夜間3時間だけの戦略で副業トレーダーが安定黒字へ──「やらない勇気」とトレードノートで掴んだ再現性

木村 由希子

今回は、自身でもFXに関するブログを運営する木村さんにお話を伺いました。個人トレーダーとしての視点から、学習法と実践の積み重ねによる上達プロセスを語っていただきました。

会社員として働きながら、夜間のニューヨーク時間を中心にトレードを行い、月間で安定した利益を出せるようになるまでの道のりには、多くの個人トレーダーが共感できる要素が詰まっています!

目次

インタビューしたトレーダー:木村さんの自己紹介

よろしくお願いいたします。

こんにちは、木村と申します。本業は会社員として営業職に就いており、日中は通常の業務をこなしています。FXトレードは2022年から本格的に始め、現在は夜間を中心に取引を行っています。

私の強みは、継続的な実践と反省の積み重ねです。トレードの記録は全てExcelとスクリーンショットで管理し、月間で約200回のトレードデータを蓄積しています。この膨大なデータから自分の癖や改善点を見つけ出し、日々の学びをノートに記録することで、知識の定着と客観的な振り返りを行っています。

普通のサラリーマンだった木村さんにインタビューしていきます!

FXを始めたきっかけは?

このままでいいのかと将来が不安で始めました。

FXを始めた最大のきっかけは、将来への不安でした。30代後半になり、子供の教育費や老後の資金について真剣に考えるようになりました。会社の給料だけでは将来的に不安があり、副収入を得る方法を模索していました。

最初は株式投資も検討しましたが、日中は仕事で取引ができないこと、まとまった資金が必要なことがネックでした。その点、FXは24時間取引可能で、少額から始められることが魅力的でした。特に、仕事終わりの夜間にニューヨーク市場が活発になることは、私のライフスタイルにぴったりでした。

アルバイトと異なり、時間に縛られないのがFX投資の魅力ですよね。

また、金融リテラシーを高めたいという思いもありました。世界経済の動きや各国の金融政策について学ぶことで、本業でのビジネス会話でも役立つ知識が身につくと考えました。実際、FXを始めてから経済ニュースの見方が変わり、取引先との会話でも経済の話題で盛り上がることが増えました。

どのようにFXを学びましたか?

最初は完全に素人だったので、動画で勉強することから始めました。

学習方法は大きく3段階です!

木村さんの勉強方法
  • 1〜3ヶ月目:基礎知識の習得
    • YouTubeの教育動画を毎日2〜3本視聴
  • 4〜6ヶ月目:デモトレードで練習
    • デモ口座で1日20回程度のトレード
  • 7ヶ月目〜:少額リアルトレード
    • 少額から実際のトレードを開始

最初の3ヶ月は、YouTubeの教育動画を毎日2〜3本視聴し、基礎知識を徹底的に学びました。特に「FX初心者向け」チャンネルを10個ほど登録し、異なる視点から同じ概念を学ぶことで理解を深めました。並行して、『ゾーン』『デイトレード』などの名著を読み、メンタル面の重要性も学びました。

ある程度知識がついてきたな〜となってからは、デモ口座で1日20回程度のトレードを行い、実際の値動きに慣れることを重視しました。この期間に、移動平均線、RSI、MACDなど主要なインジケーターの使い方を実践的に学びました。毎回のエントリーポイントをスクリーンショットで保存し、なぜそこでエントリーしたのかを言語化する習慣をつけました。

デモトレードでのお金の動きに慣れてきてからは、1000通貨単位の少額から実際のトレードを開始しました。リアルマネーが絡むと心理的プレッシャーが全く違うことを痛感しました。

毎回のトレードをExcelに記録し、勝率、リスクリワード比、曜日別・時間帯別の成績など、あらゆる角度から分析しました。特に重要だったのは、負けトレードの共通点を見つけることでした。

時間をかけて丁寧に学習しているのがとても良いですね。

トレードノートには、エントリー理由、決済理由、その時の感情状態まで詳細に記録しました。週末には必ず1週間分のトレードを振り返り、改善点を3つ挙げて翌週の目標にする、というPDCAサイクルを回し続けました。

トレードを開始して最初はどうでしたか?

