皆さま、おはようございます。FX編集部の田中です。
昨日10月21日の海外市場は、米国株が好調な企業決算を背景に続伸した一方で、金市場では史上最高値から一転して過去最大級の急落が発生するなど、明暗が分かれる展開となりました。また、国内では高市新内閣が発足し、「高市トレード」と呼ばれる円安・株高の流れが継続しています。
本日は、昨夜の主要な動きを5つのニュースに分けて詳しくお伝えいたします。
本日の主要ニュース
ニュース1:金価格が過去最大級の暴落!200ドル超の急落で利益確定売りが殺到
昨日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で、金先物相場が劇的な急落を見せました。わずか前日の20日には1オンス=4,381.21ドルという史上最高値を記録していたにもかかわらず、21日には一転して大幅な売りが殺到し、200ドル以上も値を下げる展開となりました。
この動きを受けて、本日22日の国内商品先物市場でも金の中心限月(2026年8月物)が前日比989円安の2万421円で寄り付き、その後さらに売られて一時1万9707円まで下落。下落率は約8%に達する場面もありました。
なぜこれほどの急落が起きたのでしょうか?
主な要因は大規模な利益確定売りです。金価格は年初来で60%超も上昇しており、多くの投資家が高値圏で利益を確定させる動きに出ました。また、ドル高の進行も金売りを加速させる要因となっています。金はドル建てで取引されるため、ドルが強くなると相対的に金が割高になり、売られやすくなるのです。
市場への波及効果も見逃せません。豪州市場では金鉱株が8.5%安と、6カ月超ぶりの大幅下落を記録。金ETF(SPDR等)も急落し、貴金属セクター全体に売りが広がりました。
投資家の皆さまは、金価格が節目の4,000ドル水準を維持できるかどうかに注目してください。ここを割り込むとさらなる下落圧力が強まる可能性があります。
ニュース2:NYダウが史上最高値を更新!好決算ラッシュで3日連続上昇
米国株式市場では、金市場とは対照的に明るいニュースが続いています。21日(火)のNYダウ工業株30種平均は、前日比218.16ドル高(+0.47%)の46,924.74ドルで取引を終了し、10月3日以来となる取引時間中の最高値を更新しました。
今回の上昇を牽引したのは好調な企業決算です。
スリーエム(MMM)が前日比+7.66%、コカ・コーラ(KO)が+4.06%と大幅上昇。その他、セールスフォース(CRM)、アマゾン(AMZN)、アップル(AAPL)などの大型株も買われました。現時点でS&P500構成企業の85%が市場予想を上回る利益を達成しており、2021年以来の好業績となる見込みです。
**注目すべきは資金の流れの変化です。**AI関連銘柄へのバブル懸念がくすぶる中、投資家は消費関連や産業関連など、より伝統的な非ハイテク株に資金をシフトさせています。これは市場が成熟し、バランスの取れた上昇を目指している兆候とも言えるでしょう。
ただし、トランプ大統領が「中国の習近平国家主席との会談の実現は保証できない」と発言したことで、米中貿易摩擦への懸念も再燃しています。今後の米中関係の動向には引き続き注意が必要です。
本日の東京株式市場でも、この米株高を追い風に日経平均が続伸する展開が期待されます。
ニュース3:高市新内閣発足で円安進行!「高市トレード」が市場を牽引
日本では大きな政治的転換点を迎えました。10月21日に高市早苗氏が衆参両院で第104代内閣総理大臣に選出され、初の女性首相が誕生。さらに、片山さつき氏も初の女性財務相に就任するという歴史的な内閣が発足しました。
市場はこの新内閣発足に敏感に反応しています。
高市首相は就任会見で「マクロ経済政策の最終的な責任は政府が持つ」と述べつつも、金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねる姿勢を示しました。この発言は、政府と日銀の適切な役割分担を示すものとして市場に好感されています。
本日22日の東京外国為替市場では、円相場が対ドルで151円台後半と、前日夕の151円15銭から円安方向に振れました。これは市場が高市政権の積極財政と金融緩和継続を期待しているためで、いわゆる「高市トレード」(円安・株高)が継続している状況です。
株式市場も大きく反応しています。日経平均株価は21日に一時49,700円台まで上昇し、史上初の5万円大台に迫る展開となりました。高市総裁選出前の44,000円台から大幅に上昇しており、市場の期待の高さが窺えます。
今後の焦点は、10月29-30日に開催される日本銀行の金融政策決定会合です。市場では12月の利上げ確率が約75%と織り込まれており、新政権下での日銀の政策判断が注目されます。
ニュース4:片山財務相が積極財政を表明!「十分な規模の経済対策が必要」
