おはようございます!FX編集部の田中です。
昨日の海外市場は、注目のエヌビディア決算を無事通過し、AI投資への懸念が一時的に後退する展開となりました。一方で、円相場は10カ月ぶりの安値圏へと下落し、為替介入への警戒感も高まっています。本日も動きの激しい相場が予想されますので、しっかりと情報を押さえていきましょう。
それでは、昨晩の主要ニュースをお届けします。
重要ニュース
【最重要】円が157円台後半まで急落、長期金利は17年半ぶりの高水準に
昨日の東京市場では、為替と債券の両市場で大きな動きがありました。
ドル円相場は157円台後半まで下落し、1月15日以来約10カ月ぶりの円安水準を更新しています。これは前日夜に行われた植田日銀総裁、片山財務相、城内経済財政担当相の三者会談を受けた動きです。
会談後、片山財務相は「市場動向を高い緊張感を持って注視する」と述べた一方で「為替については具体的な話は出なかった」とコメントしました。この発言を市場は「当面の為替介入の可能性は低い」と解釈し、円売りが加速する要因となりました。
円安の背景には、米国の利下げ観測後退に加え、日中関係の悪化や高市政権の財政拡張路線への懸念など、複数の要因が重なっています。
債券市場では売りが殺到し、新発10年物国債の利回り(長期金利)は一時1.835%まで上昇。これは2008年6月以来、実に17年半ぶりの高水準です。新発40年債利回りも3.745%と過去最高を更新しており、急速な円安がインフレ懸念を強め、日銀の利上げ到達点が切り上がるとの見方から債券売りが加速しました。
📌市場への影響:
- 輸出企業にとっては円安メリットがある一方、輸入物価の上昇によるコストインフレが懸念されます
- 住宅ローン金利の上昇圧力が高まる可能性があります
- 160円接近時には為替介入のリスクに注意が必要です(昨年4月と7月に介入実績あり)
パインブリッジ・インベストメンツの専門家は「インフレに対して日銀の利上げが後手に回っていることが円安と金利急騰の根本原因」と分析しており、12月の日銀会合での追加利上げの可能性も視野に入れておく必要がありそうです。
【重要】エヌビディア決算が予想上回る、AI投資ブーム継続を確認
市場が固唾を飲んで見守っていたエヌビディアの決算発表ですが、結果は予想を上回る好内容となりました。
8-10月期の主な業績:
- 売上高・純利益ともに過去最高を更新
- 市場予想を上回る伸びを達成
- 最新のAI半導体「ブラックウェル・ウルトラ(B300)」の販売が好調
さらに注目されたのが次期(2025年11月~2026年1月)の売上高見通しです。約650億ドル(前年比65%増)と、アナリスト予想の約618億ドルを大きく上回る強気の予想を示しました。
ジェンスン・ファンCEOは決算説明会で「ブラックウェルの需要は驚異的だ」とコメントし、AI投資ブームが今後も継続する見通しを示しています。
この好決算を受けて、エヌビディア株は時間外取引で約5%上昇。「AIバブル」への懸念が一時的に後退し、投資家心理の改善につながりました。
📌市場への影響:
- 日経平均は本日、エヌビディア決算を好感して大幅反発の見込み
- AI関連銘柄(アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなど)に買いが集まる可能性
- 半導体セクター全体への資金流入が期待されます
ただし、エヌビディアの売上高成長率は今後数年で減速するとの見方もあり、過度な楽観は禁物です。引き続き四半期ごとの業績確認が重要になります。
【重要】米FOMC議事要旨で12月利下げに否定的見解、ドル高要因に
19日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の10月会合議事要旨では、大半の参加者が12月の利下げに慎重な姿勢を示していたことが明らかになりました。
多くの当局者は「年内は政策金利の据え置きが適切となる可能性が高い」との見方を表明しています。これは米国経済の底堅さや、インフレ圧力が依然として残存していることを考慮した判断です。
この議事要旨の公表を受けて、市場では12月の利下げ確率が大幅に低下しました。結果として米長期金利は高止まりし、日米金利差の拡大観測から円安・ドル高が進行する要因となっています。
📌市場への影響:
- 日米金利差拡大により、円安圧力が継続する見込み
- 新興国通貨にも下落圧力
- 米国株にとっては金利高止まりがバリュエーション面での重石に
12月17-18日に開催される次回FOMC会合が大きな注目点となります。ただし、足元では10月の雇用統計がハリケーンとストライキの影響で発表中止となるなど、経済指標の遅れが政策判断を難しくしている状況です。
