金曜日の海外市場は、注目の米国インフレ指標の発表で大きく動きましたね。予想を下回る結果に市場は好反応を示し、米株式市場は主要3指数すべてが史上最高値を更新する華々しい展開となりました。
一方、為替市場ではドル円が一時急落する場面もありましたが、その後は落ち着きを取り戻しています。来週は日米の金融政策決定会合に加えて重要な首脳会談も控えており、市場参加者の注目が集まっています。
それでは、昨晩の主要ニュースを詳しく見ていきましょう!
本日の重要ニュース
【最重要】米9月CPI予想下回る、利下げ観測でNY株が史上最高値更新
米労働省が24日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)は、前年比で3.0%の上昇となりました。市場予想の3.1%を下回り、前月の2.9%からは若干加速したものの、市場にとってはポジティブサプライズとなりました。
前月比では0.3%の上昇で、こちらも予想の0.4%を下回っています。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも、前年比3.0%(予想3.2%)、前月比0.2%(予想0.3%)といずれも予想を下回る結果でした。
この結果を受けて、10月28-29日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利下げがほぼ確実視されています。CME FedWatchツールによると、利下げの確率は97%超まで上昇しました。
株式市場の反応は非常にポジティブで、ダウ工業株30種平均は前日比472.51ドル高の47,207.12ドル(+1.01%)、ナスダック総合指数は263.069ポイント高の23,204.867(+1.147%)で取引を終えました。S&P500指数も大幅続伸し、主要3指数すべてが終値での史上最高値を更新しています。
為替市場では、ドル円が指標発表直後に153円手前から152.30円近辺まで急落する場面がありましたが、その後は買い戻しが入り、152円台後半で落ち着いて推移しています。
カーソン・グループのチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「インフレ面で明るいニュースが得られた。来週、そして12月にも利下げが実施される可能性が高まった」とコメントしています。
市場への影響度: ★★★(全市場に大きな影響)
日銀10月会合、利上げ見送りの公算大きく
日本銀行が来週開催する金融政策決定会合で、政策金利を現行の0.5%程度に据え置く公算が大きくなっています。利上げに向けた経済・物価環境は整いつつあるとされていますが、金融引き締めに否定的な高市早苗政権との丁寧な意思疎通に時間が必要と判断されたようです。
市場では「利上げは12月会合以降に持ち越される」との見方が強まっており、一部のアナリストは2026年まで利上げが再開されないとの予測も出ています。
9月の金融政策決定会合では、2名の審議委員が政策金利を0.75%に引き上げるよう提案していましたが、植田和男総裁をはじめとする執行部や他の政策委員は据え置きを選択した経緯があります。
高市政権は財政政策で拡張志向、金融政策では緩和志向が強いとされており、少なくとも1%までの利上げを目指したい日銀にとっては、政権との調整が重要な課題となっています。
為替市場への影響としては、日銀の利上げ観測が後退したことで円売りが継続しやすい環境となっており、ドル円は152-153円台で推移しています。一部のアナリストは155円を目指す展開もあり得るとの見方を示しています。
また、10月30日に予定されている高市首相とトランプ大統領の日米首脳会談が、金融政策の判断にも影響を与える可能性があるとの指摘もあります。
市場への影響度: ★★☆(円相場と日本株に大きな影響)
中国人民銀行、金融政策の柔軟な調整を表明
中国人民銀行(中央銀行)は24日、安定した成長を支えるため、経済状況に基づいて金融政策の度合い、タイミング、ペースを調整する方針を公表しました。
声明の中で、人民元の為替レートを「基本的に合理的でバランスの取れた水準で安定的に」維持するとしており、元の国際的な使用を促進する意向も示しています。
また、システミックな金融リスクの監視を強化し、地方政府の資金調達手段や不動産市場のリスク解消に向けた取り組みを支援すると述べています。
この声明は、中国経済の減速懸念が高まる中、金融当局が政策対応の柔軟性を高める姿勢を明確にしたものと受け止められています。
市場への影響としては、中国の金融緩和姿勢がアジア新興国市場全体に波及効果をもたらす可能性があります。また、景気刺激策への期待から原油や銅などの商品価格にも支援材料となる見込みです。
なお、10月30日には米中首脳会談が予定されており、貿易問題を含む両国関係の進展が注目されています。
市場への影響度: ★★☆(アジア市場と商品市場に影響)
来週は重要イベントが集中、日米中の動向に注目
来週10月27日~11月2日は、投資家にとって非常に重要な週となります。主要な金融政策イベントと外交イベントが集中しているためです。
主なイベントスケジュール:
- 10月28-29日: 米FOMC(0.25%利下げがほぼ確実)
- 10月29-30日: 日銀金融政策決定会合(据え置き濃厚)
- 10月30日: 日米首脳会談(高市首相・トランプ大統領)
- 10月30日: 米中首脳会談(トランプ大統領・習近平国家主席)
- 10月30日: ECB理事会(金利据え置き見込み)
