おはようございます!FX編集部の田中です。
昨日の海外市場は、米11月CPIの予想外の鈍化や日銀の利上げ決定など、重要イベントが目白押しの1日となりました。米国株は5日ぶりに反発し、為替市場では円が乱高下する展開に。本日も植田日銀総裁の会見内容を受けた市場の反応に注目が集まっています。
それでは、昨日の主要ニュースを確認していきましょう。
本日の主要ニュース
【最重要】日銀が30年ぶり高水準の利上げ決定、政策金利0.75%へ
日本銀行は12月19日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の「0.5%程度」から「0.75%程度」に0.25%ポイント引き上げることを決定しました。利上げは今年1月以来、約1年ぶりとなります。
今回の決定で政策金利は1995年9月以来、約30年ぶりの高水準に到達しました。決定の背景には、来年の春闘でも堅調な賃上げが継続する見込みであることや、トランプ米政権の高関税政策による不確実性が後退したことが挙げられています。
日銀は声明文で「賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高い」との認識を示し、2%の物価安定目標が実現する確度が高まっていると説明しています。
市場の反応
為替市場では発表直後に一時円高に振れましたが、植田総裁の記者会見が始まると円売りが強まる展開となりました。ドル円は156.44円まで上昇し、ユーロ円は183.24円、ポンド円は209.18円に達しています。
債券市場では長期金利が2.020%まで上昇し、1999年8月以来約26年ぶりの高水準を記録しました。株式市場では日経平均株価が505円高で取引を終了し、円安が追い風となって一時700円超の上昇を見せる場面もありました。
植田総裁は会見で「経済・物価情勢の改善に応じて、金融緩和の度合いを調整していく」と述べ、利上げ路線を継続する考えを表明しています。住宅ローンや預金金利への影響も本格化しそうです。
【重要】米11月CPI予想外に鈍化、利下げ期待が再燃
米労働省が12月18日に発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年比2.7%上昇となり、市場予想の3.1%を大幅に下回りました。前月の3.0%からも鈍化しています。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比2.6%上昇で、市場予想の3.0%を大きく下回り、2021年以来4年ぶりの低い伸び率となりました。この予想外の鈍化は市場で「サプライズ」として受け止められ、2026年の追加利下げ観測が一気に強まる形となりました。
市場の反応
米国株式市場では、NYダウが前日比65ドル高の47,951ドルで5営業日ぶりに反発しました。ナスダックは大幅高となり、ハイテク株を中心に買いが集まりました。債券市場では米国債利回りが低下し、利下げ期待の高まりを反映しています。
ただし、家賃の伸び率鈍化が大きく寄与した一方で、肉や魚などの食品価格は急騰しており、市場では「データのゆがみ」を警戒する声も出ています。政府閉鎖により10月のデータが収集できなかった特殊事情もあり、来月以降の動向を慎重に見極める必要がありそうです。
トランプ次期政権の関税政策による影響も今後本格化する可能性があるため、インフレが再加速するリスクについても注意が必要です。
【注目】ECBが政策金利据え置き、利下げサイクル終了の可能性
欧州中央銀行(ECB)は12月18日の理事会で、政策金利を据え置くと決定しました。据え置きは4会合連続で、市場予想通りの結果となっています。
注目されたのは同時に発表された景気予測です。2026年のインフレ率見通しを1.9%とし、従来の1.7%から0.2%ポイント上方修正しました。成長率見通しも上方修正され、「特に内需のけん引により、経済成長は9月時点の予測よりも力強くなる」との見方が示されました。
ラガルド総裁は記者会見で「いかなる変更についても決まった日付はない」と述べ、次回の金利変更について利上げの可能性も排除しない姿勢を示しました。市場では、ECBが利下げサイクルを終了したとの見方が広がっています。
