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【Innovater’s Talk 】ashlyn小島未紅×三戸 Vol.3「OLがブラを作り、広告を使わず日商1000万円を達成」

今回ご紹介するビジネスのプロフェッショナル「ビジプロ」は、付け心地が良くおしゃれなノンワイヤーブラジャーで起業した、株式会社ashlyn(アシュリン)の代表取締役社長、小島未紅さんです。

前回は、小島さんの「リピート70%超の商品を作るのに広告費はいらない」お話をお伝えしましたが、今回は「OLがブラを作り、広告を使わず日商1000万円を達成」という話をお伝えしたいと思います。

この記事はFMラジオ、InterFMで毎週日曜20時30分からお送りしている番組ビジプロで放送された内容と、未公開部分を併せて記事化しています。ビジプロは、サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいなどの書籍や、個人M&A塾サラリーマンが会社を買うサロンで知られる事業投資家の三戸政和が、さまざまな分野の先駆者をゲストに招いて話を聞き、起業や個人M&Aなどで、新たな一歩を踏み出そうとしているサラリーマンを後押しする番組です。番組は三戸さんとの対談ですが、記事はゲストのひとり語り風に再構成しています。

音声アプリVoicyでは、ノーカット版「ビジプロ」を聴けますので、こちらもお楽しみください。

大手企業に勝てるビジネスを作る忍耐力を培うには

ビジプロ名物、「本当は教えたくないビジネスに必要な3つの力」には、「行動力」「客観性」「情報収集力」をあげたいと思います。そして、「意外と見落としがちな力」として「忍耐力」をあげます。

忍耐力は必要なスキルとしてはあまり注目されませんが、実は大事な力だと思います。私も耐えに耐えてビジネスをしています。24hブラができるまで2年くらいかかりましたし、最初はなかなか売上が上がらずに、忍耐が続きました。

ブラジャーの在庫である段ボールに囲まれながらの生活や、午前中はブラジャーの仕事をして昼過ぎから派遣のOLの仕事をするという期間もしばらくありました。なんとかして売らなきゃというプレッシャーもありました。

私のようなひとりのOLが起業をして生き残るには、大手企業がやっていないものや新しいことに挑戦する必要がありますし、高い参入障壁も越えないといけません。それをするにはやはり忍耐力が必要で、それがないと成功しないと思います。

どこから忍耐力が湧いてくるかというと、商品づくりをするなかで、この商品をお客さんに届けたい、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いから湧いてくるのだと思います。私自身は忍耐力を持って、愚直にやることができています。

社長自らすべてをすることで見える景色がある

私はずっとひとりでやってきました。商品開発を手伝ってくれるデザイナーはいますが、それ以外はすべてひとりでやっています。私はすごくひとりが好きで、職人系でコツコツやるタイプです。

同じことをずっとやっていると飽きてしまいますが、社長業では商品開発からマーケティング、経営管理といろいろやることがあるので、飽きずにできていますし、面白いなと思っています。

いろいろなことをひとりでやると、それぞれのつながりに気づけるというメリットもあります。たとえばマーケティングと商品開発は違う分野ですが、やはり密接に絡んでいます。そのつながりを意識してできるというのは大きいと思います。

新規事業を生むためには、とにかく情報収集を

壁にぶつかりそれを乗り越えるには、乗り越えることを可能にする情報にたどり着けるかどうかにかかっています。

実際に私も、工場が見つからないとか理想の設計ができないといったいろいろな壁がありましたが、情報収集力を発揮して、それぞれの問題を解決できる情報にたどり着けました。情報が得られれば、あとは実行するだけなので、やはり大事なのは情報収集力になります。

私はもともとシステムエンジニアで、プログラミングをするときなど、わからないときはとにかく調べまくるので、そのやり方が身体に染み付いています。工場が見つからないときも調べまくって、200件の工場のリストを揃えられました。情報を集めたり、調べものをしたりするのが苦じゃないというのは大きかったと思います。