ボロボロでした… 笑
今笑ってこれを言えるのが嬉しいですね 笑

正直に言うと、最初の3ヶ月は惨憺たる結果でした。デモトレードでは勝てていたのに、リアルトレードでは連敗が続き、初月で資金の30%を失いました。

最も苦しかったのは、自分が何を基準にエントリーしているのかが曖昧だったことです。「なんとなく上がりそう」「そろそろ反転するはず」といった感覚的なトレードばかりで、明確な根拠がありませんでした。チャートを見れば見るほど迷いが生じ、結局は感情に流されたトレードを繰り返していました。

特に記憶に残っているのは、2ヶ月目のある金曜日の夜です。雇用統計の発表で大きく動いた相場に飛びつき、一瞬で1万円の損失を出しました。その悔しさから、すぐに取り返そうとして追加でエントリーし、さらに損失を拡大させました。いわゆる「リベンジトレード」の典型でした。

感情的にトレードをしてしまうとどうしても損をしがちです…

本当にそうですよね。今では絶対にやらないです 笑

この経験から、検証の重要性を痛感しました。過去チャートで自分の手法が本当に機能するのか、100回、200回と検証を重ねることで、ようやく自信を持ってエントリーできるようになりました。また、経済指標発表時は必ず様子見することをルール化し、感情的なトレードを防ぐ仕組みを作りました。

どれくらいかけて利益が出るようになりましたか?

1年以上かけてようやく安定するようになりました。

安定して利益が出るようになったのは、トレードを始めてから約9ヶ月後でした。ただ、何度も挫折と再起を繰り返した結果です。

1〜3ヶ月目:マイナス収支が続き、累計で-15万円。毎月5万円ずつ負けていました。
4〜6ヶ月目:損失は減ったものの、まだマイナス。月間-2万円程度に改善。
7ヶ月目:初めて月間プラス(+8,000円)を達成。小さな金額でしたが、大きな自信になりました。
8ヶ月目:調子に乗って取引量を増やし、再びマイナス(-3万円)。リスク管理の重要性を再認識。
9ヶ月目以降:トレード手法が固まり、月間で+3〜5万円を安定的に稼げるように。

転機となったのは8ヶ月目の失敗でした。せっかくプラスになったのに、欲を出して取引量を増やした結果、大きな損失を出しました。この経験から、「勝っても負けても同じロットサイズを維持する」という鉄則を守るようになりました。

ルールを守る。これにつきます!

現在は月間勝率65%前後、リスクリワード比1:1.5を維持し、安定した収益を上げています。大きく勝つことはありませんが、大きく負けることもなくなりました。

利益が出るようになったのは何故だと思いますか?

もちろん技術もありますが、メンタルが一番影響していますね。

利益が安定するようになった要因を分析すると、技術的な面と心理的な面の両方で大きな変化がありました。

木村さんのトレードが安定した理由
  1. 負けパターンの明確化と排除
  2. 客観的な分析の継続
  3. “エントリーしない”選択の重要性
  4. メンタル管理の仕組み化
  5. 資金管理の徹底

1. 負けパターンの明確化と排除
トレード記録を分析した結果、私の負けパターンが3つあることが分かりました。①金曜日の深夜トレード(疲労による判断ミス)、②経済指標発表直後の飛びつきエントリー、③連敗後の取り返しトレード。これらを完全に排除することで、月間の負けトレードが40%も減少しました。

2. 客観的な分析の継続
Excelで管理している取引記録は、現在2,000回を超えています。このビッグデータから、自分が最も得意とする相場環境(トレンド相場の押し目買い)と時間帯(21時〜23時)を特定できました。得意な場面だけに絞ることで、勝率が50%から65%まで向上しました。

3. “エントリーしない”選択の重要性
以前は「常にポジションを持っていないと機会損失」という強迫観念がありました。しかし、「待つも相場」という格言通り、エントリー条件が揃うまで徹底的に待つようになりました。1日の平均エントリー回数は10回から3回に減りましたが、収益は逆に増加しました。

4. メンタル管理の仕組み化
感情的なトレードを防ぐため、具体的なルールを設けました。例えば、2連敗したらその日は取引停止、月間損失が10%に達したら1週間の取引停止など。また、トレード前に必ず5分間の瞑想を行い、冷静な状態を作ることも習慣化しました。

5. 資金管理の徹底
1回のトレードリスクを総資金の2%以内に抑えることを厳守しています。以前は5%や10%のリスクを取ることもありましたが、大きな損失で精神的に追い込まれることがなくなりました。

こうやって反省がしっかりできていること自体が、トレードを上手にするためのコツですね。

トレードはどのようにされていますか?

本業があるので、本業の後に行なっています!

