おはようございます!FX編集部の田中です。
昨夜の海外市場は、米雇用指標の予想外の悪化に市場が敏感に反応する展開となりました。一方で政府機関閉鎖の影響は限定的とみられ、株式市場は堅調な推移を見せています。本日も重要な動きをしっかりとお伝えしてまいります。
米ADP民間雇用が予想外の大幅減少、2023年3月以来の落ち込み
米ADPリサーチ・インスティテュートが1日発表した9月の全米雇用報告では、民間雇用者数が予想に大きく反して3万2000人の減少となりました。市場予想は5万人の増加でしたので、約8万人もの下振れとなります。これは2023年3月以来、最大の落ち込みです。
特に注目すべきは、8月分も5万4000人増から3000人減へと大幅に下方修正されたことです。減少は全て中小企業で見られた一方、大企業では3万3000人の増加となっており、企業規模による格差が鮮明となっています。
この結果を受けて外国為替市場ではドル全面安が進行し、ドル円は一時146円台まで下落しました。米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ観測が一段と強まり、年内あと2回の利下げが織り込まれる状況となっています。
米株式市場は最高値更新、政府閉鎖を楽観視
前日の米株式市場では、雇用指標の悪化により利下げ期待が高まったことで、主要3指数が揃って続伸しました。ダウ工業株30種平均は前日比43.21ドル(0.09%)高の46441.10ドルと連日で史上最高値を更新。S&P500指数も22.74ポイント(0.34%)高の6711.20と過去最高値を記録しています。
序盤は政府機関の一部閉鎖を受けて下落して始まりましたが、製薬株を中心とするヘルスケアセクターが堅調に推移し、相場全体を押し上げました。投資家の間では、過去の例を見る限り政府閉鎖の影響は限定的との見方が強く、むしろ利下げ期待の方が株価の支援材料として機能した形です。
長期金利の低下も株式投資の魅力を高める要因となり、特にハイテク株への資金流入が目立ちました。
金価格が史上最高値3897ドル台、安全資産需要拡大
商品市場では金価格が大幅に上昇し、NY金先物(COMEX)が前日比24.3ドル高の3897.5ドルで史上最高値を更新しました。米政府機関の一部閉鎖や中東情勢の不透明感、さらには雇用統計悪化による景気減速懸念が安全資産としての金需要を押し上げています。
金価格は年初来で既に47%もの大幅上昇を記録しており、2024年の27%上昇を大きく上回るペースとなっています。利回りを生まない金にとって、FRBの利下げ期待の高まりは追い風となり、機関投資家による金ETFへの資金流入も続いています。
専門家の間では年末までに4000ドルの大台突破を予想する声も出始めており、貴金属市場の強気相場が継続する見込みです。
原油価格は4ヶ月ぶり安値、需給緩和懸念拡大
エネルギー市場では対照的に原油価格が大幅下落し、WTI原油先物は前日比0.59ドル安の61.78ドルと約4ヶ月ぶりの安値をつけました。米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で原油とガソリンの在庫が予想を上回って増加したことが売り材料となっています。
さらに、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」の有志8カ国が10月5日に開催する会合で、追加の増産を決定するとの観測も価格下押し要因となりました。現在、日量13万7000バレルの増産が実施されていますが、さらなる供給拡大への懸念が広がっています。
原油安は一般的にインフレ圧力の緩和要因となるため、FRBの利下げ余地を拡大させる可能性があります。
今後の注目ポイント
本日の重要イベント:
- 内田日銀副総裁講演(午後3:35~):10月利上げの可能性に関する発言に注目
- 欧州株式市場の動向:製薬株主導の上昇が継続するか
- 米政府機関閉鎖の長期化リスク:重要経済指標の発表への影響
今週後半の焦点:
- 10月3日:9月米雇用統計(政府閉鎖により発表延期の可能性)
- 10月5日:OPECプラス会合での増産決定
- 各国中央銀行要人の発言動向
編集部からのコメント
昨夜の市場は「悪い雇用指標が良いニュース」という典型的な展開でした。ADP民間雇用の大幅悪化により利下げ期待が高まり、株式市場では「利下げラリー」が継続しています。
ただし、雇用市場の実際の悪化は実体経済への影響も懸念されるところです。特に中小企業での雇用減少が目立っており、企業の慎重姿勢が浮き彫りとなっています。
一方で、政府機関閉鎖については過去の事例を見る限り短期的な影響にとどまる可能性が高く、市場も冷静に受け止めている印象です。本日の内田日銀副総裁の講演は、日本の金利政策の方向性を占う上で非常に重要な手がかりとなりそうですね。
本日も一日、安全なトレードを心がけてくださいね!
何かご質問やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にお声かけください。
FX編集部 田中
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