腰は低く、足を使わなければ情報は集まらない

調べつくす情報収集力も大事ですが、人から聞くという情報収集力も大事です。いまの仕事で、頭を下げて聞くことは日常茶飯事です。

生地のこと、縫製のことなどでわからないことがあれば頭を下げて聞きますし、こちらの要望が叶えられないときも、頭を下げて、「どうしてできないんですか」と聞いて、そのうえで「それならこういうやり方はどうですか」と提案します。頭を下げて聞くことができるという情報収集力は、とても大事だと思います。

長くやっていると、私の持っている情報も多くなってきますが、それでも、ものづくりの現場にいる職人さんに対しては、しっかり腰は低くして、でも熱量は伝えるということを意識しています。

以前、商品が想像した色に染め上がらないという問題が起きたとき、最初は、「染料を変えたらどうですか」などと電話で提案していたのですが、なかなかうまく改善できませんでした。

やっぱり現場で情報を取りつつ、こちらの考えを伝えることが大事で、このときも工場まで行って、「いまの見え方はこうですね、これをこういう色にしたいんです」と丸一日かけて説得したら解決できました。情報収集をして問題を解決するには、腰は低く、足を使うということが欠かせないと思います。

資金繰りのミスから生まれた在庫管理の逆転の発想

私の失敗といえば、無計画ともいえる大量発注をしてしまい、しばらくの間、それが売れるのか不安で、泣きながら過ごしたことです。

大量発注をしてしまったのは、ようやく売上が伸び始めた頃でした。在庫が少なくなり、生産も間に合わないという状況になり、私はとにかく発注数を増やさなければいけないと思って、口座に500万円しかなかった状況で、1000万円近い発注をかけてしまいました。

発注をしたときは、「大丈夫、いける」と思っていたのですが、大量の商品が届き始めると、「これ全部売れるのか」と、ものすごく不安になってきて、毎日泣きながらオフィスにいくということが2ヶ月くらい続きました。

「もうこれは借金になってしまう、これは返せない、全然売れなかったら大変なことになる」みたいな感じで、どんどん悪い想像ばかりして、大変な時間を過ごしました。

売上が伸びてきたので発注をかけたのですが、やはり手応えだけでそれをやってはダメで、資金の裏付けがある計画的な発注をしなければいけないなと、この大変な日々で痛感しました。最終的にはさばききれたので良かったです。

アパレルメーカーは、販売機会を逃さないよう、ある程度の在庫は抱えておくというのが普通で、在庫の管理が難しいのですが、最近のアパレルメーカーは在庫をあまり抱えないようになってきました。

商品が売り切れることをチャンスロスと捉えるのではなく、プレミア感が高まると捉えるようになってきているのです。お客さんも、商品の発売にあわせて購入することが、だんだんと当たり前になってきました。カルチャーが変わってきているなと感じています。

広告費を使わずに年商1億円を目指している

私が重要視しているKPI(重要経営指標)は売上と営業利益です。この2つはものすごく意識していて、毎週チェックしています。基本的なところですが、売上を構成する集客とコンバージョン率と購入価格の3つの数字を分析して、ひとつずつ上げていくように、こだわって見ています。

うちの会社は売上のエンジンと言われる広告費を使っていません。純広告をかけなくても、SNSでの発信やコンテンツ作りで商品の知名度を上げることはできるので、そこをさらに強化していきたいと考えています。

具体的にはインスタです。インスタで商品の写真を撮影したり発信したりするのは、カメラマンやモデルのお金、スタジオ代などで意外と費用がかかります。そういうところにはお金をかけようと思っています。

いまの営業利益率は25%ですが、この営業利益率を保ちつつ、売上を伸ばしていきたいと考えています。いまは自分ひとりで、マーケティングからものづくりまで全部を見ていて、顧客目線に立ったサービスが作れていますし、採用や従業員とのコミュニケーションといったコストもかからず、効率的にできています。