現在、市場は2027年3月までに利上げが行われる可能性を約30%程度織り込んでいます。ユーロ圏経済の内需回復ペースや、トランプ関税政策の影響が今後の焦点となりそうです。
【市場動向】日本の長期金利が26年ぶりに2%台到達
12月19日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが2.020%に達し、1999年8月以来約26年4カ月ぶりの高水準を記録しました。
上昇の主因は日銀による利上げ決定と、今後も利上げ路線を継続するとの見方です。加えて、日本の財政悪化への懸念も金利上昇圧力となっています。
長期金利の上昇は、住宅ローン金利や企業の借入コストに直接影響します。個人の住宅購入計画や企業の設備投資判断にも影響が出てくる可能性があり、実体経済への波及効果に注意が必要です。
銀行セクターにとっては利ざやが拡大するためプラス材料となる一方、不動産市場への下押し圧力や企業の資金調達コスト上昇など、マイナス面もあります。2%台の金利水準が定着するか、一時的なものかが今後の焦点となります。
【商品市場】ゴールドマンが金価格見通しを上方修正、2026年に4,900ドル予想
ゴールドマン・サックスは12月18日、2026年の商品価格見通しを公表し、金価格が2026年12月までに14%上昇して1オンス4,900ドルに達するとの予想を示しました。
金価格上昇の背景として、地政学リスクの継続、各国中央銀行による金購入の継続、インフレヘッジ需要の高まりなどが挙げられています。12月19日の国内商品先物市場では、金は3日続伸しました。
一方、原油価格については2026年に供給過剰となる見通しから、来年にかけて下落すると予想されています。金と原油で対照的な見通しとなっており、商品市場内で選別が進む可能性があります。
金価格の動向は米ドルと逆相関の関係にあるため、今後の為替市場にも影響を与える可能性があります。
今後の注目ポイント
短期的な注目点(今週~来週)
- 植田日銀総裁の会見内容の詳細分析と市場の反応
- 米国の追加経済指標発表(個人消費支出など)
- 年末に向けた市場のポジション調整
中期的な注目点(1~3ヶ月)
- 2026年の日銀追加利上げのペースと回数
- トランプ次期政権の関税政策の具体化
- 米FRBの利下げペース見通しの変化
長期的な注目点(3ヶ月以降)
- 日本の春闘における賃上げ率
- 日米金利差の縮小による為替への影響
- 世界経済の成長率見通しとインフレ動向
編集部からのコメント
昨日は日銀の利上げ決定という大きなイベントがありましたが、市場の反応は意外にも円安方向となりました。これは植田総裁の会見で、急激な利上げペースにはならないとの見方が広がったためと考えられます。
注目すべきは、日本の長期金利が26年ぶりに2%台に到達した点です。これは日本の金融環境が本格的に正常化に向かっていることを示しています。住宅ローンをお考えの方や、企業の資金調達を担当されている方は、今後の金利動向に一層注意を払う必要があります。
一方、米国のCPIが予想外に鈍化したことで、2026年の利下げ期待が再燃しました。ただし、トランプ次期政権の関税政策がインフレに与える影響はまだ不透明です。短期的な指標に一喜一憂せず、中長期的なトレンドを見極めることが重要です。
為替市場では、日米の金融政策の方向性の違いが引き続き注目されます。日銀が利上げを継続し、FRBが利下げに転じれば、理論的には円高圧力となりますが、実際の市場の動きは必ずしもそうならないこともあります。市場のセンチメントや資金フローにも注意を払いながら、慎重に取引を進めていただければと思います。
締めの挨拶
本日の海外市場ニュースは以上となります。
年末に向けて市場参加者が減少し、値動きが荒くなる可能性もあります。ポジション管理には十分ご注意ください。また、クリスマス休暇を控え、欧米市場の流動性も低下する時期ですので、思わぬ価格変動にも備えておくことをお勧めします。
明日も最新のFX・投資関連ニュースをお届けいたしますので、ぜひチェックしてくださいね。
本日も良い取引を!
FX編集部 田中
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