
第45回(2026年2月12日放送)
テーマ:「JAZZ GROUND CROSS オーディオ PART②」
今回の放送では、苫米地さんがJAZZ GROUND CROSSに導入されたオーディオシステムの背景や思想、そして調整のプロセスについて語っています。長年にわたり収集してきたアメリカ黄金期(1950〜70年代)を中心とする希少なオーディオ機材を、財団法人として同店に貸与し、コロナ禍という時間的余裕のある期間を使って、約3ヶ月半かけてシステムを組み上げていった経緯が紹介されています。
当時のブルーノート全盛期に象徴される、スタジオ録音と再生の思想をできる限り忠実に再現することが目標とされており、アナログマスターテープからDSD化された音源を、ヴィンテージ機材を中心としたシステムで再生するという、極めて贅沢な環境が整えられています。単なる高級オーディオではなく、「当時の演奏家やエンジニアが何を聴いていたのか」を追体験するための装置である、という位置づけが印象的です。
音作りの基準として重視されたのが、グランドピアノの再現性です。実際に演奏家本人を招き、鍵盤のタッチや音の立ち上がり、倍音の広がりまで含めて確認しながら、何度も調整が重ねられています。チェロ社のオリジナル・オーディオパレットを用いたイコライジングでは、高域・低域・中域を行き来しながら微細な修正を繰り返し、最終的には「白鍵が指に吸い付く感触が再現された」という実感に至ったと語られています。
その結果、ピアノだけでなく、ジャズやロック、さらにはシンフォニー音源においても、これまで意識されにくかった倍音や共振音が明瞭に聴き取れるようになったといいます。一方で、ピアノと弦楽器における平均律と自然音階の違いによる調整の難しさにも触れられており、最終的には弦楽器側にわずかに寄せたバランスで落とし所を見出したプロセスが紹介されています。
さらに、機材だけでなく店舗空間そのものの響きにも目が向けられています。四角形による定在波やガラス面の反射といった問題を補うため、樹齢数千年・長期自然乾燥された屋久杉が用いられている点も印象的です。スタインウェイのコンサートグランドに使われる音響板の思想と重ね合わせながら、屋久杉の特性が空間全体の響きを支える重要な要素になっていることが語られています。
今回の放送を通して、JAZZ GROUND CROSSが単なるジャズ喫茶やリスニングスペースではなく、「演奏家が実際に聴いている音」や「スタジオやホールで生まれる現場の感覚」を極限まで再現しようとする場であることが、改めて浮かび上がってきます。音楽を“聴く”という行為の奥行きを、改めて考えさせられる回となっています。
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毎週木曜日 深夜0am - 0:30am
DJ:苫米地英人
ハッシュタグ:#cosmicradio
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