さらに、米国企業の第3四半期決算発表が本格化しており、これまでにS&P500構成企業の143社が発表しています。そのうち87%が利益予想を、83%が売上高予想を上回る好調な滑り出しとなっています。
為替市場では、FOMCでの利下げと日銀の据え置きの組み合わせにより、日米金利差の拡大が意識されやすい環境です。ただし、首脳会談の結果次第では急変動もあり得るため、慎重なポジション管理が求められます。
株式市場では、米株は好決算を背景に堅調な展開が続いていますが、米中首脳会談での貿易協議の進展具合が市場センチメントを左右する可能性があります。
このように複数の重要イベントが重なる週は、市場のボラティリティが高まりやすい傾向があります。ポジションサイズの調整やストップロスの設定など、リスク管理を徹底することをお勧めします。
市場への影響度: ★☆☆(全市場の方向性を決める重要な週)
商品市場:原油は調整局面、金は10週ぶり下落
NY原油先物(WTI)は24日、前日比0.47%安の61.44ドルで取引を終えました。ロシアに対する経済制裁強化による供給懸念から前日までに5日続伸していましたが、週末を前に持ち高調整の売りが優勢となりました。
米国がロシア石油大手2社に対する制裁を強化したことで、原油の供給混乱への警戒感はくすぶり続けています。今後のOPEC+の生産調整方針や、中東地政学リスクの動向が価格の方向性を左右しそうです。
一方、NY金先物は0.19%安で反落しました。ドル高が重しとなり、金相場は週間では10週ぶりの下落となる水準で推移しています。市場参加者が米CPI発表を前にポジション調整を進めた影響もあります。
投資家への影響としては、原油価格の上昇はガソリン価格や輸送コストの上昇につながり、インフレ圧力となる可能性があります。一方、金価格の下落は市場のリスク選好姿勢が強まっていることを示唆しています。
原油輸入国の通貨(日本円など)には原油高が逆風となりやすく、産油国通貨(カナダドルなど)には追い風となる傾向があります。商品市場の動向も為替取引の参考にしていただければと思います。
市場への影響度: ★☆☆(エネルギー関連とインフレ動向に影響)
今後の注目ポイント
来週以降、投資家が特に注目すべきポイントを整理しました:
短期(来週)の注目点
- 10月28-29日のFOMC: 0.25%利下げがほぼ確実ですが、12月以降の利下げペースに関するガイダンスが焦点となります
- 10月29-30日の日銀会合: 据え置きが濃厚ですが、植田総裁の記者会見での今後の利上げ時期に関する発言に注目
- 10月30日の日米首脳会談: 防衛費増額や経済協力の議論が円相場に影響を与える可能性
- 10月30日の米中首脳会談: 関税問題での進展があるかが最大の焦点
中期的な注目点
- 12月FOMCでの追加利下げ: 現在90%超で織り込まれていますが、11月の経済指標次第では見通しが変わる可能性
- 政府閉鎖の影響: 10月分CPIが発表されない可能性が浮上しており、「歴史上初」の事態への懸念
- トランプ関税の価格転嫁: 現在企業が負担しているのは約20%と推定されており、今後の転嫁状況がインフレに影響
- 日銀の利上げ再開時期: 12月会合か2026年に持ち越されるか、市場の見方が分かれています
為替トレーダーへのアドバイス
- ドル円: 日米金融政策のスタンス差により、152-155円のレンジで推移する見込み。首脳会談の結果次第では急変動のリスクあり
- クロス円: 日銀の利上げ観測後退により、円全般が売られやすい環境が継続
- ドルストレート: FRBの利下げペース次第でドル全般が方向感を探る展開に
編集部からのコメント
今週は米国のインフレ指標が市場に好材料をもたらし、株式市場が大きく上昇する展開となりました。ただし、来週は重要イベントが目白押しで、市場のボラティリティが高まる可能性があります。
特に注目したいのは、10月30日に予定されている2つの首脳会談です。日米首脳会談では防衛費増額の議論が円相場に影響を与える可能性がありますし、米中首脳会談では貿易問題の進展具合が世界の株式市場全体のセンチメントを左右するでしょう。
また、金融政策面では、FOMCと日銀会合が同時期に開催されることで、日米の金融政策スタンスの違いがより明確になります。FRBが利下げを継続する一方で、日銀は利上げを見送る見通しとなっており、この政策の方向性の違いが為替市場に大きな影響を与えそうです。
投資家の皆様には、イベントリスクを十分に認識した上で、ポジションサイズの調整やストップロスの設定など、適切なリスク管理を心がけていただきたいと思います。
週末はゆっくりお休みいただき、来週の重要な週に備えていただければと思います。
市場サマリー(10月24日NY終値)
主要為替レート:
- ドル円:152.85円(前日比+0.21%)
- ユーロ円:177.69円
- ユーロドル:1.1627ドル
主要株価指数:
- NYダウ:47,207.12ドル(+472.51、+1.01%)✨史上最高値
- ナスダック:23,204.867(+263.069、+1.147%)✨史上最高値
- S&P500:5,929.04(+74.59、+1.27%)✨史上最高値
商品市場:
- WTI原油:61.44ドル(-0.57%)
- NY金:4,090ドル台(-0.19%)
それでは、良い週末をお過ごしください! 来週も引き続き、最新の市場情報をお届けしてまいります。
FX編集部 田中
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