パウエルFRB議長の今後の発言にも注目していきましょう。
【注目】日銀・小枝審議委員「金利正常化が必要」と発言、12月利上げ観測高まる
昨日、新潟で開催された金融経済懇談会で、日銀の小枝淳子審議委員が注目すべき発言を行いました。
小枝審議委員は「極めて低い水準にある実質金利を均衡状態に戻していく金利の正常化を進めることが、将来に意図せざるゆがみをもたらさないためにも必要」と述べています。
これは、経済・物価の改善に応じて利上げを継続する姿勢を明確に示したものです。一部のアナリストは「政策金利が2%まで上昇することを許容しているとも読める」と解釈しており、市場では12月18-19日の金融政策決定会合での利上げ可能性を意識する動きが強まっています。
現在の政策金利は0.5%で、日銀は今年7月と10月に2回の利上げを実施済みです。しかし、急速な円安進行により輸入物価が上昇しており、「日銀の利上げペースがインフレに対して後手に回っている」との指摘も出ています。
📌市場への影響:
- 利上げ観測の高まりが国債売り(金利上昇)を加速させる可能性
- 利上げ期待で円買いが入る可能性もありますが、現状は米国との金利差拡大により円安が優勢
- 金融株には追い風となる可能性があります
12月の日銀会合と、植田総裁の記者会見での発言内容が重要な注目ポイントとなります。
原油価格は反落、金価格は5日ぶりに反発
商品市場では、原油と金で対照的な動きとなりました。
原油相場は、ロシアとウクライナを巡る地政学リスクが和らぐとの見方から売りが優勢となり反落しました。原油の安定供給につながるとの観測が広がったことに加え、ドル高進行も下落要因となっています。WTI原油先物は60ドル近辺で推移しています。
一方、金相場は5営業日ぶりに反発しました。COMEX金先物12月物は前日比16.3ドル(0.4%)高と小幅な上昇でしたが、4,000ドル台を維持しています。ただし、ドル高や米金利上昇が金価格の上値を抑えており、年末に向けて4,000ドルの水準を守れるかが焦点となっています。
📌市場への影響:
- 原油価格の下落は、日本などエネルギー輸入国にとってコスト面でプラス
- 燃料コスト低下を通じてインフレ圧力の緩和に寄与する可能性があります
今後の注目ポイント
今週の重要イベント
- 11月21日(木): 米国の各種経済指標発表
- 11月22日(金): 日本の消費者物価指数(CPI)速報値
12月の重要イベント
- 12月17-18日: 米FOMC会合(利下げの有無が焦点)
- 12月18-19日: 日銀金融政策決定会合(追加利上げの可能性)
継続的な注目点
- 為替介入の可能性: ドル円が160円に接近した場合、当局による介入リスクに警戒が必要です
- 日中関係の動向: 中国による対日圧力の強化が日本経済に与える影響
- AI関連企業の決算: エヌビディアに続く主要ハイテク企業の業績発表
- 長期金利の動向: 2%到達の可能性と住宅ローン市場への影響
編集部からのコメント
昨日の市場は、エヌビディアの好決算という「良いニュース」と、円安・金利高という「注意すべきニュース」が混在する複雑な展開となりました。
特に気になるのは、円安と金利上昇の同時進行です。短期的には輸出企業や株式市場にプラスに働きますが、中長期的には輸入インフレの加速や借入コストの上昇といった副作用も懸念されます。
また、為替介入の可能性については、昨年4月と7月に財務省が実際に介入を行った際の水準(160円付近)が一つの目安となります。現在の157円台後半からさらに2-3円の円安進行があれば、当局の動きに注意が必要です。
FXトレーダーの皆様は、ボラティリティの高い相場環境が続くことを想定し、適切なリスク管理を心がけていただければと思います。ストップロスの設定や、ポジションサイズの調整など、基本的なリスク管理の徹底をおすすめします。
12月の日米中央銀行会合を控え、今後も市場は神経質な展開が予想されます。引き続き、主要経済指標や要人発言には注意を払っていきましょう。
締めの挨拶
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
市場は変化が激しく、情報のキャッチアップが大変な時期が続いていますが、一つ一つのニュースを丁寧に追いかけることで、相場の全体像が見えてきます。私も皆様と一緒に学びながら、分かりやすい情報提供を心がけてまいります。
それでは、本日も良い取引となりますように。明日も10時にお会いしましょう!
FX編集部 田中
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