Topo Chico Hard Seltzer presents『Syndicate Radio』は、「決めつけないのがルール」を合い言葉に、新しい挑戦をしていく実験的なラジオプログラム。
自由な価値観で新しい企てをする仲間が繋がれる秘密基地として、番組DJのemmaが、毎週様々な価値観を持ったゲストを招いて、トポチコ ハードセルツァーを飲みながら、様々な話題を引き出していく。
第1回目は電気グルーヴのメンバーで、DJとしても世界的に活躍する石野卓球を迎え、emma独特の切り口からテクノとは何なのかを掘り下げた。石野卓球流の決めつけない極意とは?

DJに大事なのは経験とツラの皮の厚さ

emma:

卓球さんと言えば電気グルーヴのメンバーで、テクノというイメージがありますけど、私は父がイギリス人ということもあって、結構UKロックを小さい時から聴いていたので、テクノとかダンスミュージックについてそんなに詳しくなくて。卓球さんにいろいろ教えていただけたらなと思っています。

石野:

教えるほどのものはありませんけど。

emma:

そこで、『教えて卓球先生! 夏休みテクノ講座』と題しまして、卓球さん自身のことやテクノ・カルチャーについて、いろいろ教えていただきたいと思います。ちなみにさっき流れたレゲエホーンってあるじゃないですか。

石野:

ファファファ〜ンって鳴ったやつね。

emma:

あれってテクノですか?

石野:

全部テクノですよ。世の中のありとあらゆるもの全てがテクノです。うちの犬もテクノです(笑)!

emma:

レゲエホーンという名前だから、レゲエなのかと思ったんですけど……。

石野:

「決めつけないのがルール」でしょ? 決めつけちゃダメですよ(笑)。

emma:

ああ、確かにそうでした(笑)。ではまず、1限目は『テクノ・カルチャーetc.』です。かなりド素人の質問で申し訳ないのですが、そもそもDJってライブ中にどういうことをされているんですか?

石野:

人が作った曲をつけたり消したり。あと、ライブ中にお酒を飲んでも怒られない仕事です(笑)。

emma:

私も何度かDJの方が曲をかけているのを見たことがありますけど、フロアをアゲたりサゲたり、つけたり消したり、それはライブ中に考えてやるんですか? それとも家で練習するんですか?

石野:

DJを始めた頃は、練習ってわけでもないけど、家でもDJをやったけど、家でDJをやらなくなってから、もう何十年も経っていて。DJで一番大事なことって臨機応変さで、瞬時に対応することなんですよ。長くDJをやっていると、最初のうちは「失敗しちゃった」と思うんだけど、そのうちどんどんツラの皮が厚くなっていって、失敗も1回だとミスになるけど、同じ失敗を3回やると音楽になるんです。

emma:

そういうことか! 失敗も成功のもとみたいな。

石野:

それに一般的にミスとかトラブルと呼ばれるようなことがあっても、そこから立て直すことでフロアがまた盛り上がったりするから。それは経験とツラの皮の厚さだよね。

ベルリンのテクノ・カルチャーは国のお墨付き

emma:

私自身はクラブにほとんど行ったことはないんですけど、2年前に一人旅でベルリンに行った時に周りの友達から「ベルリンはテクノの本場だからクラブに行ったほうが面白いよ」って聞いて。行きたかったんですけど、女の一人旅だからちょっと怖くて行けなくて、今はそれを後悔していて。実際のベルリンのテクノ・カルチャーって、どういう感じですか?

石野:

ベルリンは、「ベルクハイン」というクラブが有名ですね。僕も一時期ベルリンに部屋を借りていたこともあるから、東京を除いて一番馴染みが深い街なんです。何て言うか、テクノにかぎらずエレクトロニック・ダンス・ミュージックというものがすごく生活に根付いていて、テクノ・カルチャーが文化として国からも認められているし。ドイツが海外に輸出する文化のひとつとして、政府というかお上がお墨付きを与えているんです。だから、日本で感じるものとはちょっと違いますよね。

emma:

だからテクノの本場と言われているんですね。

石野:

歴史もあるからね。1960年代からロックや現代音楽の中にエレクトロニクスを使うことが当たり前だった国で、昔からテクノに関して先進国だったんです。

emma:

今は、(海外に)行けないじゃないですか。だから、こういう状況が落ち着いたら、またベルリンに行きたくて。ベルリンの街も住みやすい感じがして、いつか住んでみたいと行った時に思ったんです。

石野:

楽ですよ。変な人のアベレージが高いから、僕みたいな変な人が行っても浮かないという(笑)。

emma:

私も行った時は、すごく落ち着きました(笑)。

石野卓球の原点はシンセサイザー・ミュージック

emma:

そもそも卓球さんのテクノとの出会いは、どこからだったんですか?

