【2025年12月20日】最新海外FX投資ニュース

皆さま、おはようございます。FX編集部の田中です。

昨日12月19日の海外市場は、日銀の利上げ決定後に円安が急進行する波乱の展開となりました。植田総裁の慎重姿勢が市場に伝わると、ドル円は一時157円台後半まで急落。約1ヶ月ぶりの円安水準となり、為替介入への警戒感も高まっています。一方、米国株は2日連続で続伸し、年末に向けた楽観ムードが広がっています。

本日も重要なニュースを分かりやすくお届けしますので、最後までお付き合いください。


目次

本日の重要ニュース

日銀利上げも円安加速、ドル円157円台後半へ

 日銀が政策金利を0.75%に引き上げたものの、植田総裁の慎重姿勢が嫌気され、ドル円は1ヶ月ぶりの円安水準157円台後半まで下落しました。


日本銀行は12月19日、金融政策決定会合で政策金利を0.5%から0.75%へと0.25ポイント引き上げることを全員一致で決定しました。利上げは約1年ぶりで、政策金利は30年ぶりの高水準となりました。

会合前の市場予想では、利上げ確率が96%まで上昇しており、日銀短観で大企業製造業の景況感が4年ぶりの高水準となったことも利上げを後押ししました。

しかし、会合後の記者会見で植田和男総裁が「実質金利は極めて低い水準にある」と述べつつも、次回の利上げ時期について明言を避けたことが市場の失望を招きました。総裁は「政策金利の先行きのパスは今後の情報やデータ次第」と慎重な姿勢を強調し、市場は利上げペースの鈍化を織り込む形となりました。

この結果、為替市場では円売りが加速。ドル円は発表直後の155.60円付近から反発を開始し、NY時間には157円台半ばまで上昇。一時157.48円を付け、約1ヶ月ぶりの円安水準となりました。

片山財務相はG7オンライン会合後の記者会見で「為替動向は一方向で急激な動きで憂慮している。行き過ぎた動きには適切に対応する」と述べ、為替介入の可能性を示唆しましたが、市場の反応は限定的でした。

債券市場でも動きが見られ、日本の10年債利回りは1.97%台から2.02%へ急上昇し、節目の2%台に到達しました。

クロス円も全面高となり、ユーロ円は184円台でユーロ導入以降の最高値を記録、ポンド円は210円台で2008年以来の高値を更新しました。

市場関係者の間では、日米金利差がなお大きいことから、円キャリー取引が再燃するとの見方が広がっています。ドル円は21日線(156円付近)を一気に上抜けており、11月下旬からの調整トレンドが終了した可能性も指摘されています。


FRB、2026年利下げ見通しを大幅下方修正

 12月10日のFOMCで3会合連続の利下げを決定したものの、2026年の利下げ見通しを年2回から1回へ下方修正し、タカ派姿勢を強調しました。


米連邦準備制度理事会(FRB)は12月10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.25ポイント引き下げ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.5-3.75%としました。これで9月から3会合連続の利下げとなります。

ただし、今回の決定では3人が反対票を投じ(賛成9、反対3)、FOMCとしては異例の内部対立が表面化しました。さらに、投票権を持たない地区連銀総裁を含めると、12地区連銀総裁のうち半数の6人が反対していたことが判明し、FRB内部の意見の分裂が鮮明になりました。

最も注目されたのは、FOMC参加者の政策金利見通し(ドットチャート)です。2026年の利下げ見通しは0.25%の利下げ1回のみ(中央値)となり、前回9月時点の4回から大幅に下方修正されました。2027年も0.25%の利下げ1回、2028年以降は据え置きとの見立てが示されました。

パウエル議長は記者会見で「政策金利を9月以降0.75%ポイント、昨年9月以降では1.75%ポイント引き下げた結果、政策金利は推定される中立金利にかなり近い」と述べ、利下げペースの大幅な減速を示唆しました。また、「経済動向を見極める良い位置にある」とも語り、様子見姿勢を強調しています。

