闇金から借りてしまったものの、毎日のように取り立てが続き、返済するお金もなく「いっそ借り逃げしてしまいたい」と考えている方は少なくありません。闇金は法外な金利で貸し付ける違法業者のため、法律上は返済義務がなく、支払わなくても問題ないケースがほとんどです。

しかし、素人判断で無視し続けると、しつこい取り立てや家族・職場への嫌がらせに発展する恐れがあります。リスクを最小限に抑え、確実に問題を解決するためには、闇金問題に詳しい専門家への相談が重要です。

この記事では、闇金の借り逃げのリスクや対処法、相談先について解説します。

闇金は違法業者！そもそも返済義務はない

闇金からの取り立てに怯えながら、「本当に返さなくていいのだろうか…」と悩む方は少なくありません。しかし、闇金は法律で定められた利息制限を大幅に超えた金利で貸し付ける違法業者です。法的には契約自体が無効とされるため、返済義務はありません。

正規業者と闇金の決定的な違い

借金をするとき、相手が「登録された正規の貸金業者」か「闇金か」で対応が大きく変わります。

項目	正規業者	闇金
金利	年15～20%以内（利息制限法に基づく）	年数百%〜数千%の違法金利
登録	金融庁や都道府県に登録されている	無登録、違法営業
契約の有効性	有効	無効（不法原因給付）

闇金は「貸金業法」「利息制限法」に違反しているため、契約そのものが無効と判断されます。
そのため、返済義務も法的には発生しないのです。

違法な高金利契約は無効になる理由

民法では、違法な契約によって渡されたお金は「不法原因給付」とされ、返還する必要がないと定められています。
これは最高裁の判例でも認められており、以下のような判決が出ています。

「暴利行為を行う高金利貸付は、法秩序に反する行為であり、返還請求権は認められない」
（最高裁判例 平成18年6月13日）

このように、違法業者への返済義務は法的には否定されています。借り逃げしたいと思う気持ちは当然であり、法的にも認められるケースがほとんどなのです。

過去に支払ったお金も取り戻せる可能性がある？

さらに、すでに闇金に支払ったお金についても「不当利得」として返還請求できる場合があります。

ただし、闇金相手に返還請求するのは現実的には困難ですし、報復リスクもあるため、弁護士や司法書士を通して交渉するのが現実的です。

このように、法律的には「闇金に返済する義務はない」というのが結論です。ただし、相手が違法業者であるがゆえに、法律無視の嫌がらせをしてくるケースも多いため、次章ではそのリスクについて詳しく解説します。

闇金から借り逃げした場合のリスク

返済義務がないと知っても、闇金の執拗な取り立てや嫌がらせが怖くて動けない…そんな声もよく聞きます。確かに、闇金は法律に従わないため、無視したからといってすぐに諦めてくれるとは限りません。とくに、家族や職場への連絡など、精神的に追い詰めるような手段を取るケースもあります。

ここでは、実際に起こりうるリスクについて見ていきましょう。

執拗な取り立てや嫌がらせの可能性

闇金の最も典型的な手口が、電話や訪問による執拗な取り立てです。
早朝や深夜を問わず電話をかけてきたり、無言電話を何度もかける、近所に大声で名前を叫ぶ、といった嫌がらせも珍しくありません。

実例
「1日100件以上の着信履歴が残り、番号を変えてもすぐに新しい番号からかかってくる状態が続き、ノイローゼ寸前だった」（東京都・40代男性）

このような心理的負担は想像以上に大きく、一人で耐えられるものではありません。

家族や職場に連絡がいくリスク

借りる際に書かされた緊急連絡先や、勤務先情報をもとに家族や職場に電話されるケースも多いです。
「おたくの息子さん（社員）が借金をして逃げている」などと悪質な内容を告げ口し、精神的に追い詰めようとします。