私のトレードスタイルは、ニューヨーク時間(21時〜24時)に特化した15分足のトレンドフォロー戦略です。具体的な手法をご紹介します。

事前準備(20:30〜21:00)
まず日足と4時間足で大きなトレンドを確認します。移動平均線(20EMA、50EMA、200EMA)の並びと角度から、トレンドの強さを判断します。次に、1時間足で直近のサポート・レジスタンスラインを引き、重要な価格帯を把握します。経済指標カレンダーをチェックし、重要指標がある場合は、その前後30分はトレードを控えます。

エントリー条件
15分足チャートで以下の条件が揃った時のみエントリーします:
①トレンド方向への押し目・戻り
②移動平均線での反発確認
③プライスアクション(ピンバー、エンゴルフィングバー)の出現
④RSIがトレンド方向に沿った水準(上昇トレンドなら40〜60、下降トレンドなら40〜60)

リスク管理
ストップロスは必ず直近の高値・安値の少し外側に設置し、リスクリワード比は最低1:1.5を確保します。ポジションサイズは、損失が総資金の2%以内になるよう自動計算ツールで算出します。

決済ルール
利益確定は段階的に行います。リスクリワード1:1で半分決済し、残りは1:2または重要なレジスタンス・サポートで決済します。含み益が出たら、ストップロスを建値に移動させ、リスクフリーの状態を作ります。

トレード後の振り返り
全てのトレードをMT4でスクリーンショット保存し、Excelに記録します。週末には必ず週間レビューを行い、良かった点と改善点を3つずつ挙げます。

トレーダーとしての1日の過ごし方は?

本業の合間にしっかり時間を作るを大切にしています!

会社員として働きながらトレードを続けるため、時間管理には特に気を使っています。典型的な平日のスケジュールをご紹介します。

  • 06:30 起床・朝の準備
    起床後すぐにスマホで前日のニューヨーククローズ後の動きをチェック。シャワーを浴びながら、その日の重要な経済指標を頭に入れます。
  • 07:00〜08:30 通勤・相場分析
    電車の中で経済ニュースアプリ(ブルームバーグ、ロイター)を確認。日足チャートで主要通貨ペアの状況を把握し、その日の相場シナリオを3パターン想定します。
  • 08:30〜12:00 午前の仕事
    本業に集中。ただし、休憩時間にはスマホで相場の大きな動きがないか確認。重要な経済指標発表がある場合は、結果だけチェックします。
  • 12:00〜13:00 昼休み
    ランチを取りながら、午前中の相場の動きを分析。ロンドン時間の開始に向けて、注目ポイントを整理します。
  • 13:00〜18:00 午後の仕事
    本業に集中。16時のロンドン市場オープンは意識していますが、トレードはしません。
  • 18:00〜19:00 帰宅・夕食
    帰宅途中で再度相場をチェック。帰宅後は軽い夕食を取り、トレードに向けて準備を始めます。
  • 19:00〜20:30 チャート分析・準備
    複数時間足でのテクニカル分析を実施。サポート・レジスタンスラインを引き直し、エントリーポイントの候補を3〜5箇所マークします。
  • 20:30〜21:00 メンタル準備
    5分間の瞑想で心を落ち着かせ、トレードプランを声に出して確認。「今日は最大3回まで」など、その日のルールを再確認します。
  • 21:00〜24:00 トレード時間
    ニューヨーク市場でのトレード。15分足チャートを中心に監視し、条件が揃えばエントリー。平均して1〜3回のトレードを行います。
  • 24:00〜24:30 記録・振り返り
    その日のトレード結果をExcelに入力。スクリーンショットを保存し、簡単な振り返りコメントを記入。良かった点と反省点を1つずつ書き出します。
  • 24:30 就寝
    トレードのことは忘れて、しっかりと睡眠を取ります。睡眠不足は判断力を鈍らせるため、最低6時間は確保します。

週末は、土曜日の午前中に週間レビューを2時間かけて実施。日曜日は完全にトレードから離れ、家族との時間を大切にしています。このメリハリが長期的な継続の秘訣だと考えています。

取引ペアは何がメイン?