石野:

僕の幼少の頃はシンセサイザーがまだ目新しかった時代で、当時の最新の音楽で未来を感じさせるのが、シンセサイザーを使った音楽だったんです。テレビ番組のBGMでもよく使われていて、「不思議な音楽だな」と思っていたら、それがシンセサイザーを使って作られていることを後で知って。それで、小学校高学年くらいになった時に、YELLOW MAGIC ORCHESTRA(YMO)が日本で大ブームになったんです。それがきっかけで音楽を積極的に聴くようになって、「自分が好きなのはこういう音楽なんだ」と気づいて、そこから広がって、気づいたらこんな大人になっていました。

emma:

小学生の時から、ちょっとずつだったんですね。

石野:

そうそう。「あの音は何だろう?」って耳に残った音楽が、気づいたら全部シンセサイザー・ミュージックだったんです。

emma:

バンドの音楽は聴かなかったですか?

石野:

聴きましたよ、イギリスのロックも好きなので。当時のテクノはテクノ・ポップと呼ばれていて、今のクラブで聴くテクノとは違ったんだけど、そこから派生したニューウェーブとかパンクロックも好きで聴いていて。でも基本的にロックも、エレキギターとか電気を通して鳴らしているから、エレクトロニック・ミュージックじゃないですか。

emma:

たしかに、そうですよね。全部そこで繋がっているんだ、面白いな〜。では次の質問ですが、電気グルーヴの原点になったアーティストさんや楽曲はありますか?

石野:

さっき名前が出たYMOもそうだし、ドイツのクラフトワークというグループがいて。60年代から活動していて今でもやっているから、もうおじいちゃんなんだけど。クラフトワークの「ナンバーズ」という曲が原点です。

新宿LIQUIDROOMでアンダーワールドとDJした思い出

emma:

2限目は、『これってテクノ!?』です。これから私が読み上げるお題に対して、卓球さん的にテクノなのかNOTテクノなのか、ジャッジしていただこうと思います。

石野:

さらに決めつけていくんですね(笑)。

emma:

それではいきます。「アンダーワールドはテクノである」。

石野:

はい。テクノです。

emma:

イギリスのエレクトロニック・ミュージックのグループですが、彼らの音楽はテクノだと言って大丈夫だと。

石野:

はい。実は、アンダーワールドが初めて日本に来た時に、一緒にDJをやったんでよす。

emma:

え〜! めちゃめちゃすごい!

石野:

今は恵比寿にあるLIQUIDROOMが昔は新宿にあって、オープンニングイベントがアンダーワールドとドラム・クラブというグループのライブで、そこでDJをやったんです。すし詰め状態で、真夏なのにエアコンが壊れていて、ものすごく暑くて「このハコ大丈夫かな〜」って思ったことを覚えています(笑)。

emma:

LIQUIDROOMが新宿にあったのは、初めて知りました。あの、そもそもですけど、音楽のジャンルをこうやって決めつけるのは、不毛なことだと思いますか?

石野:

そういうのはレコード屋さんなど売る側がやることで、それにストリーミングで聴くにしても、ジャンルで分かれていたほうが見つけやすいというのもありますよね。でも、あるジャンルとあるジャンルの中間にいるものが面白かったり、それはジャンル分けできるものではない。ロックの中にも、パンクやメタルなどに分かれていて、パンクとメタルの中間的な音楽だってある。だから、難しいですよね。

emma:

私も「どういうジャンルの曲を聴きますか?」って聞かれても、何て言ったらいいんだろう? と困る時があります。

石野:

ロックだって、THE 虎舞竜(笑)からレッド・ツェッペリンまですごく幅広いから。

石野卓球の『KARAOKE JACK』がカラオケジャンルに

emma:

ジャンルという部分で、メタルはこうであるべきとかテクノはこうであるべきなど、いつの時代もジャンル論争みたいなものがありますが、卓球さん的にこれについてはどう思われますか?

