
第37回(2025年12月18日放送)
今回は、苫米地さんが「超国家権力とは何か」というテーマを、歴史の起点からたどりながら語っています。
民主主義国家における国家権力は、本来は国民が自然権の一部を信託したものにすぎないのに、それを超えたところに存在する力が、いかにして生まれたのか。その最初の形として示されるのが、ローマ教皇が神の名のもとに世界を分割したトルデシャス条約です。
ヨーロッパの宗教的権威が国家を超えて地球規模の領有を正当化したこと自体が、超国家権力の原型だったと語られます。
ヴァスコ・ダ・ガマ以降の大航海時代には、ポルトガルやスペイン、さらにオランダやイギリスが、軍事力と交易を結びつけながら勢力を拡大していきました。
東インド会社は単なる民間企業ではなく、武器弾薬を積み、交戦権や条約締結権まで持つ存在で、事実上「国家ではない国家」として機能していました。国家権力、資本、宗教が結びついたこの構造が、その後の世界秩序の基盤になっていきます。
また、資本主義の根底には「原価を極限まで下げる」という論理があり、その極端な形が奴隷制だったと苫米地さんは指摘します。
歴史上の奴隷貿易だけでなく、現代における無償労働や、ソーシャルメディア上での「いいね」による価値創出も、広い意味では同じ構造にあると示唆されます。見えにくい形に変わっただけで、仕組み自体は今も続いているという視点です。
さらに中南米の歴史に触れ、教皇の一線によって農奴化された人々と、それに抗ったチェ・ゲバラの思想が紹介されます。
苫米地さんは、ゲバラがアメリカだけでなくソ連さえも帝国主義だと見抜いた点を評価し、これを「ゲバラ主義」と呼びます。
国家や陣営を超えた高い抽象度の視点を持ち、言葉だけでなく命を賭した行動を伴う姿勢の重要性が語られます。
全体を通して、超国家権力とは特定の誰かではなく、宗教・国家・資本が結びついて歴史的に形成されてきた構造そのものだと整理されます。
そして、それは過去の話ではなく、形を変えながら現代社会にも連続して存在している。
前編となる今回は、その起点と枠組みを押さえる回として、次回へと続く問題提起で締めくくられています。
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12/18(木)深夜0am - 0:30am
DJ:苫米地英人
ハッシュタグ:#cosmicradio
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