おはようございます!FX編集部の田中です。 本日も朝10時の定時更新をお届けします。昨日(8月19日)の海外市場は、ジャクソンホール会議を前にした様子見ムードの中、ハイテク株の下落が目立つ展開となりました。為替市場では円が主要通貨に対して堅調に推移し、商品市場では地政学リスクの緩和により原油価格が下落するなど、投資家にとって注目すべき動きが多く見られました。
重要ニュース1: NZ中銀が予想以上にハト派、3年ぶり低水準に利下げ
ニュージーランド準備銀行は20日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を25ベーシスポイント引き下げ、3年ぶり低水準の3.00%としました。注目すべきは、会合で50bpの大幅利下げも真剣に検討され、政策委員6人中2人が50bp利下げを支持していた点です。
ホークスビー総裁は記者会見で「企業や消費者の慎重な姿勢が続くなら、さらなる行動を促すことになる」と述べ、追加緩和に前向きな姿勢を示しました。この発言を受けて、NZドルは対米ドルで1.2%下落し、4カ月ぶりの安値となる0.5819米ドルまで売り込まれています。
市場では10月・11月の連続利下げ確率が100%を超える水準で織り込まれており、NZD関連の取引をされている方は今後の動向に注意が必要ですね。
重要ニュース2: 日経平均800円超下落、米ハイテク株安が波及
20日の東京株式市場では、前日のニューヨーク市場でのハイテク株下落の影響が色濃く出ました。特にエヌビディアが3.5%下落したことを受けて、日本の半導体関連銘柄に売り注文が集中し、日経平均株価は終値で前日比657円74銭安の42,888円55銭となりました。
午後の取引では一時800円以上の下げ幅を記録する場面もあり、投資家心理の悪化が鮮明に表れる形となりました。出来高も19億1,203万株と活発な取引となり、市場参加者の関心の高さがうかがえます。
22日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演を控えているため、しばらくは慎重な展開が続きそうです。
重要ニュース3: 英国CPI予想上回る3.8%、BOE据え置き観測強まる
英国立統計局(ONS)が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.8%上昇となり、6月の3.6%から加速しました。市場予想の3.7%を上回る結果で、2024年1月以来1年6カ月ぶりの高い伸び率となっています。
この結果を受けて、イングランド銀行(BOE)の積極的な利下げ路線に疑問符が付く形となり、ポンドが買われる反応となりました。前月比でも0.1%上昇と予想通りの結果でしたが、インフレ圧力の根強さを示す内容となっています。
GBP関連の取引をされている方にとっては、次回BOE会合での据え置き確率が高まったことで、新たな戦略の検討が必要になるかもしれませんね。
重要ニュース4: 日本国債先物上昇、米利下げ期待で債券買い
20日の債券市場では、米国でのジャクソンホール会合を前にした9月利下げ期待(確率85%台)が維持される中、日本国債も買いが優勢となりました。新発10年債利回りは0.5ベーシスポイント低下の1.585%となり、長期国債先物9月物は前日比11銭高の137円73銭まで上昇しています。
また、日本銀行の定例国債買い入れオペレーション(計1兆円)も相場を下支えする要因となりました。りそなアセットマネジメントのアナリストは「10年債利回りが投資家の待望する1.6%近辺にある」と分析しており、月末に向けたインデックス投資需要も期待されています。
金利動向を重視される投資家の方には、引き続き米国の金融政策動向が重要な判断材料となりそうです。
重要ニュース5: 原油価格下落、ウクライナ停戦観測で地政学リスク緩和
19日のニューヨーク商品市場では、ウクライナ紛争の停戦見通しが地政学的リスクを緩和したことから、原油価格が下落しました。WTI原油先物は前日比1.12%下落の62.00ドル/バレル、ブレント原油は0.95%下落の65.97ドル/バレルで取引を終えています。
一方で、米国石油協会(API)の週次統計では、8月15日週の米原油在庫が予想を上回る240万バレル減少となっており、需給面では底堅い要因も見られます。
Rystad Energyは、OPEC+の減産解除による供給増加と季節性需要の減退により、2025年第4四半期にはブレント原油が65ドル/バレルまで下落する可能性があると予想しています。
今後の注目ポイント
今週の最重要イベントは、何といっても22日(金)のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演です。9月FOMC会合での利下げ幅(25bpか50bpか)に関するヒントが得られる可能性があり、為替・株式・債券すべての市場に大きな影響を与えそうです。
本日(20日)夜には7月FOMC議事録の公表も予定されており、前回会合での委員の議論内容が明らかになります。こちらも市場の注目度は高く、ドル円の方向性を占う重要な材料となるでしょう。
また、NZ中銀の追加緩和示唆により、NZD関連通貨ペアの volatility(価格変動)が高まる可能性があります。特にNZD/USDやNZD/JPYの取引を検討されている方は、テクニカル分析と併せてファンダメンタルズ要因もしっかりと把握しておくことをお勧めします。
編集部からのコメント
昨日の市場を振り返ると、「待ち」の姿勢が鮮明に出た一日でした。特に注目したいのは、各国中央銀行のスタンスの違いです。NZ中銀の積極的な緩和姿勢に対し、英国では予想以上のインフレ率でBOEの利下げペース鈍化観測が強まるなど、通貨ごとの金利格差拡大が今後の為替相場を左右しそうです。
また、日本株の大幅下落は米国ハイテク株への過度な依存リスクを改めて浮き彫りにしました。分散投資の重要性を再認識させられる展開でもありますね。
投資判断においては、短期的な材料に一喜一憂せず、中長期的な金融政策の方向性をしっかりと見極めることが大切だと感じています。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました! ジャクソンホール会議まであと2日、市場の動向から目が離せません。皆様の投資活動が実り多きものとなりますよう、引き続き有益な情報をお届けしてまいります。
明日も朝10時の定時更新でお会いしましょう!
FX編集部 田中