新たに財務大臣に就任した片山さつき氏が、本日22日午後の記者会見で重要な発言を行いました。近く策定する経済対策について「目的を達するために十分な規模が必要」と述べ、積極的な財政出動の姿勢を明確に示したのです。
これは投資家にとって重要な意味を持ちます。
大規模な財政出動は、短期的には景気刺激効果が期待できる一方で、国債の増発により債券市場への影響が懸念されます。実際、高市政権への期待が高まった際には、10年国債利回りが一時1.7%まで上昇する場面もありました(その後1.5%程度に低下)。
一方で、金融政策については慎重な姿勢を見せています。片山財務相は「具体的な手法は日銀に任せる」と高市首相の発言を引用し、日銀の独立性を尊重する考えを表明しました。
ただし、市場関係者の間では片山氏の過去の発言も注目されています。以前「物価高の沈静化には円高進行が望ましい」と発言した経緯があり、現在の円安傾向に対してどのような姿勢を取るのか、為替市場への介入の可能性も含めて注視する必要があります。
野村証券のアナリストは「当面は高市首相や片山財務相の発言に敏感な相場となりそうだ」と指摘しており、今後の要人発言には特に注意を払う必要がありそうです。
ニュース5:ドル円は151円台後半で推移、152円が重い展開が継続
昨夜から本日早朝にかけてのニューヨーク市場では、ドル円が151円80銭近辺、ユーロドルが1.1585近辺で推移しました。比較的小幅な値動きが続いており、ドル円は152円付近が重い一方で、151円50銭付近では下げ止まる展開となっています。
市場が膠着状態にある理由はいくつかあります。
まず、昨夜は目立った米国の経済統計発表がなく、材料不足の状況でした。加えて、米国の金融当局者がFOMC(連邦公開市場委員会)前のブラックアウト期間に入っており、重要な発言を控えている状況です。
このため、市場参加者はトランプ政権関連の報道や議会関連のニュースを待つ、いわば「様子見」のスタンスとなっています。
テクニカル面では、 現在のオーダーブック(注文状況)を見ると、現在値周辺や円高方向の範囲で買い注文が確認できる一方、177円台半ばには厚い売り注文が控えています。また、174円台後半のサポートライン付近にも売り注文が集中しており、上下に値動きしにくい状況が形成されています。
今週後半から来週にかけては、日米の金融政策決定会合(日銀:10月29-30日、FOMC:10月30日)が控えており、これに向けてポジション調整の動きが強まる可能性があります。
今後の注目ポイント
今週後半~来週の重要イベント
- 10月24日(木) – 米国9月消費者物価指数(CPI)発表
- インフレ動向を確認する上で重要な指標です
- 10月29-30日 – 日本銀行 金融政策決定会合
- 12月利上げの可能性が75%織り込まれている状況での判断に注目
- 10月30日 – FOMC(米連邦公開市場委員会)政策決定会合
- 利下げペースの判断が焦点
市場で注目すべきポイント
- 金価格:4,000ドルの節目を維持できるか、それとも調整が深まるか
- 日経平均:史上初の5万円達成なるか、「高市トレード」の持続性
- ドル円:152円の上値抵抗と151円50銭のサポートのせめぎ合い
- 米中関係:トランプ大統領と習近平主席の会談実現の可否
編集部からのコメント
昨日の市場は、金の急落と株の史上最高値更新という対照的な動きが印象的でした。金価格については、年初来60%超の上昇からの調整局面と捉えることができますが、地政学リスクや米国の利下げ観測など、金を支える材料は依然として存在しています。
国内では、高市新内閣の発足により市場に新たな期待感が生まれていますが、過度に楽観的にならず、来週の日銀会合での具体的な政策判断を冷静に見極めることが大切です。特に、市場が織り込んでいる12月利上げ期待と実際の日銀の判断にズレが生じた場合、円相場や株価に大きな影響を与える可能性があります。
また、片山財務相の「十分な規模の経済対策」という発言は、短期的には株式市場にポジティブですが、財政規律への懸念から国債市場に影響が出る可能性もあり、バランスを取った投資判断が求められます。
来週は日米の金融政策決定会合が集中する重要な週となりますので、ポジション管理には十分ご注意ください。
本日も良い取引を!
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今週後半から来週にかけては、重要イベントが目白押しです。市場のボラティリティ(変動性)が高まる可能性がありますので、リスク管理を徹底しながら、慎重に取引を進めていただければと思います。
また明日も、皆さまのお役に立てる情報をお届けいたします。本日も良い一日をお過ごしください!
FX編集部 田中
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