みなさま、おはようございます!FX編集部の田中です。
昨日の海外市場は、まさに「激動の一日」となりました。米大手金融機関のトップによる株価調整リスクの警告を受けて、世界的に株式市場が大きく下落する展開となっています。日経平均も1,200円を超える下げとなり、投資家の皆さまにとっては気が気でない相場だったのではないでしょうか。
それでは、昨日の重要ニュースを順にご紹介していきます。
【最重要】米金融大手CEOが「株価10-15%調整」を警告、世界同時株安へ
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11月4日、ウォール街を代表する金融機関のトップが相次いで市場に警鐘を鳴らしました。
モルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOとゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEOは、株式市場が今後12-24ヶ月以内に10-15%の調整局面に入る可能性があると警告しました。ソロモンCEOは香港での講演で「特にテクノロジー株のバリュエーション(株価評価)が高すぎる」と指摘しています。
この発言を受けて、米国株式市場は急落しました。
主要指数の動き
- ダウ平均:251.44ドル安の47,085.24ドル(-0.53%)
- ナスダック:486.08ポイント安の23,348.64(-2.04%)
- フィラデルフィア半導体株指数(SOX):-4.0%
東京市場でも売りの連鎖が広がり、日経平均株価は前日比1,284円93銭(2.50%)安の50,212円27銭で終了しました。場中では一時2,400円を超える下げとなり、心理的な節目である5万円を割り込む場面も見られました。
AI・半導体関連銘柄が特に大きく売られ、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどが軒並み下落しています。
田中の視点
AIバブルとも言われていた相場に、いよいよ調整の兆しが見え始めました。ただし、CEOたちは「調整は健全な動き」とも述べており、長期的な成長トレンドが崩れるわけではないという見方も示しています。短期トレーダーの方は警戒が必要ですが、長期投資家の方にとっては押し目買いのチャンスになる可能性もありますね。
【重要】パウエルFRB議長、12月利下げに慎重姿勢を表明
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FRB(米連邦準備理事会)は10月28-29日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想通り0.25%の利下げを決定し、政策金利を3.75-4.00%としました。これで2会合連続の利下げとなります。
しかし、パウエル議長は会合後の記者会見で重要な発言をしました。「12月会合での追加利下げは既定路線ではない」と明言し、市場の利下げ期待をけん制したのです。
この発言により、FF金利先物市場が示す12月FOMC(12月17-18日開催予定)での利下げ確率は、以前の90%台から70%前後まで低下しています。
注目の経済指標発表
本日(11月5日)は以下の重要指標が発表される予定です。
- 22:15 米10月ADP雇用統計(予想:前月比2.8万人増、前回:3.2万人減)
- 24:00 米10月ISM非製造業景況指数(予想:50.8、前回:50.0)
米政府機関閉鎖が36日目に突入し、雇用統計などの公式統計の発表が延期される中、民間のADP雇用統計への注目度がいつも以上に高まっています。
田中の視点
FRBの慎重姿勢は、ドル買い材料となります。実際、ドル/円は一時154円台まで上昇しました。本日発表のADP雇用統計の結果次第では、為替相場が大きく動く可能性があります。雇用が強ければドル高・円安、弱ければドル安・円高という基本的な流れを押さえておきましょう。
【重要】片山財務相が円安けん制、ドル/円は153円台に下落
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11月4日の閣議後記者会見で、片山さつき財務相は為替相場について重要な発言を行いました。
「為替について一方的で急激な動きがみられる」「高い緊張感をもって見極めていることに変わりはない」
この発言は、前回10月の発言よりも強いトーンとなっており、市場では円買い介入への警戒感が一気に高まりました。
ドル/円の動き