実例
「勤務先に『借金を踏み倒している』という内容のFAXが送られ、上司から呼び出されて肩身の狭い思いをした」（大阪府・30代女性）

このように、周囲の人間関係や社会的信用にまで影響が及ぶこともあります。

無視し続けるとどうなるのか？

無視し続けることで、最終的に諦める業者もいますが、逆に嫌がらせがエスカレートするケースもあります。
「夜中に自宅のポストに脅迫文が入れられる」「玄関のドアに接着剤が塗られる」といった物理的な嫌がらせがあった事例も報告されています。
こうなると精神的負担だけでなく、安全面も心配になってきます。

闇金から借り逃げするリスクは、法律上の問題よりも、こうした違法な嫌がらせにあります。

闇金対応は専門家に相談するのが安全

一人でなんとかしようと無視や交渉を試みても、闇金は法も倫理も無視した手段で追い込んできます。素人判断で動くと逆に状況が悪化し、精神的にも限界に達してしまうことも少なくありません。そんなときこそ頼りになるのが、闇金問題に詳しい専門家です。

ここでは、専門家に相談することで得られる安心感やメリットを見ていきましょう。

専門家に依頼するメリット

闇金対応に慣れた弁護士や司法書士に相談すると、まずは闇金への「受任通知」を送ってくれます。
これにより、法的には本人への直接連絡が禁止されるため、すぐに取り立てが止まるケースがほとんどです。

専門家に依頼する主なメリット

自分で無理に交渉するよりも、圧倒的に安全で、精神的にも負担が軽くなります。

無料相談を利用できる弁護士・司法書士も

お金がないから相談できない…と不安に思う方も多いですが、闇金問題については初回相談無料や、完全成功報酬型で対応してくれる専門家も増えています。

代表的な相談先

• 法テラス（日本司法支援センター）：収入要件を満たせば費用の立替えも可能
• 闇金問題専門の弁護士・司法書士事務所

気軽に相談できる窓口があるので、ひとりで抱え込む必要はありません。

早めの行動が解決の近道になる

時間が経つほど、取り立てや嫌がらせの精神的負担が大きくなり、家族や職場にも被害が及びやすくなります。少しでも早く相談すれば、それだけ被害を最小限に抑え、安心して生活を取り戻せます。

実例
「専門家に相談した翌日には電話がぴたりと止み、3日後には和解できた」（東京都・50代男性）

早めの一歩が、長引く苦しみを断ち切るカギです。

闇金トラブルに強い弁護士・司法書士事務所

警察に相談したほうがいいケースもある

専門家に相談するのが基本ですが、状況によっては警察に相談したほうがよいケースもあります。闇金は違法業者とはいえ、警察がすべての取り立てに介入するわけではありません。ただし、明らかな犯罪行為があった場合は、迷わず警察に相談することが重要です。

脅迫や暴力など犯罪行為があった場合は警察へ

闇金が次のような行為に及んだ場合は、刑法上の犯罪に該当します。

このような場合は、警察の生活安全課や最寄りの交番に相談し、被害届や告訴を検討しましょう。

相談窓口や被害届について

すぐに被害届まで出すのが不安な場合でも、「相談だけ」でも問題ありません。警察の生活安全相談窓口で、状況を説明すると、どのような証拠が必要か、どの法律が適用されるかを教えてもらえます。

相談時に用意しておくとよいもの

証拠があると動いてもらいやすくなります。

実例
「毎晩玄関先に張り紙を貼られ、脅迫文が入れられたため警察に相談。すぐにパトロールを強化してもらえ、嫌がらせが収まった」（神奈川県・30代男性）

警察は民事不介入が原則ですが、犯罪が絡む場合は積極的に動いてくれることも多いです。遠慮せずに相談しましょう。

闇金以外の借金もあるなら債務整理も検討

闇金の問題だけでなく、消費者金融やクレジットカードなど正規の借金も抱えている方も多いでしょう。闇金は返済義務がないとはいえ、その他の借金が生活を圧迫していると、根本的な解決にはなりません。その場合は、法律で認められた「債務整理」を検討することで、借金問題全体を解決に近づけることができます。

