8月22日の海外市場、皆さまいかがお過ごしでしたでしょうか?昨夜は注目のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演があり、市場は大きく動きました。ドル円は一時149円台に迫る場面もあり、トレーダーの皆さまは眠れない夜を過ごされたのではないでしょうか。
それでは、前日の重要なニュースを重要度順にお届けいたします!
【最重要】パウエルFRB議長、ジャクソンホールで9月利下げを強く示唆
パウエルFRB議長が日本時間23時から行ったジャクソンホール会議での講演で、市場が待ち望んでいた利下げシグナルを明確に発信いたしました。
議長は「雇用市場の冷却化が予想以上に進んでおり、物価安定と雇用最大化の二重責務を果たすため、政策調整の時が来た」と述べ、事実上9月の利下げ開始を示唆しました。特に注目すべきは、トランプ政権からの政治的圧力について「FRBは独立した判断で行動する」と改めて強調した点です。
この発言を受けて、FF金利先物市場では9月の25ベーシスポイント利下げ確率が95%まで上昇。年内の利下げ幅も合計75ベーシスポイントが織り込まれる状況となっています。
ドル円急落、一時146円台まで下落後148円台で推移
パウエル議長の講演を受けて、ドル円相場は劇的な変化を見せました。講演前に148円台後半で推移していた相場は、議長の発言直後から急落。一時146円台前半まで約2円50銭の大幅下落となりました。
現在は148円台前半で推移しておりますが、市場では「9月利下げが確実視されたことで、ドル売り圧力が強まっている」(大手銀行ディーラー)との見方が支配的です。
技術的には147円割れが重要なサポートラインとなっており、この水準を下抜けるかどうかが今後の方向性を決める重要なポイントとなりそうです。
米経済指標は強弱まちまち、雇用市場の二極化が鮮明に
前日発表された米経済指標は、雇用市場の複雑な状況を示す内容となりました。
新規失業保険申請件数は23万5000件と予想(22万5000件)を上回り、継続受給者数も197万2000人と2021年11月以来の高水準を記録。一方で、8月製造業PMI速報値は53.3と予想(49.7)を大幅に上回り、景況感の改善を示しました。
この結果について、エコノミストからは「製造業の回復と雇用市場の冷却化が同時進行している」との分析が聞かれます。特に関税措置の影響で、コスト上昇に直面した企業が採用抑制に動く一方、生産活動は堅調を維持している構図が浮かび上がっています。
アジア株式市場は総じて上昇、円安メリット株に買い
アジア株式市場では、パウエル議長講演への期待感から総じて買いが優勢となりました。
日経平均株価は前日比23円高の4万2633円で取引を終了。一時200円超の下落場面もありましたが、午後の円安進行を受けて輸出関連株を中心に買い戻しが入りました。
「利下げ期待による円安と、それに伴う企業業績の改善期待が投資家心理を支えている」(証券アナリスト)との見方が市場では聞かれています。ただし、出来高は8億8777万株と平常レベルにとどまり、本格的な上昇には至りませんでした。
今後の注目ポイント
今週末から来週にかけて注目すべき材料は以下の通りです:
- 8月30日発表予定の米PCE物価指数: FRBが重視するインフレ指標の動向
- 9月6日の米雇用統計: 利下げ幅を決める重要な判断材料
- 日本の為替介入警戒水準: 149円台でのドル円の動きに要注意
- 中国経済指標: アジア市場全体への影響度が高まっている状況
特に来週発表される経済指標は、9月FOMC会合での利下げ幅(25bpか50bp)を左右する可能性があります。
編集部からのコメント
昨夜のパウエル議長講演は、まさに市場の転換点となる歴史的な内容でした。「政策調整の時が来た」という表現は、2022年のジャクソンホールでの「やり遂げるまでやり続ける」発言と同様に、今後の金融政策の方向性を決定づけるものとなりそうです。
個人的には、FRBの独立性を改めて強調した部分が印象的でした。政治的圧力が高まる中でも、データに基づいた冷静な判断を貫く姿勢は、中央銀行としての信頼性を示すものだと感じています。
トレーダーの皆さまには、9月FOMC会合まで約3週間、重要な経済指標が続きますので、リスク管理を徹底しながら相場に臨んでいただければと思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
週末も世界情勢から目が離せませんが、適度な休息も大切にしてくださいね。
来週月曜日も、皆さまに有益な情報をお届けできるよう頑張ります💪
FX編集部 田中








