皆さま、おはようございます。FX編集部の田中です。
昨夜の海外市場は、まさに「嵐の夜」という表現がぴったりの展開となりました。米雇用統計の予想外の悪化が引き金となり、ドル円は3円を超える急激な円高、米株式市場は軒並み大幅下落という、投資家の皆さまにとって非常にインパクトの大きい一日となりました。
それでは、昨夜発生した重要なニュースを詳しく見ていきましょう。
重要ニュース
【最重要】米7月雇用統計が予想を大幅下回り、市場に激震
8月1日(日本時間2日未明)に発表された米7月雇用統計は、市場関係者に大きな衝撃を与える内容となりました。
非農業部門雇用者数(NFP)は前月比7.3万人増と、市場予想の10.4万人増を大きく下回りました。さらに深刻なのは、5月分が14.4万人から1.9万人へ、6月分が14.7万人から1.4万人へと、過去2カ月分が計25.8万人も下方修正されたことです。
失業率も4.1%から4.2%へ上昇し、製造業雇用者数は1.1万人減と2カ月連続のマイナスとなりました。
この結果を受けて、FRBの9月利下げ確率は90%まで上昇。投資家の皆さまの中には、利下げサイクルの開始を織り込み始めた方も多いのではないでしょうか。
【重要】NY株式市場大幅下落、ダウは5日続落で542ドル安
雇用統計発表後の米株式市場は、売り一色の展開となりました。ダウ工業株30種平均は前日比542ドル40セント(1.22%)安の43,588ドル58セントで終了。一時は下げ幅が790ドルに達する場面もありました。
ナスダック総合株価指数も前日比472.316ポイント(2.23%)安の20,650.132で取引を終えています。
個別銘柄では、アマゾン・ドット・コムが8%安と大きく売られました。前日夕に発表した7-9月期の営業利益見通しが市場予想を下回ったことが要因です。アップルも関税コストへの懸念から2%超の下落となりました。
市場の不安心理を示すVIX指数は20台と、約1カ月半ぶりの高水準を記録しています。
【重要】ドル円急落、一時147円台まで3円超の円高進行
為替市場では、雇用統計発表後にドル円が急落しました。取引開始時は150円台後半で推移していましたが、雇用統計発表後は一時147円30銭まで下落。約3円という大幅な円高・ドル安となりました。
NY時間終盤のドル円は147円35-45銭で推移しており、FRBの利下げ観測の高まりが日米金利差縮小への期待を呼び、円買い・ドル売りが進んでいます。
米2年債利回りは24.1ベーシスポイント低下し3.710%となり、2年ぶりの大幅な下げを記録しました。この金利低下も円高要因となっています。
【注目】原油続落・金反発、商品市場でリスク回避の動き
商品市場でも雇用統計の影響が顕著に現れました。WTI原油先物9月物は前日比1.93ドル(2.8%)安の67.33ドルで終了。米景気減速による原油需要の伸び悩み懸念が売り材料となりました。
一方、NY金先物12月物は前日比51.2ドル(1.5%)高の3,399.8ドルと3日ぶりに反発。金利低下により、利息の付かない金の投資妙味が高まったとの見方から買いが入りました。
また、OPECプラスが3日に開催予定の会合で、追加増産を承認する可能性があるとの報道も原油価格の重荷となっています。
【政策】FRB理事2名が利下げを主張、政策委員会で意見分裂
今週開催されたFOMCで、ウォラー理事とボウマン理事が利下げを主張し、据え置き決定に反対票を投じていたことが明らかになりました。
両理事は声明で「利下げに慎重すぎる姿勢が労働市場に不必要な悪影響を与えるリスクがある」との懸念を表明。FRB内部での政策方針を巡る議論の存在が浮き彫りになりました。
また、クーグラーFRB理事が8月8日付で辞任する意向も発表されており、今後の政策委員会の構成にも注目が集まります。
今後の注目ポイント
1. 9月FOMCでの利下げ実施の可能性
現在の市場は90%の確率で9月利下げを織り込んでいます。今後発表される経済指標次第では、さらに利下げ期待が高まる可能性があります。
2. トランプ政権の関税政策の影響
雇用統計の悪化には、関税政策への企業の警戒感も影響している可能性があります。今後の貿易政策の動向が重要です。
3. 週明けアジア市場への波及
本日のアジア市場、特に日本株への影響がどの程度になるかが注目されます。
4. ドル円の150円台回復の可能性
一時的な調整なのか、トレンド転換なのか。今後の動向を慎重に見極める必要があります。
編集部からのコメント
昨夜の市場の動きは、まさに「一夜にして潮目が変わった」という表現がふさわしい展開でした。
特に印象的だったのは、雇用統計発表後のドル円の急落です。150円台後半から147円台への下落は、多くの投資家の皆さまにとって予想以上のスピードだったのではないでしょうか。
ただし、このような急激な動きの後は、しばらく方向感を探る展開が続く可能性があります。短期的な動きに惑わされず、中長期的な視点を保つことが重要だと考えています。
また、今回の雇用統計は単月の悪化だけでなく、過去の数字も大幅に下方修正されており、労働市場の実態がより厳しかった可能性を示唆しています。この点は今後の金融政策を考える上で非常に重要な材料となりそうです。
最後に
本日も激動の一日となりそうですが、こうした市場の変化こそが投資の醍醐味でもあります。
皆さまにおかれましては、リスク管理を徹底しながら、冷静な判断で取引に臨んでいただければと思います。
それでは、本日も一日よろしくお願いいたします!
FX編集部 田中