自分の得意な通貨に絞っています。隙間での情報収集もしやすくて。

私が主に取引している通貨ペアは2つに絞っています。多くの通貨ペアを追うよりも、少数に集中した方が、その通貨ペアの「癖」を理解でき、勝率が上がることが分かったからです。

USD/JPY(ドル円)- メイン通貨ペア
全トレードの約70%がドル円です。選んだ理由は以下の通りです:

  • 流動性が非常に高く、スプレッドが狭い(0.2〜0.3pips)
  • 日本の経済ニュースが理解しやすく、ファンダメンタルズ分析がしやすい
  • 東京時間での動きが穏やかで、ニューヨーク時間で活発になるパターンが読みやすい
  • 日銀の政策や米国の雇用統計など、重要指標の影響が分かりやすい

ドル円は特に、111円、112円といったラウンドナンバー(切りの良い数字)で反応しやすく、これを意識したトレードで利益を上げています。また、日本時間の仲値(9時55分)での動きも特徴的で、この時間帯の動きを研究することで、その日のトレンドを予測することもあります。

EUR/USD(ユーロドル)- サブ通貨ペア
全トレードの約30%がユーロドルです。この通貨ペアの特徴:

  • 世界で最も取引量が多く、テクニカル分析が効きやすい
  • トレンドが出やすく、一度方向が決まると継続しやすい
  • ヘッドアンドショルダー、ダブルトップなどのチャートパターンが綺麗に出現する
  • ECB(欧州中央銀行)の政策発表時に大きく動くため、イベントトレードがしやすい

ユーロドルは特に、ロンドン時間(16時〜)からニューヨーク時間前半(21時〜23時)にかけて活発に動くため、私のトレード時間と相性が良いです。

その他の通貨ペアについて
GBP/JPY(ポンド円)は値動きが激しく魅力的ですが、私には制御が難しく、現在は取引していません。過去に大きな損失を出した経験があり、自分には向いていないと判断しました。AUD/JPYやNZD/JPYは、スワップポイント狙いで長期保有することもありますが、デイトレードの対象からは外しています。

トレードする上で一番重要視していることは?

メンタルとルールについて重視しています!

3年間のトレード経験を通じて、技術的な面よりもメンタル面とリスク管理が成功の鍵だと確信しています。私が最も重要視している3つの原則をご紹介します。

1. 「やらない勇気」を持つこと – 最重要原則

トレードで最も難しいのは「何もしないこと」です。チャートを見ていると、常に「今がチャンス」と感じてしまいます。しかし、本当のチャンスは1日に1〜2回程度。それ以外は「ノイズ」です。

私は以下の状況では絶対にトレードしません:
・条件が70%しか揃っていない時(100%揃うまで待つ)
・「なんとなく」という直感でエントリーしたくなった時
・前のトレードの損失を取り返したいと感じた時
・体調が悪い時、疲れている時
・重要指標発表の前後30分間
・金曜日の深夜(NYクローズ前後)

「やらない勇気」を持つようになってから、月間のトレード回数は200回から60回に減りましたが、収益は3倍に増えました。

2. トレード後の振り返りを欠かさないこと

勝っても負けても、必ず振り返りを行います。特に勝ったトレードこそ要注意です。「たまたま勝った」のか「狙い通り勝った」のかを明確に区別する必要があります。

振り返りで記録する項目:
・エントリー理由(テクニカル根拠を3つ以上)
・その時の感情状態(冷静、焦り、興奮、恐怖など)
・決済理由(計画通りか、感情的か)
・改善点(もっと良いエントリーポイントはなかったか)
・次回への教訓(1文で簡潔に)

この振り返りデータが蓄積されることで、自分の「勝ちパターン」と「負けパターン」が明確になります。現在、私のトレード記録は2,000回を超え、このビッグデータが最大の武器になっています。

3. メンタルの安定を最優先すること

トレードは心理戦です。どんなに優れた手法を持っていても、メンタルが乱れれば必ず負けます。私はメンタル管理のために以下のルールを設けています:

日次ルール:
・2連敗したらその日は取引停止
・利益が日次目標(1万円)に達したら取引停止
・トレード前に5分間の瞑想を必ず行う

週次ルール:
・週間損失が5%を超えたら、その週は取引停止
・金曜日は22時までに全ポジションをクローズ

月次ルール:
・月間損失が10%に達したら、1週間の取引停止と手法の見直し
・月末最終週は取引量を通常の半分に減らす

また、トレード以外でのストレス解消も重要です。週3回のジョギング、週末の家族との時間、月1回の温泉旅行など、トレードから完全に離れる時間を意識的に作っています。

最後に、これからFXを始める方へのメッセージ

FXは簡単に稼げる投資ではありません。私も最初の半年で30万円以上を失いました。しかし、真剣に学び、経験を積めば、必ず上達します。大切なのは、「お金を稼ぐ」ことよりも「相場で生き残る」ことを最優先に考えることです。

小さく始めて、大きく育てる。失敗から学び、成功パターンを見つける。そして何より、自分のペースで継続することが大切です。相場は逃げません。焦らず、着実に、一歩ずつ前進していきましょう。

皆さんのトレードライフが実り多いものになることを心から願っています。

ありがとうございました!

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