下のイベントに注目が集まります:

今週の注目イベント

  • 12月12日(木): 米新規失業保険申請件数、英中銀ベイリー総裁発言
  • 12月13日(金): 米生産者物価指数(PPI)

来週の超重要イベント

  • 12月18日(水): 欧州中央銀行(ECB)理事会
  • 12月18-19日(木・金): 日銀金融政策決定会合

特に来週は日銀とECBの政策会合が重なるという、非常に珍しいタイミングです。日銀が利上げを実施する一方、ECBがどのような姿勢を示すかによって、クロス円相場(ユーロ円など)にも大きな影響が出る可能性があります。

また、年末に向けて市場参加者が徐々に減少し、流動性が低下する時期に入ります。薄商いの中での急変動リスクにも注意が必要です。


編集部からのコメント

昨晩のFOMCは、表面上は「予想通りの利下げ」でしたが、その中身を見ると、FRBの政策スタンスが明確に変化していることが分かります。

特に印象的だったのは、パウエル議長が「well positioned(良い態勢)」という表現を使った点です。これは実はECBのラガルド総裁もよく使う表現で、「様子見モード」に入ったことを意味します。欧米の中央銀行が揃って利下げに慎重になっているという点は、2026年の金融政策を考える上で非常に重要なポイントです。

一方、日本では植田総裁が利上げに前向きな姿勢を明確にしており、世界の金融政策が分岐点を迎えていることが実感できます。

投資家の皆様におかれましては、「米国=利下げ鈍化」「日本=利上げ」という構図が、今後の為替や株式市場にどのような影響を与えるか、しっかりと見極めていく必要がありそうです。

個人的には、来週の日銀会合後の市場の反応が、年明け以降のトレンドを占う上で重要になると考えております。


それでは、本日も良い投資を!

年末に向けて市場のボラティリティが高まる可能性があります。ポジション管理には十分ご注意いただき、無理のない範囲での投資を心がけてくださいね。

また明日の朝10時に、最新のニュースをお届けいたします。

FX編集部 田中

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