市場では、この「タカ派的な利下げ」が米国債利回りの上昇を招き、米10年債利回りは4.17%台へ上昇しました。これがドル高圧力となり、主要通貨に対してドル買いが進む要因となっています。

今後は2026年1月のトランプ新政権発足後の財政・貿易政策がインフレに与える影響が焦点となります。関税引き上げや減税政策がインフレを再燃させる可能性があり、その場合はさらなる利下げペースの減速、あるいは利上げ再開のシナリオも排除できません


NY株続伸、ハイテク株高で2日連続プラス

12月19日のNY株式市場はハイテク株の上昇が消費関連の下落を相殺し、ダウは183ドル高で2日連続の続伸となりました。


12月19日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比183.04ドル高の48,134.89ドルで取引を終了し、2日連続の続伸となりました。

市場を牽引したのはAI関連を中心としたハイテク株です。人工知能関連の企業群が堅調な買いを集め、相場全体を支える形となりました。12月は株式市場が伝統的に強い時期(いわゆる「サンタラリー」)でもあり、年末に向けたポジション調整の買いも入りました。

一方で、スポーツ用品大手のナイキなど消費関連銘柄は軟調に推移しました。決算懸念や個人消費マインドの冷え込みが材料視され、セクター間の明暗が分かれる展開となりました。

S&P500指数は年初来で16.1%上昇(12月12日時点)しており、大きな波乱がなければ3年連続での上昇が確実視されています。ただし、野村證券のレポートによると、リーマン・ショック以降、S&P500が4年連続で上昇した例はなく、2026年の相場には慎重な見方も出始めています。

市場関係者の間では、FRBの利下げペース減速が「経済のソフトランディング(軟着陸)」を示唆しているとの楽観的な見方がある一方、インフレ再燃リスクや企業業績の伸び鈍化への警戒感も根強く残っています

年末年始はクリスマス休暇で市場参加者が減少するため、薄商いによる急激な値動きには注意が必要です。


英中銀は利下げ、ECBは据え置き、欧州で政策分岐

12月18日に英中銀は僅差で0.25%利下げを決定して政策金利を3.75%に、ECBは据え置きを決定し、欧州域内の政策に温度差が生じました。


12月18日、イングランド銀行(BOE、英中銀)の金融政策委員会(MPC)は、政策金利を4.00%から3.75%へ0.25ポイント引き下げることを決定しました。採決は賛成5、反対4と僅差で、委員会内部の意見対立を示す結果となりました。

利下げの根拠となったのは、11月の英消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びにとどまったことです。物価上昇圧力が弱まっているとの判断から、追加緩和に踏み切りました。ただし、英雇用統計では平均賃金が予想を上回る伸びを示しており、労働市場の引き締まりは継続しています。

一方、同日開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、政策金利の据え置きが決定されました。ラガルド総裁は記者会見で、利下げサイクル終了の可能性を示唆し、タカ派的な姿勢を示しました。ドイツの大規模国債発行計画がユーロの下押し圧力となる一方、ユーロ圏全体のインフレ鈍化が限定的であることが据え置きの理由とされています。

この結果、英欧間での金融政策の温度差が際立つ形となりました。為替市場ではポンド売り・ユーロ買いの動きが見られましたが、ポンド円は円安の影響で210円台を突破し、2008年以来の高値を記録しました。

2026年については、英中銀は複数回の追加利下げを実施する可能性がある一方、ECBは現状維持の姿勢を続けるとの見方が優勢です。ただし、ユーロ圏の景気後退リスクとドイツ製造業の低迷が続けば、ECBも方針転換を余儀なくされる可能性があります。


金価格が最高値更新、ゴールドマンは4,900ドル予想

 NY商品市場で金先物が過去最高値の4,387ドル台を更新し、ゴールドマン・サックスは2026年末までに4,900ドルへ上昇と予想しました。


12月19日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で、金先物2026年2月限は前営業日比22.80ドル(0.52%)高の4,387.30ドルで取引を終え、過去最高値を更新しました。

