
テーマ「なぜ老人はネット右翼化するのか? PART ①」
第68回(2026年7月23日放送)
番組では、いわゆる「ネット右翼」という言葉を社会学的・政治学的な定義ではなく、独自の視点から再定義し、その背景にある世代間の認知の違いについて考察しました。
冒頭では、まず「老人」と「若者」の定義から議論が始まります。今回のテーマでいう老人とは、おおむね50代から70代までの、現在も社会活動を続けながらネット空間で情報発信や情報収集を行っている世代を指すものと説明されました。一方、若者は20代から40代前半程度を想定し、あくまでも議論を進めるための便宜的な区分であることが強調されます。
続いて、「ネット右翼」という言葉についても独自の定義が示されました。ここでいう右翼とは政治思想そのものではなく、「現状維持を望む人」という意味で捉えられています。
社会制度や慣習、価値観を大きく変えず、現在の社会構造を維持しようとする姿勢を指すものであり、この定義を前提として番組は進められました。
そのうえで、50代以上の世代は、日本がGDP世界第2位となり、「Japan as No.1」と呼ばれた時代を社会人として経験してきた世代であることに触れます。
経済成長を実際に体験した世代だからこそ、「あの頃の日本」が成功体験として強く記憶され、社会構造を維持したいという意識につながりやすいのではないかという考え方が紹介されました。
番組の中心となったのは、人類の進化は物理空間だけではなく、認知空間でも起きているという考え方です。知識や文化、言語などを次世代へ受け渡す能力そのものが進化を加速させ、そのスピードは生物学的な進化よりもはるかに速いという独自の理論が展開されました。認知空間では、およそ10年単位で環境が大きく変化し、それに適応できるかどうかが重要になるという見方が示されます。
その説明の中では、ダーウィンの進化論との違いについても触れられました。動物の適応だけでは説明できない人間社会では、文化や言語、教育など「象徴文化」が進化に大きな役割を果たしているとし、こうした認知空間での競争が人類の発展を支えてきたという考え方が紹介されました。
また、近年のAIの進歩についても話題が広がります。これまで専門知識がなければ理解が難しかった数式や論文も、生成AIによって一般の人でも理解しやすくなりつつあることが紹介されました。
AIが解説役となることで知識へのアクセスが大きく広がり、認知空間の進化をさらに加速させる可能性についても語られています。
さらに番組では、国際大学・山口真准教授らによる調査結果にも触れました。政治に関するフェイクニュースを見抜けた割合は20代で約2割だった一方、50代では6.5%、60代でも8.5%にとどまっていたと紹介され、世代による大きな差が見られたことが取り上げられます。この結果を踏まえ、一般的によく使われるフィルターバブルやエコーチェンバーという説明だけでは十分ではなく、それらは原因ではなく結果であるという独自の分析も示されました。
番組では、認知空間の進化に適応できない状態が続くことで、情報が偏った環境へ入り込みやすくなり、それがさらに認知の変化を加速させる「老人退化スパイラル」という考え方についても紹介されます。こうした現象を、今後まとめる予定の理論や論文の中でも詳しく整理していきたいという構想も語られました。
終盤では、IQテストや加齢についても話題が及びます。年齢とともに認知機能が変化することは自然な現象であり、人間社会では世代交代そのものが進化の仕組みの一部として機能しているのではないかという考察が展開されました。親世代から子世代へ知識が受け継がれながらも、新しい世代が新しい環境へ適応していくことで、人類全体の認知が更新され続けているという視点で今回の前編は締めくくられています。
今回は前編ということもあり、「ネット右翼化」というテーマそのものよりも、その背景となる世代間の認知の違いや認知空間の進化、人類の適応という土台となる考え方を丁寧に整理する内容となりました。後編では、ここで提示された理論をもとに、より具体的な分析へと議論が進んでいきます。
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毎週木曜日 深夜0am - 0:30am
DJ:苫米地英人
ハッシュタグ:#cosmicradio
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https://radiko.jp/r_seasons/10029353
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