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なぜ会社を立てるのか? -個人事業主と会社設立どっちにすべき?-

なぜ会社を立てるのか?

起業や独立、フリーランスとして活動することを決めた際、多くの人が「どういった形態で事業活動を行うのが良いのだろう?」という疑問を抱えます。選択肢は、大きく分けて「会社を設立する」「個人事業主になる」の2つです。この2つには、それぞれメリットやデメリットがあると思います。まず、この2つにどのような違いがあるのかをしっかりと理解して、自分が置かれた状況ややりたいこととを踏まえて、どちらの形態をとるべきかを判断する必要があると思います。このページでは、そんな「会社設立」と「個人事業主」の違いを説明していきます。

まず簡単に「会社とはどういうものなのか?」という前提部分について軽く触れておきたいと思います。
「会社」とは、簡単にいうと「事業を行うための組織」です。なぜ事業を行うのか。それは利益を出すためです。利益を出すことを目的としていない組織は、非営利法人と呼ばれます。社会貢献活動などを行うNPO法人も、この非営利法人の1つです。
このような組織が、1つの組織として、法で主体性が認められたものとなることを法人化と言います。
法人化によって、初めて組織・グループに法人格が付与され、本来的には、人でなくても、「法人」として、人と同じようにみなされるようになるのです。その結果初めて、組織・グループとして、銀行口座を作ったり、資産を保有したりすることができるようになるのです。

「会社・法人」に関する基礎的な説明は以上になります。
さて、続いて本題の「個人事業主」と「会社」の違いの説明に入っていきます。

会社と個人事業主の違い➀設立コスト・リソース

まず、会社にするのか、個人事業主にするのかの選択の上で考えるべきは、「会社にするメリットやリターン」が会社を立てるコストや、そこに割くリソースに見合っているかどうか、という論点でしょう。

まずは設立の手続きや設立時に必要となる費用についてざっくりと説明します。
会社設立の場合、定款の作成や登記などの手続きが必要となります。定款は多いものだと数10ページにわたるものもあります。また、自分一人で作成することが困難な方は、外部の専門家などのサポートも受けながら進めていく必要があります。そういった意味では、開業届を提出するだけで、手続きが完了する個人事業主と比較すると、手間がかかるといえます。
また、会社は、設立時に、登録免許税等の設立費用が、資本金を除き最低でも18万円(株式会社の場合)かかります。一方で、個人事業主は、一切設立費用が発生しません。

ここでは、単純に設立時のみの費用・リソースをベースとした説明を行いました。結局その使ったリソースや費用と対比すべきなのは、それによって将来的に、売上やキャッシュフロー上どういったメリットをもたらしうるのか、というメリットの計算に移ります。

「会社」と「個人事業主」では、キャッシュフローや売上貢献に直結しそうな部分で、どう違うかという部分の説明になります。このあたりの議論で顕著なのは、「節税」によるCFインパクトや、「信用度」などを使った取引の拡大(売売上拡大)につなげていける、などのような「個人事業主でいること」と「会社を作ること」の違いにフォーカスした説明になります。

さて、1つ1つ違いを見ていきましょう。

会社と個人事業主の違い➁有限責任と無限責任

会社と個人事業主の間の大きな違いの1つとして、「有限責任」と「無限責任」というものがあります。会社は、「有限責任」で個人事業主は「無限責任」です。この違いを理解するために、まず、あるシチュエーションを想像してみます。例えば、銀行から、5000万円の借り入れを行ったとします。そして、あるとき、業績が悪化し、借入金を約定通りに返済できなくなりました。そんな時、個人事業主は、自分の個人資産も含めて、返済責任を負うことになります。具体的には、個人の自宅や資産を差し押さえられ、返済原資とされる、といったことが発生します。これが無限責任です。一方で、株式会社の場合、株主は、いくらその会社のオーナーや経営者であっても、会社の債務につき、自分の個人資産については追及を受けない(経営者保証を入れていなければ)という違いがあります。これが、有限責任です。

会社と個人事業主の違い③資金調達手段の違いと信用の違い

信用度の問題
資本金の額や事業形態が取引の可否の判断軸の1つになる業界や企業も存在します。そういった場合、個人事業主だと取引を行ってもらえないケースがあるほか、会社形態と個人事業主を比較した場合、相対的には。会社の方が信用度は高いです。

資金調達手段の違い
個人事業主の場合、資金調達手段は、第三者や金融機関からの借入、公的機関からの助成金の取得などしか在りません。一方で、株式会社であれば、借入による資金調達に加えて、第三者への出資金の募集や社債の発行等、様々な手段での資金調達も可能になります。

会社と個人事業主の違い④税務上の違い

他にも、「会社としての収入」「個人事業主としての所得」という違いから、一概には比較できない側面はありますが、税務上の違いも存在します。具体的には、個人の事業活動によって、年間1500万円の売上を立てるとします。その際、個人事業主として、その売上収入に対する所得税を支払うより、会社を設立して法人税を支払う方が、節税的なメリットが大きい、といったようなケースもあります。ただし、こういったケースは、個別具体的なケースによりけりという側面もあると思いますので、税理士さんに相談してみるという方法をお勧めします。

まとめ

会社と個人事業主は、どちらにもメリットやデメリットがあります。今後の展望や、現在の状況を踏まえた上で、どちらの方が自分にとって有利かをしっかり吟味して判断することが必要です。その際、税理士や起業経験者などに相談してみるのも良いかもしれません。

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