FRBの利下げペースが減速するとの見方が広がる中でも、金価格は堅調に推移しています。背景には、地政学リスクの高まり、中央銀行(特に新興国)による金購入の継続、そしてインフレヘッジ需要の根強さがあります。

ゴールドマン・サックスは12月18日に発表したレポートで、2026年12月までに金価格が14%上昇し、1オンス4,900ドルに達するとの予想を示しました。同社は利下げ継続と中央銀行の購入増加を主な上昇要因として挙げています。

一方、原油先物(WTI)1月限は前日比0.51ドル(0.91%)高の56.66ドルで終了しました。OPECプラスの生産調整や中東情勢が材料視されましたが、上値は限定的でした。ゴールドマン・サックスは原油については、増産や需要減速により下落傾向が続くとの見方を示しており、金との対照的な動きが2026年も継続すると予想しています。

商品市場では、金の上昇と原油の低迷という二極化が鮮明になっており、投資家はリスクヘッジとしての金の重要性を再認識しています。


今後の注目ポイント

今後1週間で注目すべきポイントをまとめました。

⚠️ 短期的な注目点(今週~来週)

  • ドル円158円接近時の為替介入リスク: 片山財務相の発言で警戒感高まる
  • クリスマス休暇での薄商い: 流動性低下による急激な値動きに注意
  • 米国の主要経済指標: 消費者信頼感指数、PCEデフレーターなど

📅 中期的な注目点(2026年1月以降)

  • 日銀の次回利上げ時期: 市場は2026年3月以降を予想
  • トランプ新政権の政策発表: 関税引き上げや減税政策の詳細
  • 1月28-29日FOMC: 利下げ据え置きの可能性大
  • 米雇用統計(1月第1週): 労働市場の冷え込み具合を確認

🌍 長期的な注目点

  • 日米金利差の推移: 縮小ペースが円相場を左右
  • 2026年の株式市場: 4年連続上昇なるか
  • 金価格の4,900ドル到達: ゴールドマン予想の実現性
  • パウエル議長の任期満了(2026年5月): 後任人事と政策継続性

編集部からのコメント

昨日は「利上げなのに円安」という、一見すると不思議な動きとなりました。通常、利上げは通貨高要因となるはずですが、市場が重視したのは「これから何回利上げするか」という将来の見通しでした。植田総裁の慎重な発言が「次の利上げは当分先」と受け止められ、円売りが加速した形です。

為替市場では「Buy the rumor, sell the fact(噂で買って、事実で売る)」という格言がありますが、まさに今回はその逆の「利上げという事実で円を売る」展開となりました。

また、日米の金融政策の方向性が正反対であることも円安を加速させています。日銀は「これ以上の利上げは慎重に」、FRBは「これ以上の利下げは慎重に」と、両中銀とも現状維持志向を強めており、結果として日米金利差の縮小ペースが緩やかになるとの見方が広がっています。

来週はクリスマス休暇で市場参加者が減少します。薄商いの中では、ちょっとした材料で相場が大きく動く可能性がありますので、ポジション管理には十分ご注意ください。

年末年始は相場が荒れやすい時期です。無理なトレードは避け、余裕を持った資金管理を心がけていただければと思います。


締めの挨拶

本日の海外FX・投資関連ニュースは以上となります。

日銀の利上げ後に円安が進むという波乱の展開でしたが、市場の動きには必ず理由があります。表面的な事実だけでなく、その背景にある市場心理を読み解くことが、FX取引では重要になります。

来週はいよいよクリスマスウィークです。市場参加者が減少する中でのトレードは、普段以上にリスク管理が大切になります。皆さまの資産を守りながら、良い年末をお迎えください。

それでは、本日も良い取引を!

FX編集部 田中

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