債務整理で合法的に借金を減額・免除できる

債務整理とは、借金の減額や免除、返済計画の見直しを裁判所や債権者との話し合いによって行う手続きです。主に次の3種類があります。

手続き	特徴
任意整理	裁判所を通さず、利息カットや返済額の減額を交渉
個人再生	裁判所を通じて借金を大幅に減額し、残額を分割返済
自己破産	裁判所を通じて借金をゼロにする（一定の制限あり）

特に、闇金以外の借金総額が大きく、返済の見込みがない場合は、これらの方法を検討する価値があります。

闇金以外の正規の借金とまとめて解決する方法

闇金の問題と正規の借金問題は、専門家に相談すれば同時に進められます。闇金は返済義務がないことを確認した上で、その他の借金については債務整理で対応する、という形です。

実例
「闇金問題を弁護士に依頼した際、他の借金の相談もしたところ、任意整理で返済負担を半分以下にできた」（埼玉県・40代男性）

闇金に強い弁護士や司法書士は、債務整理の実績も豊富です。闇金とあわせて相談すれば、一度の相談で問題が整理でき、気持ちも楽になります。

闇金問題は一人で悩まず、専門家と一緒に解決を

闇金の問題は、法的には返済義務がないとされているものの、相手が違法業者である以上、嫌がらせや取り立てが続く可能性が高く、精神的にも大きな負担になります。こうした状況を一人で抱え込むと、かえって状況が悪化したり、心身に深刻なダメージを負うことも少なくありません。

専門家に相談することで、あなたの代わりに闇金と交渉してくれ、取り立ても即座に止まり、法律に基づいた安全な解決が可能です。さらに、闇金以外の借金も同時に整理できれば、今後の生活を立て直すための大きな一歩になります。

勇気を出して専門家に相談することが、闇金問題から解放される最善の方法です。どうか、一人で悩み続けるのではなく、安心して相談してみてください。

よくある質問

闇金から借りたお金を返さないと逮捕されますか？

結論から言えば、闇金にお金を返さなかったことで逮捕されることはありません。闇金は違法な高金利で貸し付ける違法業者であり、その契約自体が無効とされ、返済義務も認められていません。したがって、支払わなかったことが犯罪になることはないのです。

ただし、闇金側が脅迫的に「警察に言うぞ」「詐欺だ」といった言葉で不安を煽ってくることがありますが、これは典型的な脅し文句に過ぎません。むしろ、脅迫や嫌がらせを受けた場合は、警察や専門家に相談するべきです。法律上は借金を返さないことで刑事罰を受ける心配はありませんので、安心してください。

闇金に「借り逃げ」したら家族や職場にバレますか？

闇金は、借り逃げした人に対して家族や職場へ連絡するなど、周囲に迷惑をかけて心理的に追い詰める手口を使うことがあります。そのため、完全に無視していると、こうした嫌がらせを受けるリスクはあります。

ただし、これはあくまで違法行為であり、法的根拠のあるものではありません。こうした嫌がらせを防ぐためには、早期に弁護士や司法書士に相談し、専門家からの受任通知を送ることが有効です。

受任通知が送られると闇金は直接連絡できなくなり、家族や職場への連絡も止まるケースがほとんどです。自力で無視し続けるのではなく、専門家に頼ることが大切です。

専門家に依頼するとどれくらいで解決しますか？

依頼する専門家やケースの内容にもよりますが、早ければ数日以内に取り立てが止まるケースが多いです。弁護士や司法書士が闇金に受任通知を送ると、法律上は本人への直接連絡が禁止されるため、すぐに電話や訪問が止むのが一般的です。

その後、和解や最終的な処理までには数週間〜1か月程度かかることが多いですが、依頼直後から心理的な負担が大きく軽減されます。専門家に相談するタイミングが早いほどスムーズに解決できますので、嫌がらせや取り立てがひどくなる前に行動するのが望ましいでしょう。