- 発言前:154.48円付近
- 発言後:153.32円前後まで下落
- 現在:153円台半ばで推移
日経平均株価の大幅下落によるリスクオフの円買いも重なり、ドル/円には下押し圧力が強まっています。
高市政権は「責任ある積極財政」を掲げており、これが円安要因となる中、財務省当局による円安けん制姿勢が明確になってきた形です。
田中の視点
155円を超えて円安が進むようであれば、当局が実際に介入に踏み切る可能性も否定できません。過去の介入パターンを見ると、口先介入から実弾介入までのタイミングには注意が必要です。短期的にドル/円のロングポジションを持っている方は、損切りラインの設定を忘れずに。
【参考】原油・金価格が続落、ドル高と利下げ期待後退が圧力に
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11月4日のニューヨーク商品市場では、主要商品が軒並み下落しました。
原油市場
- WTI原油先物(12月限):60.56ドル(前日比0.49ドル安、-0.80%)
ドルインデックスの上昇により、ドル建てで取引される原油の割高感が意識されたことが主な要因です。10月30日のOPECプラス会合で増産計画の一部停止が決定されたものの、市場は依然として供給過剰を懸念しています。
金市場
- 金先物相場:続落
FRBの追加利下げ期待が後退し、金利のつかない金の投資妙味が薄れたことが背景にあります。国内の金先物市場でも同様に続落となっています。
田中の視点
商品市場はドル相場の影響を強く受けます。FRBが利下げに慎重になればドル高が進み、商品価格には下押し圧力がかかります。金ETFへの投資を検討されている方は、もう少し様子を見た方が良いかもしれませんね。
今後の注目ポイント
短期(今週)
- 本日発表の米ADP雇用統計とISM非製造業景況指数
政府統計が発表延期される中、市場の注目度は極めて高い状況です。予想を上回れば利下げ期待が後退しドル高、下回れば利下げ期待が高まりドル安となる可能性があります。 - ドル/円の155円ラインと当局の動向
片山財務相の発言トーンが強まっている中、155円を超える円安進行があれば実弾介入のリスクが高まります。 - AI・ハイテク株の調整がどこまで進むか
今週は米国の主要企業決算発表が続きます。決算内容次第で調整の深さが変わってくるでしょう。
中期(今月)
- 米政府機関閉鎖の解決見通し
36日目に突入した政府閉鎖がいつ解決するのか、また経済指標の発表再開時期にも注目です。 - 12月FOMCへの市場の織り込み
今後発表される経済指標により、12月利下げ確率がどう変化するか注視が必要です。 - 年末に向けた機関投資家のポジション調整
株価調整局面が本格化すれば、年末のポートフォリオ調整が加速する可能性があります。
編集部からのコメント
昨日の市場は、まさに「調整局面の始まり」を予感させる動きでした。
AI関連株を中心に上昇が続いてきた相場に、いよいよ「過熱感」が意識され始めています。ただし、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーのCEOたちも述べているように、調整は必ずしも悪いことではありません。むしろ、健全な市場には定期的な調整が必要です。
重要なのは、この調整をどう捉え、どう対応するかです。
短期トレーダーの方は、ボラティリティの上昇に備えて、いつも以上にリスク管理を徹底してください。損切りラインの設定、ポジションサイズの調整、過度なレバレッジの回避など、基本に忠実な取引を心がけましょう。
一方、長期投資家の方にとっては、優良銘柄を割安な価格で仕込むチャンスになる可能性もあります。ただし、「ナンピン買い」で資金を一気に投入するのではなく、分散して投資していくことをお勧めします。
本日のADP雇用統計とISM非製造業景況指数の発表は、今後の市場の方向性を占う上で非常に重要な指標となります。発表時刻(ADP:22:15、ISM:24:00)前後は相場が大きく動く可能性がありますので、ポジションを持たれている方はご注意ください。
締めの挨拶
今週は引き続き、世界的な株価調整とFRBの金融政策を巡る動きが市場のテーマとなりそうです。
為替市場では、日本当局の円安けん制と米国の利下げペースを巡る綱引きが続くでしょう。ニュースやデータ発表には敏感に反応する相場環境が続くと予想されますので、情報収集をしっかり行いながら、冷静な判断を心がけていきましょう。
また明日の朝10時に、最新の海外ニュースをお届けいたします。
本日も良い取引を!
FX編集部 田中








