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8月13日(木)放送のテーマ:「生成AIとの付き合い方」

番組から
2026/08/18

Dr.苫米地 Cosmic Radio

テーマ 「生成AIとの付き合い方」

第71回(2026年8月13日放送)


生成AIは驚くほどの速さで進化しており、具体的な機能やプロンプトの使い方を説明しても、放送される頃にはすでに次のバージョンが登場しているかもしれません。そこで今回は、個別のテクニックではなく、私たちが知識を習得し、運用していくうえで生成AIとどう向き合うべきなのか、その本質について考察が進められました。

冒頭では、AIを使った学習が知識の定着を妨げる可能性を示した研究が紹介されます。ただし、ひとつの論文やニュースだけを見て「AIを使うと学習に悪い」と結論づけるのではなく、その研究がどのような条件で行われ、何を示しているのかを見極める必要があると指摘します。新しい研究が次々と発表される時代だからこそ、個々の結果に一喜一憂するのではなく、AIそのものの仕組みを理解することが重要だという考え方です。

そのうえで、現在のLLM(注:Large Language Model / 大規模言語モデル)の基本的な仕組みについて話が広がります。膨大な文章や画像などのデータを学習し、そこからパターンを見出して、確率的に次の言葉や回答を導き出していく。計算能力やモデルの規模は飛躍的に大きくなりましたが、巨大なデータからパターンを抽出し、それを利用して答えを作るという基本的な考え方そのものは変わっていないと説明されました。

そう考えると、生成AIが得意なのは、過去に蓄積された膨大な知識を引き出し、利用しやすい形で提示することです。知識を得るためにAIを使うこと自体を否定する必要はありません。

一方で、モデルごとに学習データや確率的な処理、サービスを提供する企業のポリシーが異なり、同じ質問でも回答が変わることがあります。さらに、どのような問いを与えるかによっても結果は変化します。AIの答えをそのまま正解として受け取るのではなく、どういう仕組みで回答が作られているのかを意識しながら使うことが大切だと語られました。

中盤からは、AIをめぐる競争を支える資源とコストの問題へと話が進みます。現在の大規模なAI開発には大量のGPUと電力が必要であり、その背景にはエネルギー、レアメタル、重要鉱物などをめぐる国家間の競争があります。番組では、AIの覇権争いは単なるソフトウェアやアルゴリズムの競争ではなく、膨大な資本と資源を必要とする産業競争になっているという見方が示されました。特にアメリカと中国が持つエネルギーや資源、技術、資本の規模を踏まえると、日本が同じ土俵で資金力だけを使って追いつこうとするのは難しいという考察です。

では、日本はAI開発を諦めるべきなのか。番組では、そうではないと語られます。巨大なプラットフォームをゼロから作って資本力で競争するのではなく、優れた人材や新しいアルゴリズムなど、知的なイノベーションに投資する道があるという考え方です。私たちはすでにLinuxやWindows、Mac、iPhone、Androidなど海外で生まれたプラットフォームを日常的に利用しています。LLMについても同じように、既存のプラットフォームを使いながら、その上で何を生み出せるのかを考えることが重要だと整理されました。

そして後半で大きなポイントとなったのが、現在の商用AIは必ずしも能力を最大限に使って回答しているわけではない、という視点です。すべてのユーザーのすべての質問に対して最大限の計算資源を使えば、GPUも電力も膨大に必要になります。そのため商用サービスでは、限られた計算資源の中で効率よく回答するために、必要に応じて処理を抑える仕組みが組み込まれているという見方が示されました。番組ではこれを、AI同士の「いかに手抜きをするかという競争」と表現しています。

つまり、普段私たちが目にしているAIの回答だけを見て、そのAIの能力そのものを判断するのは早いということです。簡単な問いには簡単な答えが返り、本格的な推論を必要とするタスクを与えなければ、AIも大きな計算資源を使う必要はありません。逆に、問いの与え方や使い方によっては、より深い推論を引き出せる可能性があります。

ここに、プロンプトエンジニアリングだけではない、生成AIとの付き合い方の重要なヒントがあると語られました。

今回の放送では、「AIを使うべきか、使わないべきか」という単純な二択ではなく、AIがどのような仕組みで動き、どのような産業構造の中で提供されているのかを理解したうえで使うことの重要性が示されました。生成AIが膨大な知識への入口になった今、問われているのはAIそのものの賢さだけではありません。何を問い、どこまで考えさせ、その答えを自分の知識や思考にどう結び付けていくのか。生成AI時代に必要なのは、AIに思考を任せることではなく、その能力を理解したうえで使いこなす側の知性なのかもしれません。

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毎週木曜日 深夜0am - 0:30am

Dr.苫米地 Cosmic Radio

DJ:苫米地英人

メール:cosmic@interfm.jp

ハッシュタグ:#cosmicradio

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