おはようございます!FX編集部の田中です。
昨夜の海外市場は、FOMCでの利下げ決定を好感した動きが中心となりました。NYダウは史上最高値を更新し、為替市場ではドル円が155円台で方向感を探る展開となっています。それでは、前日12月11日(水)から本日早朝にかけての重要ニュースを順番に見ていきましょう。
FRB、3会合連続で利下げも今後は慎重姿勢
米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月10-11日に開催され、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げ、4.25~4.5%としました。これで9月、10月に続き3会合連続の利下げとなります。
注目すべきは今後の見通しです。参加者の金利予想(ドットチャート)では、2026年と2027年にそれぞれ年1回ずつの利下げという慎重なペースが示されました。従来は2026年に2回の利下げが予想されていましたので、明確にペースダウンする方向性が打ち出された形です。
パウエルFRB議長は記者会見で「well calibrated(適切に調整された)」という表現を用い、金利水準が目標に近づいているとの認識を示しました。また、異例なことに3名の委員が今回の利下げに反対票を投じており、FRB内部でも意見が分かれていることが明らかになりました。
この結果を受けて、ドル円は一時154.95円まで下落しましたが、その後155円台後半まで戻す展開に。FRBの慎重姿勢がドルを下支えする一方、欧州中銀やスイス中銀が利下げサイクル終了に向かっていることがドルの重石となり、方向感の乏しい状況が続いています。
来週の日銀金融政策決定会合(12月18-19日)での利上げ観測もあり、市場参加者は様子見姿勢を強めています。
米新規失業保険申請件数が4年半ぶり大幅増
米労働省が12月11日に発表した12月6日終了週の新規失業保険申請件数は23.6万件となり、前週の19.2万件から4.4万件も増加しました。これはコロナ禍以来、約4年半ぶりの大幅増となり、市場予想の22.0万件も上回る結果でした。
ただし、この急増は感謝祭の休暇シーズンを挟んだことによる季節調整要因の可能性が高いと分析されています。実際に、変動を平準化した4週移動平均は21.7万件と、前週の21.5万件から小幅な増加にとどまっており、労働市場全体が急激に悪化しているわけではないと考えられます。
発表直後にドル円は154.95円まで下落する場面がありましたが、すぐに買い戻されて155円台半ばで推移しました。市場は一時的な変動と受け止め、大きな混乱には至りませんでした。
次回12月19日発表分で同様の急増が続くかどうかが重要なポイントとなります。また、1月上旬に発表される12月の雇用統計が、労働市場の実態を判断する上で非常に重要な指標となるでしょう。
スイス中銀がゼロ金利維持、マイナス金利を回避
スイス国立銀行(中央銀行)は12月11日、市場予想通り政策金利をゼロ%に据え置くと発表しました。据え置きは2会合連続です。米国との貿易合意によってスイス製品への関税が引き下げられ、経済見通しが改善したことが主な理由となっています。
スイス中銀は2026年のGDP成長率予測を、従来の1.01.5%から1.52.0%へ上方修正しました。インフレ見通しは弱まっているものの、再びマイナス金利に戻ることは避けたいという明確な意向が示されています。
スイスは2015年から2022年まで▲0.75%という深いマイナス金利政策を実施していた歴史があり、2026年6月にようやくゼロ金利に到達したばかりです。今回の据え置きは、その歴史を繰り返さないという決意の表れとも言えるでしょう。
この決定を受けてスイスフランは対円で195円台後半へ上昇し、史上最高値を更新しました。主要中銀の中で最も低い金利水準(日銀の0.5%を下回る)にもかかわらず、安全資産としての買いが継続している状況です。
中国、中央経済工作会議で金融緩和継続を表明
中国共産党と政府は12月10-11日に中央経済工作会議を開催し、2026年の経済運営方針を決定しました。最優先課題として「内需拡大による強大な国内市場の構築」を掲げ、消費拡大と所得増加を推進する方針が明確化されました。
特に注目されるのは、中国経済の現状について「供給が強く需要が弱い」「国内の矛盾が顕著」という異例に厳しい認識を示した点です。この問題意識のもと、「適度に緩和的な金融政策を継続」する方針を打ち出し、金利と預金準備率の引き下げを示唆しています。
また、「デフレの抑制に注力」する方針も示され、積極的な財政政策と緩和的な金融政策の両輪で景気を支援していく姿勢が鮮明になりました。AI活用や技術革新の推進も重点課題として言及されています。
具体的な利下げ幅や実施時期については、今後の全国人民代表大会(全人代)などで明らかになる見込みです。米中貿易摩擦の行方も含め、中国の政策動向には引き続き注目が必要でしょう。
NYダウ史上最高値更新、日経平均も大幅反発
12月11日の米株式市場でNYダウ工業株30種平均は前日比646.26ドル高(+1.34%)の48,704.01ドルで終了し、史上最高値を更新しました。FOMCでの利下げ決定が好感され、景気敏感株を中心に幅広く買いが入りました。
この流れを受けて12月12日の東京株式市場では、日経平均株価が寄り付きから一時900円超上昇しました。最終的には前日比687.73円高(+1.37%)の50,836.55円で取引を終え、3日ぶりの反発となりました。TOPIXも史上最高値を更新するなど、市場全体に買いが広がっています。
特に金融株(銀行株)や輸出関連株が上昇を主導しました。米株高を背景にグローバルにリスクオンムードが強まり、投資家心理が改善している状況です。
ただし、来週の日銀金融政策決定会合での利上げの有無や、年末に向けた利益確定売りの動きなど、注意すべき要因も残されています。
今後の注目ポイント
今週の重要イベント
- 12月13日(金):米国の経済指標(生産者物価指数など)
- 週末にかけての米国小売売上高などの発表
来週以降の注目材料
- 12月18-19日:日銀金融政策決定会合
市場では利上げ観測が高まっており、ドル円相場への影響が最大の焦点です。植田日銀総裁の会見内容も要注目でしょう。 - 12月のメジャーSQ算出日前後
ボラティリティが高まりやすい時期ですので、リスク管理を十分に行いましょう。 - 2026年1月のFOMC
トランプ新政権下での初めてのFOMCとなります。政策方針に変化が出る可能性もあります。 - 1月上旬:米12月雇用統計
労働市場の実態を判断する上で非常に重要な指標となります。
編集部からのコメント
昨夜のFOMCでは予想通りの利下げが決定されましたが、今後のペースが慎重になることが明確に示されました。一方で、失業保険申請件数の急増については季節要因の可能性が高く、市場は落ち着いた反応を見せています。
ドル円相場は155円台で方向感に欠ける展開が続いていますが、来週の日銀会合を控えて、市場参加者が様子見姿勢を強めている状況です。日銀が利上げに踏み切るかどうかが、年末の相場を左右する最大の材料となるでしょう。
株式市場は米国・日本ともに堅調な動きを見せていますが、年末特有の利益確定売りや、政策イベントを控えた警戒感もあります。無理にポジションを取りに行くのではなく、重要イベントを見極めながら慎重にトレードしていくことをお勧めします。
今週末にかけても重要な経済指標の発表が控えていますので、引き続き市場の動向に注意を払っていきましょう。
それでは、本日も良いトレードを!
FX編集部 田中
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