石野:

メタルと呼ばれているものが好きな人もいるけど、“メタルが好きな自分が好きだ”という人もいて、そういう人はメタルはこうだみたいなところにこだわるんだろうと思うけど。すごく好きな曲だけど、メタルと呼ばれていないから好きじゃないと言うのは、本末転倒じゃないですか。

emma:

ああ、自分の幅を狭めちゃう感じがしますよね。

石野:

だから、何でもいいと思います。それにどんどん細分化していくから。メタルでもブラックメタルとかスカルメタルとか。

emma:

いっぱいありますよね。

石野:

そうなっていっても、はたから見れば「全部メタルでしょ」って言われる。テクノもそうで、それをもっと引きで見ると「それって全部EDMですよね」って。むしろEDMと言ってしまったほうが、今はきっと通りがいいですよね。

emma:

じゃあジャンルにとらわれず、自分が好きな音楽を聴くのがいいということですかね。

石野:

でもストリーミングで、ジャンル名を入れるといっぱい出て来るのも便利だし。

emma:

たまに「これって意外とテクノだったんだ!」という、発見もありますよね。

石野:

「これがここに入っているの?」って、ジャンルを間違えて入れられているものを見つけるのも面白いです。昔『KARAOKE JACK』というソロアルバムを出したことがあるんだけど、Amazon Musicではジャンル分けでカラオケのコーナーに入っていて。確かに歌は入ってないけど(笑)。面白すぎて、スクショ撮りました。

決めつけないことが長続きの秘訣

emma:

そして、電気グルーヴや卓球さんは、まさにこの番組のテーマ「決めつけないのがルール」を体現していらっしゃると思うのですが、20年以上活動して来られて、長く続けるコツはありますか?

石野:

長く続けようと思わないことだと思います。

emma:

なるほど〜!

石野:

明日のことも分からないのに、来年のことを考えてもしょうがない。

emma:

それは私もよく分かります。モデルを始めて9年目なんですけど、将来どうやっていきたいとかどういうモデルになりたいとか聞かれても、まさに卓球さんと同じで、分かるわけがないって結構悩むんです。

石野:

遠い目標を立てちゃうと、そこに向かうしかなくなっちゃうし、そこに到達できなかった時に総崩れになってしまう。それに、寄り道もいっぱいしたいじゃないですか。それで気づいたらこうなっていた、みたいな。

emma:

かっこいいな〜!

石野:

なるようになるものですよ。

emma:

でも卓球さんに言われると、勇気がわきます。

石野:

それこそ、こうなりたいとか決めつけないことが、長続きの秘訣だと思いますね。適当くらいがちょうどいいんです。

emma:

今日はありがとうございました。私的に1番グッと来たのは、20年以上活動してきている卓球さんだけど、「明日のことも分からないのに将来のことなんか分からないよ」とおっしゃっていたこと。本当にその通りだなって。1日1日、目の前のことを1つずつやって来たからこそ、卓球さんの他の人にはマネできないスタイルができあがっているんだと思いました。私も見習いたいです。

石野卓球
石野卓球
テクノユニット・人生(ZIN-SÄY!)を経て、1989年に電気グルーヴを結成。
1995年に初のソロアルバム『DOVE LOVES DUB』をリリースし、これまでに12枚のオリジナル・アルバムのほか、DJ-MIX、コンピレーションなど数多くのアルバムをリリース。
DJとしての活動も行い、1998年ベルリンで開催された世界最大のテクノ・フェスティバル“Love Parade”のFinal Gatheringで150万人の前でプレイ。YMO、m-flo、ニュー・オーダー、チャットモンチー、サカナクション、MAN WITH A MISSIONなど国内外のアーティストのリミックスを手がけるほか、SMAP「SMAPのポジティブダンス」の作曲、V6「刹那的 Night」の作詞作曲も行う。日本最大の大型屋内レイヴ“WIRE”やレーベル「Loopa」などを主宰。
DJ、プロデューサー、リミキサーとして多彩な活動を行っている。

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