一方で、売上が前年の3倍になっていて、これをさらに拡大するにはひとりでは難しく、やはり人が必要だと思っています。今年中には社員を増やし、体制を強化する予定です。

実は年商1億円を達成するまで、ひとりでどこまでできるのか、挑戦したいと思っていました。そろそろ達成できそうです。今後はそれを超えたところでの挑戦になります。

起業家でも働く時間は長時間にしていない

私が働くのは1日に6~8時間ぐらいです。OLのときはたくさん残業をしていたので、いまはなるべく残業をしないよう、業務効率を図りながら、8時間くらいで止めるようにしています。

自分の中で8時間と決めていても、SNSを見ているつもりがマーケティング調査をしていたり、アマゾンで買い物をしているはずが競合をチェックしていたりということもありますが、仕事を終えたら、なるべく仕事から離れるようにしています。

仕事をしないために手っ取り早いのが、違う場所に行くことです。コロナの前は、仕事終わりに、大好きなレコードバーによく行っていました。レコードバーで音楽を聴きながらお酒を飲むのです。

私は音楽が本当に好きで、音楽を聴いている時間は、音楽以外のことを考えられなくなります。レコードバーに行けば、仕事から完全に離れることができます。

Yahoo!ニューズになったアイデアはシャワーブースから

実は私には、アイデアが浮かぶ決定的な瞬間があります。それはシャワーを浴びて、お風呂場から出る瞬間です。なので、お風呂場には常に携帯を持っていき、思いついたことをすぐメモできるようにしています。

お風呂場で思いついた例を挙げると、マスクです。コロナの影響でマスクが品薄になったとき、いろいろなアパレルブランドがマスクを作るようになりましたが、私はマスクのことを考えるのが少し遅くなりました。

でもマスクは足りていないし、作ったら売れるかなと、シャワーを浴びながらぼんやり考えていたのですが、お風呂場から出た瞬間にハッと閃いたのが、「見た目がかわいいレースのマスクにしよう」「唇に触れる面を赤の布地にしたら、化粧の汚れが目立たなくていい」というアイデアでした。

そのアイデアを実現して発売したら、ヤフーニュースに載って、1万件くらいのアクセスがあり、2000枚が一気に完売しました。

先日発売したサニタリーの新商品も、同じように、お風呂場を出る瞬間に思いついたものです。シャワーを浴びながら、女性の生理の悩みについてぼんやりと考えていたら、お風呂場から出る瞬間に、「こういう形の商品がいいんじゃないか」とパッと浮かんだのです。

そのアイデアは特許に近いものだったので、すぐに権利保護の手続きをして、新商品を開発して発売したら、一晩で完売しました。

シャワー室でアイデアを思いつくというのは私だけじゃないみたいで、似たようなことをいう経営者の方をTwitterで見かけました。その人はシャワー室にホワイトボードが欲しいと言っていました。

自分の欲しいものを作ったら自分の自由な時間もできた

私は25歳で起業しましたが、それまでは、ビジネスの経験も全然ない普通の人でしたし、起業のために何かを学んだりすることもなく、毎晩飲み歩いているだけのOLでした。

それでも、「自分の欲しいものを作りたい」という思いで挑戦し、起業をしたら、日商1000万円の規模にまで伸ばすことができました。そんなことが可能だというのは、この私が経験して証明されました。

可能なのは間違いありません。ですから、多くの人に、いろいろな挑戦をしてもらいたいと思っています。

いまの私は、働く時間と働く場所を好きに選べて、努力次第で収入や資産を増やすことができます。OL時代に大変だった職場の人間関係に悩む必要もありませんし、通勤電車に乗らなくていいというのは、精神衛生上、とても大きいです。

起業をして、いまはすごくやりがいを感じながら仕事ができていますし、幸せも感じています。

※この記事は、日曜20時30分からInterFMにて放送しているサラリーマンの挑戦を後押しするベンチャービジネス番組ビジプロの内容をまとめています。

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